★8.《ネタバレ》 これは「魂」について描いた映画だと思う。
体の不調ではなく、寝たきりの人間がふっと魂が抜けて、あの世に行く。 それがこの映画のクライマックスだ。 荼毘にふされた後、村で能が演じられる。 能は現実と幻想のやりとりを演じたもので、 死の世界から現世へと語りかけてくるのが特徴とこの映画で言っている。
眠っている時間、風呂に入ってボ~としてる時間、それらは魂はどこにいるのか? 島を訪れた女性に、島の人間が思いを寄せたら、その女性は島から抜け出せなくなるのは何故か? 魂の問題がポツポツと語られる。 ネット万能の現代でも、魂は科学ではよく分かってない。
力まない映画で「魂」を語っているのが鬼才小栗康平のなせる技であろう。 【トント】さん [ビデオ(邦画)] 7点(2020-04-05 18:15:32) |
7.群馬県の全額出資製作映画。小津映画のような風景の捨てカットが多く、群馬の絶景シーン集でもある。意識的な美しいシーンと、寓話のような物語からは、見た目は全然違うけれども、パラジャーノフの「ざくろの色」とかを思い出してしまう(水車の中の老人とか)。これは、いってみれば群馬県コスモロジーなのだろう。萩原朔太郎も出て来る。しっかし、この、聞いていて背中がむずがゆくなって来るような、高校の文芸部員の書いたようなシナリオは、なんとかならなかったのだろうか。「眠る男」の象徴するものも、あまりに露にすぎる印象がある。美しい映像がもったいない気がした。 【keiji】さん [ビデオ(邦画)] 4点(2010-05-08 11:11:54) |
6.今までの“原作もの”というフタがはずされて、ワーッとイメージが大空の大気のなかへ拡散した感じ。「拡大」ならもっとよかったんだけど、「拡散」。不意に飛び立つ鳥、眠る男の鼻から出てくる虫、魂呼びの音がこだまし、はずされた屋根瓦を越えて、やはり大空へ広がっていく。天井がなく拡散していく感覚に通じていく。常に湯気が沸き立っている感じにも通じ、その中心で眠り続ける男、と男のほうは何となく理解できるんだけど、「南の女」のほうはちょっと分からなかった。一種の桃源郷さがしなのか。あと言葉がときどき固くなるのが気になる。メナムの語の講釈や赤ん坊が進化をなぞってる、なんてとこがややシナリオとしてこなれ不足のような。能が出てくるのも引っかかったが、青空の下ってのが薪能よりはいい、やはり天井がない感じで。ここで田村高広がまた講釈をしてしまうんだ。全体、音が良かった。倒木シーンも映像よりひび割れていく音の予感のほうが美しかった。決してこの地が桃源郷なのではないが、そこへ向かって開かれている、って話なのかな。個人的には、この監督は原作でフタをした映画のほうが圧力が高まっていいんじゃないかと思うけど、こういう自分のイメージを十分に拡散したものを作りたかったという気持ちも大事にしたい。 【なんのかんの】さん [映画館(邦画)] 7点(2009-10-12 11:59:08) |
5.こっちが眠ってしまう。退屈の極地。若い人が観ても、年取った人が観てもつまらないと思う。 【たかちゃん】さん [CS・衛星(邦画)] 1点(2007-08-07 12:18:47) |
4.「眠れる映画」である。なんともまったりして退屈な映画だ。タイトルが眠る男だから仕方ないのだろう。数々の賞をとっている映画とは思えない。たしかに映像は絵画的で構図は美しい。自然の描写は上手いと思う。しかし、ストーリーといい、めりはりのない映画だ。唯一、めりはりが少しある部分は音である。ビデオで見たのだが、音声は何を言っているのか分からないから音量を大きくすると、今度は反面、突然、奇声めいた音が出てびっくりしてしまう。こんな音声作りはやめてほしい。役所広司が暗いところで話している場面は、ドキュメンタリー経済番組の「ガイアの夜明け」を思い出してしまった。 【ジョンレモン】さん [ビデオ(吹替)] 1点(2006-05-07 19:29:15) |
3.動と静といえば「静」。日本的らしい、感性に訴える作品。監督の非凡さを感じさせるが、ドラマを見たい人には物足りないだろう。 【mhiro】さん [CS・衛星(字幕)] 5点(2005-07-30 13:21:09) |
2.一時期、「自分が眠る男(女)になるほど恐ろしく退屈な映画」としてかなり叩かれた時期がありましたね。田園風景や歴史的な日本家屋、水車、河のせせらぎ、雪景色、小鳥のさえずりと、日本独特の四季折々の自然をバックに生と死を描き出す非常に芸術性のある作品です。ただ、↓ぐるぐるさんも仰ってますが芸術性ばかりが高くて映画としての活気がまるでない。他の名作映画を“動画”とすればこれは“静止画”。登場人物たちを遥か遠くから写すカメラ。それによって周りの自然と人間が一体となって一つの絵画を作り上げてるような感じです。やはり映画というのは、美しいアングルだけではなく、そこに描かれる人間模様も大事なわけで、それらが上手く共存していればこれはもしかしたら大変な傑作になったkも知れないと思います。 |
1.僕は映画の技術的な事とかには疎いのだけれど、それでもこの作品の構図がとてつもなくこだわって撮られたのはわかる。温泉の水車や「眠る男」が眠る日本家屋、そして田園風景や山の緑が、とても美しく、特に時折挿入される月や花のカットは官能的ですらある。そうした中での「生」と「死」の描かれ方は、まさに幻惑的・神秘的。また日本風俗のエキゾチックな面(能の一場面や、様々な風習など)も描かれていて、外国の各種の芸術祭・映画祭で評価されたのも納得できる。 ただ、「芸術」としての完成度の高さは分かるのだが、反面あまりにも「浮世離れ」し過ぎてる印象がある。まるで「彼岸」からモノを見ているような、現実を拒絶しているような。登場人物に活き活きとした感じが見られず、はっきり言えばあまりに「芸術」し過ぎている様に思えた。映画って確かに「芸術」の側面もあるけれど、でももっと俗っぽくても良いんじゃないかな。芸術的でなくても美しくなくても、やっぱし僕は映画で「人間」が見たいのです。ラストの、河原で戯れる母と幼い子供のシーンなんか、とっても良かっただけに、残念。 【ぐるぐる】さん 6点(2004-08-02 21:29:56) |