6.夏に同窓会をやるというので、実家から中学校の卒業アルバムを引っ張り出してきた。
15年以上経過していて、確実に記憶は薄れている。でも、記憶は決して無くなりはせず、ふとしたきっかけで甦り、思い出した瞬間からまた新しい記憶になるのだと思う。
かつて“サニー”と名付けた女子高生グループの面々が、ふとしたきっかけで25年ぶりの邂逅を果たし、それぞれの記憶が甦る。
懐かしいヒットチューンと瑞々しいコメディで彩りつつ、時に辛辣な現実を描きつけたこの青春映画の方向性は圧倒的に正しい。
諸々の描写に対して「そんなわきゃない」と言いたくなる部分は確かにある。
しかし、そんなことどうでもいいと思わせてくれる。そう思わせる要因は、何を置いても登場人物たちの素晴らしい存在感だと思う。
特に、高校生時代の“サニー”の面々を演じた若い韓国女優たちの、台詞回し、動き、風貌、佇まい、眼差し、あらゆる要素を含んだ“女優力”が素晴らしかった。
彼女たちが、笑い、泣き、傷つき、そして生きていく、その一つ一つをいつまでも見ていたくなった時点で、この映画の価値は揺るがないものとなったと思う。
映画の作り方も非常に巧みだった。高畑勲の「おもひでぽろぽろ」を彷彿とさせる主人公の主観による「現在」と「過去」の“行き交い”が、無駄の無い映像構成で叙情感豊かに映し出されていた。
映像的な展開のスムーズさが、心地よいテンポを生み、彼女たちの記憶をすんなりと追想できた。
人物描写も映像構成も本当に素晴らしい。
ただし、だからこそストーリーの顛末にあと一つの「工夫」が欲しかったことも否めない。
途中の展開の強引さは許容出来る。しかし、ラストの結び方には少々安直さを感じてしまった。
何か最後にハッとさせるストーリー的な巧さが備わっていれば、この映画の価値は更に高まったろうと思う。
それでも、この作品が多くの人に愛されるべき青春映画であることは間違いないし、本当に大好きなシーンで溢れている。
たぶん僕は、これから幾度も“サニー”の彼女たちに会いたくなるだろう。