2.《ネタバレ》 ひと夏の青春物語、いいわよね。映画製作に賭ける高校生たちの姿は楽しくって愛らしくて。夜の体育館のシーンなんかあまりに楽しそうに青春していてこちらは逆に泣けてきたわ。出演しているコたちみんな活き活きとスクリーンの中に生きていて。
だけどラストシーンは監督とアタシとの間に「映画」に対する視点の大きな違いがある感じがして。
映画は撮影した瞬間から過去のものになってゆくわよね。永遠に閉じ込められてゆく過去。となるとそれまで映画=過去に固執していた主人公も未来から来たカレに対しても否定とまではいかないけれど、それじゃダメって言ってる気がするの。今を生き、そして未来を生きろ、ってコトで最終的に映画を棄ててる、映画を棄てたところから始まるような感じ。実際アレは映画から完全に離れてとても演劇的な世界なワケだし。それまで映画によって紡がれてゆく生のカタチを描いていながら最後は演劇としてオチる、その思考はなんていうか、現場主義的みたいな?
メインのコたちはともかく、あの場に「映画」を見に来ていた生徒達はアレで納得した、良かったのかしら? 本来は過去のモノとして完結しているハズの映画が止められて突如「今」がリアルに動き出す、それに置いてきぼりな感覚を受けなかったのかしら? アタシはモロに受けたのね。現場を生きてる、映画を生のモノとして感じてる人間からすればその感覚も理解可能なのかもしれないけれど、映画は出来上がったものが全てです、っていうアタシの視点からするとこれって激しい自己完結の物語に感じられちゃうのよね。そこに至って受け手はともかく送り手の自分は満足です、っていう。
やり直しの効く若さ、それはいいのだけど、映画はそのための踏み台? ならばそれはもはや映画じゃない他の何か、って気がするのね。まあ現実の世の中にも特別編とかディレクターズカットとかあるけどね。
コレって映画についての映画のように思えながら、映画を作る人についての映画なのね。その違いは大きいわ。そこに大いに引っかかって色々と考え悩んでしまったのだけど、でもそれはそれとしていい映画だと思ったのでこの点数。