6.鏡花の芸道ものの翻案だ、と言われれば、ああそうですかぁ、と納得しちゃうような話。師も弟子も、妻なり愛人なりの死によって、道を究めていく。師は求道家というより、妻を死なせた運命なり社会なりに対してスネているようなところがあり、芸術とは天上のものでありながら、この世のものごとに左右されるものでもあるんだなあ。そこらへんの芸術論の映画と見た。芸術はこの世に生きるためのもので、鎮魂の音楽でさえ耳にするのは生き残ったものたち、しかし芸術は芸術として純粋に閉じていきたがる表面張力のようなものも持っている。音楽は何のためにあるのか、と問われたマレは、すべての見えざるもののため? と答え、師はノンと言う。芸術のうち最も純度の高い音楽を巡って交される芸術論だ。好みとしてはもっとぶっきらぼうな演出のほうが良かったのでは。弟子マレが自作を弾いたとき、師が眉をピクリとさせるような、ああいうのはちょっと違うと思う。ドパルデューも薄化粧の有無に関わらずなんか違うなあ。 【なんのかんの】さん [映画館(字幕)] 7点(2012-01-06 10:44:34) |
★5.《ネタバレ》 品のいい映画でした。奥さんの死で偏屈になった親父の全身音楽家ってところが良かったです。あの長女の娘さんもお父さんをそばで見てきただけあって、本物を見る眼があったのでしょうね。弟子入りした若者がつくった彼女への曲を聞いて、彼が偽者である事を見抜くとこなんか良かった。お父さんの独特の音楽哲学も面白かったです。陳腐な言葉を並び立てないので、見ごたえがあった。ヴィオールに詳しい人が観ても、この音楽哲学はうなづけられるものなのか、興味あります。 【トント】さん [ビデオ(字幕)] 7点(2010-03-11 06:18:04) |
4.格調高い卒のない作品。 映像美も素晴らしい。 だけど、なんだか足りないものを感じた。 「音楽」というものを深く掘り下げた作品内容だが、それだけに映画としての面白味に欠けている感が否めない。 愛しすぎた妻を忘れることができない幻覚オヤジと、俗物や性におぼれた指先の器用な男とが、ラストで心を一つにして演奏するシーン。 一見すると感動的だが、意外とそんなに感動もできない。 やっぱり、映画として何かが足りないからだろう。 【にじばぶ】さん [DVD(字幕)] 6点(2009-06-22 02:32:23) |
3.ただ音楽のみを追求する師と世俗の栄達を求めた弟子。その弟子を愛する師の娘。とにかく美しい映画である。芸術論を語る柄ではないが、この作品を観て芸術とは何かというのを考えさせられた。キャスティングに唯一不満が残るが、ラストで涙ながらにヴィオールを奏でるジェラール・ドパルデューを見て「これもありか」と思った。あまり世に知られてはいないが(まさにサント・コロンブそのもの)十年に一度の傑作ではないだろうか。 |
2. 1926年にこんな題名の映画あったっけ?と思いきや…ナ何と1991年のドパルデュー父子ダブルキャストが話題になった作品じゃあーーーーーりませんか!!古楽器ヴィオールを軸に繰り広げられるバロック宮廷音楽映画としてアラン・コルノーがオーソドックスに監督してマス。谷崎の「陰翳礼讃」に傾倒しまくったコルノーの光と影の演出&イヴ・アンジェロの鮮やかなキャメラワークに酔いしれて下さい。個人的にクラシック大好き!なモノで、この手の映画には批判能力ゼロの己のミーハーぶりを自覚しつつ…8点進呈。 【へちょちょ】さん 8点(2003-08-23 11:05:55) |
1.音楽家の父と静かに暮らす2人の娘の物語。天才とは何か、教えるとはどういうことか、等、内容の深い品格のある作品。流れる音楽も秀逸。どうしてどなたも投稿しないのでしょう。不思議でなりません。 【眠魚】さん 9点(2003-05-12 01:49:11) |