29.《ネタバレ》 なるほどピーターモーガンが「知的なロッキー」を目指したという言葉に頷ける。崖っぷちに立たされたフロストが教えてくれたのは「どんな苦境に立たされようとも諦めない」ファイティングスピリッツ。一方悪役となったニクソンだが、「人は自らの過ちと向き合わねばならない」という教訓を示してくれる。一転追い詰められて自らの過ちと向き合う事となったニクソンの姿は、自分的には決して敗者のそれではなかった。インタビュー終了後に見付けた犬を可愛がり、4回目にして初めて背を向けたままでなくフロストの方を向き直って車に乗り込んだ彼の姿は、嘘をつき通す事を諦め、素直に露呈した人間性の顕れではなかったか。清々しい映画でした。 【にしきの】さん [CS・衛星(吹替)] 7点(2016-06-21 20:17:28) |
28.《ネタバレ》 ○番組出演交渉からインタビューまで、心理描写が素晴らしく、主演の二人も見事だった。○随所に挟まれる関係者(演者)のコメントも作品の良い味付けになっている。 【TOSHI】さん [CS・衛星(字幕)] 7点(2015-10-24 20:22:08) |
27.《ネタバレ》 他の方も書いているけど、まるでボクシングの試合のようでとても緊迫感があった。意外とアッサリ勝負がつくのもある意味ボクシングっぽいかも。 映画を観てる最中はフロストに感情移入して、ニクソンのイメージアップ戦略を苦々しく思っていた。けれど、映画を見終わってみるとニクソンの方に感情移入している自分がいた(笑)。映像のクローズアップに如何に力があるか、わざわざ説明してネタをバラしてもらっているのに、それでも映画の作り手たちの意図にまんまと載せられてしまったような気がする。サム・ロックウェルの「インタビューの他の部分は、忘れ去られるだけじゃない。存在するしなくなる」というセリフも、なんだか意味深。この映画にだって、描かれていないところはいくらでもあるわけだしね・・・。そして所々、関係者(役)の「インタビュー」がインサートされるのも、印象に残る。自分の中でまだまだ消化しきれてないし、それを文章で書き起すこともまだできないけれど、とても複雑な入れ子構造を持つ映画じゃないだろうか、そんな気がする。 【ゆうろう】さん [DVD(字幕)] 7点(2013-07-20 04:13:37) |
26.ニクソンに思い入れがなく、それほどの感慨は無し。 【枕流】さん [DVD(字幕)] 6点(2013-02-21 02:05:00) |
25.《ネタバレ》 ニクソンが「過ちを認めた」という点のカタルシスがこの映画の80%くらいを占めるが、いまひとつコルソンに関係する証言が分かりにくい。事実に忠実に再現しているのだろうが、エンタメとしてそれまでは素晴らしかったのに、途中から追求というよりは、ニクソンのセンチメンタルな部分が強調されてしまった。うーん。 【Balrog】さん [DVD(字幕)] 6点(2012-05-13 21:02:01) |
24.現役アメリカ大統領が辞職したということで、有名なウォーターゲート事件。国民に正式な謝罪をしていないニクソン(当時の大統領)に対して、落ち目のニュースキャスターが目をつけた。ニクソンから謝罪の言葉を引き出せば、国民の注目を集められる!そう思ったキャスター・フロストはニクソンに公開討論を申し出る。ニクソンとフロストのトークによる心理戦が見物で、防戦一方のフロストが1本の光明を見つけ逆襲に出る様、これを是非見て欲しい! 【カイル・枕クラン】さん [映画館(字幕)] 7点(2011-03-13 23:20:55) |
23.《ネタバレ》 自分が物心がついた頃は佐藤栄作とニクソンとブレジネフと毛沢東の時代だった。ニクソンはウォーターゲートでいなくなり、佐藤栄作の後の田中角栄も同じような道を辿った。幼かった自分にとって、この二人は汚れた政治家の代名詞になってしまった。でも、後に色んなメディアで角栄さんのことをもう少し知ると、人物像にはとても魅力を感じた。そして、本作を観てニクソンにも同じ感想を抱いたのでした。ニクソンが行った不正を弁護する訳ではないが、どんな仕事にも多少の裏技や寝技はあるもので、魍魎が跋扈する政治の世界を仕切るのに、ルールの範囲内だけでやって行ける訳がないのだとマジで思う。だけど、それを正当化する発言は出来ない矛盾。本編中、政敵には決して頭を下げるつもりはないと言い切ったニクソンだったが、失望させた支持者に対する想いが悔恨として顔に出る。このシーンのフランク・ランジェラの演技は逸品でした。そして、その人間味が政治家としての幕を引く結果となりました。とかく、人間味というものがお荷物になる世界なのでしょう。そういえばバカヤローと言って国会を解散した総理大臣もいましたね。本作のニクソン像にどの程度のフィクションが入っているのかは分かりませんが、政治を離れれば面白いおじさんだったと思います。 【アンドレ・タカシ】さん [CS・衛星(字幕)] 6点(2011-02-24 22:00:27) |
