7.《ネタバレ》 前半部分は、まさに“画に描いた様な幸せな家庭”を実写で見せている。
モーツァルトの調べにのってつむぎ出される暖かな映像は、観る者を夢見心地にさせる。
しかしながら、夫に愛人ができてからは雲行きが急変。
それに対する妻の対応は、まったく不満のかけらもみせない慎ましやかなものだったが、自殺という形で激しく抵抗してみせた。
ソフトな雰囲気を漂わせながらも、強い衝撃を与えてくる作品だった。
これが女性監督により撮られたというところに、価値を感じる。
男の独善的な愛を、隠喩めいたストーリーの内に表現し、批判してみせた。
アニエス・ヴァルダの、その痛烈なまでの見事な手腕に脱帽する他ない。