34.《ネタバレ》 しっかりと作られた娯楽映画ですね。
前作に比べると、死の恐怖や絶望感などは薄れているかも知れませんが、その代わり展開に起伏があるし、無事に船に上がる事が出来たシーンではカタルシスを味わえるしで、自分としては、本作の方が好み。
最後ちょっとボカす感じになっているのが気になりますが、一応ヒロインも元彼氏のダンも生還し、ハッピーエンドに近い形なのも良かったと思います。
難点を挙げるとすれば、登場人物の言動にツッコミ所が多く(おいおい、何でそんな事を……)と戸惑う場面が存在する事ですね。
特に、携帯電話を投げ捨てる件なんかは衝撃的で(いやいや、流石に無理あるだろ)と思っちゃいました。
極限状況で頭が回らなかったんでしょうけど、あそこは、もう少し何とかして欲しかったかも。
逆に、良い意味で印象深いのは、梯子を下ろさぬまま海に飛び込む場面。
思わせぶりにスローモーションになっていて「あぁ、やっちゃった……」感が、ひしひしと伝わって来るんです。
あそこで飛び込みさえしなければ、何事も無く楽しい船旅で終わっていたはずだし、何ともやり切れない。
イルカの浮袋や、風に靡く旗、水着を結んで作ったロープなど、様々なアイテムを駆使して、色んな脱出法を次から次に試してくれるのも面白かったですね。
中には(おぉ、その手があったか……)と驚くものもあり、そのアイディアの豊富さには、素直に感心。
自分としては(船体に隙間があるんだから、そこにナイフを突き刺し、誰かが支えて足場にすれば良いのでは?)と思っていたもので、解決策がそれに近い形だったのも嬉しかったです。
もう一つ、本作の巧い点は「赤ん坊が船内に取り残されている」という状況設定にしている事。
「馬鹿な事をしてしまった若者達が、何とか助かろうと足掻く話」で終わらせず「我が子を救おうとする母親の話」という側面も備えている為、自然とヒロインを応援出来るんですよね。
過去の水難事故や、トラウマの克服などもドラマ性を高める効果があるし、何よりもそれによって「ヒロインだけが救命胴衣を装備している」という状況を作り出し、グループの中でもヒロインの判別を容易にして、感情移入させやすくしている辺りも、お見事でした。
仲間割れにより死傷者も出してしまったけど、最終的には、やはり「大切な友達同士」であったと感じさせる終盤の展開も、良かったですね。
「このまま死ぬのを待つなんて嫌。岸を目指して泳いでみる」と言い出し、ヒロインとハグをして別れたローレンの件なんかは、中々感動的。
欲を言えば、ラストで現れた漁船の中に、彼女の姿もあって欲しかったものです。