22.う~ん、渋い。普段あまり見ない社会派映画。なかなか考えさせられる。ウォーターゲート事件について詳しいことは殆ど知らないので、その辺りを絡めながらの対決なのかと思ったけれど、その点については深くは掘り下げられていなかった。ニクソンについてよく調べてから見ると、さらに面白いのかな。 【はりねずみ】さん [DVD(字幕)] 5点(2010-08-16 00:29:43) |
21.裁判モノのような劇的な展開ではないんで、全体のイメージとしては地味。あと、自分がウォーターゲート事件について詳しくない点も痛かったかな。 【リーム555】さん [CS・衛星(字幕)] 6点(2010-03-16 20:05:13) |
20.舞台でやめときゃよい程度の話を、うまく映画にまでしたところを評価。ただ、メディアの恐怖を語るのが、中途半端。あれなら、しないほうが良いくらい。 【みんな嫌い】さん [DVD(字幕)] 7点(2010-01-06 00:28:46) |
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19.《ネタバレ》 こういう実話ものってのは、どこまでが事実でどこからが創作なのかが分からなく、それでかまわないのもあるけど、これなんか気になった。つまり出来すぎて感じられるんだな。最初二三発食らうが、最後にダウンを奪うボクシングみたいなもので、リアルな勝負なら最高に面白いだろうが、段取りが整えられてたとしたらシラけてしまう。まあ、こういうインタビューがあったってのは史実なのだろうが、誇張の度合いの程度が気にかかる。映画の芯は、一寸の虫にも五分の魂、ほとんどショーマンのフロストにも、ジャーナリストの魂がちゃんとあった、って話で、ついつい日本のジャーナリズムの情けなさに思いが行ってしまった。こっちでは、タイコ持ちになるか感情的な罵倒を垂れ流すだけで、基本の“調査”ってのが抜けてるもんなあ。しかも彼フロストは、自分で広告主を探し回るんだ。弱気になって「周囲に止めてほしかった」と愚痴ったりもするが、ジャーナリストとしての栄光をちゃんと夢見ている。マスコミ企業に飼われているわけじゃない。そんなあっちとこっちの違いを、しみじみ感じた。 【なんのかんの】さん [DVD(吹替)] 6点(2009-12-27 12:04:33) |
18.《ネタバレ》 たとえれば、古舘伊知郎が小泉純一郎をインタビューで追い詰めるということでしょうか(低俗な譬えですみません)。ディベイトとスピーチの国アメリカだけあって、脚色もあるでしょうがこれだけ迫真のインタビューは日本のマスコミでは実現不可能なのが悔しいところです。しかし最後に勝負を決めたのがニクソンの表情だったというのは、戦う土俵がテレビというメディアだけに実に皮肉な結果です。本作でも言葉の応酬よりも、二人の表情演技の超絶さに感嘆させられました。それにしてもニクソンが辞任後も政界にリベンジする気が満々だったというのには驚きです。またニクソンのことを周囲が未だに『大統領』と呼ぶのが奇異に感じました。 【S&S】さん [DVD(字幕)] 8点(2009-12-19 01:05:56) |
17.フロストのなんともにやけた表情がいい味を出していた。面白かったがちょっと長過ぎる。もっとコンパクトにできたのでは? 【kaaaz】さん [DVD(字幕)] 6点(2009-11-13 23:52:20) |
16.《ネタバレ》 最後にそこにいたのは一人の疲れた老人。それまでの威厳も老獪さもない。自分のように知識が乏しくこの人物について知らない人はきっとその姿だけを観れば哀れみを抱きます。 過程を無視して、結論だけをクローズアップする事ができるテレビの怖さがそこにあり、前後の言動を伝えない事で物事に対する見方が全く変わってくる。その行為が時代によっては、世論の操作にもつながり、恐ろしい結果を招く事もあり得るのではないかと思いました。 それにしてもフランク・ランジェラの演技は凄いですね。ここまで一人の人物の一つ一つの動作に見入ってしまったのは久しぶりです。 【ちゃじじ】さん [DVD(字幕)] 7点(2009-11-09 14:52:53) |
15.《ネタバレ》 ウォーターゲート事件について勉強するのが目的だったため、あえて吹き替えにて鑑賞。ただのインタビューするだけの映画の割りには、かなり面白く作られており出来栄えは良いと思いました。相変わらず、ケヴィン・ベーコンは渋くて脇役としてはオーラがありました。それと、若者なので肝心の事件の方はふ~んって感じで特にインパクトのある内容ではなかった。当時を知る方が鑑賞するとまた、違った楽しみ方が出来ると思います。実際のトーク映像がみたいです。どっかで見れないかな??? 【マーク・ハント】さん [DVD(字幕)] 7点(2009-10-24 00:10:52) |
14.《ネタバレ》 辞任直後のニクソン大統領と、ジャーナリスト生命をかけてインタビューに臨むフロストさんとの舌戦を描いたドキュメンタリー風社会派作品。と言っても、下手に小難しくはなく、新人ボクサーがチャンピオンに挑戦するボクシング映画のようでした。インタビューまでの展開や、互いが追い詰められていく様子等見どころが多く、社会性より人間ドラマとして秀逸だったように思えました。地味ながらベーコンの渋さにときめきました。 【すべから】さん [DVD(字幕)] 8点(2009-10-12 21:38:04) |
13.《ネタバレ》 まあ、面白くなくはないんだけど、なんというか、緊迫感とスピード感に欠けており、見終わった後に感慨はない。インタビューの心理戦で、それまで完璧な狸親父を演じていたニクソンが、最終日にフロストに提示された証拠(これがイマイチ破壊力に欠ける気がするのだけれど)であっさり陥落する豹変ぶりが唐突過ぎて、政界復帰を棒に振るにふさわしい攻防としての説得力にやや欠けるのが痛い(まあ、実際のインタビューがそうだったのだろうけれど。であれば、やっぱりニクソンは脇が甘い、裏を返せばフツーにイイ人ってことかも知れないが)。見ていて「おっ、これは・・・!」と手に汗握るシーンだったとは言い難い。前半、政界にカムバックを目論み金に執着するニクソンと、一発当ててメジャーにのし上ろうとするフロストの、野心に囚われた人間臭さはすごく伝わっていただけに残念。 【すねこすり】さん [DVD(字幕)] 7点(2009-09-14 14:47:37) |
12.《ネタバレ》 こりゃまた新しいタイプのエンターテイメントですなぁ。単なるインタビューがこんなにも面白いなんて。全体的にドラマドキュメンタリーな作りで、勿論創作も入ってはいるんだろうけど、そのインタビューの裏側が多大なるリアリティーを持ってして描かれるのでついつい引き込まれますね。フロスト&ニクソン役を演じたお二方の堂々たる演技。下の方もおっしゃってる通り、殴り合いの無いボクシングですよこれは。俗物的なものに最近は流れていってるロン・ハワードが、オスカー監督としての力量を見せつけた渾身の一本ですな。 【あろえりーな】さん [DVD(字幕)] 7点(2009-09-03 20:30:51) |
★11.《ネタバレ》 フランク・ランジェラの抜群の存在感に魅力を感じた。これほどの俳優を今まで知らなかったとは、と思い、略歴をみると、「デーブ」以外、自分が避けてきたタイプの映画によく出ている。まだまだ奥が深いぞ、アメリカ映画。それにしても、ロン・ハワードの映画って、きちんと創られてますね。彼の演出って地味だけど、映画のテキストのようにきちんと創られていると思う。これは悪口ではなく、あまり話題にはなりにくい正統派の映画こそ、どんどん日本にも配給されてほしい。殺し殺され、ていう映画はもういいよ。CGも飽きた。それにしても、この映画。インタビューで正直に心情を吐露してからのニクソンの方が、自分には魅力的に見えた。でも弱みを見せない、強いアメリカの方があちらの国では受けるんだろうね。 【トント】さん [DVD(字幕)] 7点(2009-08-31 21:59:38) |
10.《ネタバレ》 この映画を観て、何よりも印象強く残ったものは、「音声」だった。 米国史上最悪の汚名を持つ元大統領と野心溢れるテレビ司会者。二人の男の織りなす会話が、高級ステレオから流れるジャズのように響いてくる。 リチャード・ニクソンという米国大統領についても、彼の転落の発端となったウォーターゲート事件についても、もちろんデビット・フロストという英国人のテレビ司会者のことも、ほとんど詳細を知らない。 キーワードとしての部分的な知識しか無かったので、イメージとして、汚職にまみれた元大統領を、野心家のインタビュアーが最終的に言い負かすというような映画なのだろうと思っていた。 が、実際はそうではなかった。 米国史上初の任期中での退任を余儀なくされ、ホワイトハウスを去りゆくニクソンの一寸の“表情”に瞬間的に惹き付けられ、インタビューを申し込むテレビ司会者。バラエティー番組専門の彼にとって、それはあまりに盲目的な挑戦であったと思う。 センセーショナルなインタビューを通じて、片方は政界への復帰を目論み、片方は名声の得ようと画策する。それはもちろん正直な両者の思惑だったのだろうが、それと同時に二人の男に生じていたものは、現実に対する自身への葛藤と、それを打ち砕くための好敵手の発見だったのではないか。 己の人生に対する自信と失望。「今」から脱却し、次のステージへ進むためには、人生そのものを壊してしまうくらいに強力な起爆剤が必要。 年齢も立場も何もかもが違う二人が、奇しくも同じ思いを互いに感じたのだろうと思う。 結果として、勝利はフロストへもたらされ、ニクソンの思惑は完全に閉ざされる。 しかし、この映画が描いたのは、その勝利にまつわる痛快感などではなく、敗北者であるリチャード・ニクソンという希代の米国大統領の本質的な姿だった。 感情を吐露し、人生を憂う姿に、人間として尽きない興味深さを感じた。 【鉄腕麗人】さん [映画館(字幕)] 8点(2009-06-01 00:24:47) (良:1票) |