6.《ネタバレ》 前半のコメディー仕立ての部分が、どうにも私は笑えませんでした。
映画のテーマのせいか、賞を獲ったせいか客層が割と年配の方が多く、
その方たちには笑いが起きていましたが、
「さぁ、笑うところだぞと!」言わんばかりの演出が鼻についてしまったのです。
しかし、中盤からは山崎努と本木雅弘の演技が素晴らしかったこともあり、
物語に集中して観ることができました。
死者の尊厳、遺族の尊厳をおもんばかる納棺師の所作は
さすがに格好良く、身近に亡くなった方をお持ちの方は凄く感情移入できる
だろうと思います。実際、観劇中に涙する人も多かったです。
ただ、出演者の平均年齢が高いのと、題材が暗いせいか、広末涼子の雰囲気が
この映画では浮いてしまっている気がします。
あえてそれを狙った役作りかもしれませんが、ちょっと軽すぎるかなと思いました。
テーマとしては普遍的な家族のあり方を描いた作品といえますが、
納棺師という職業とそれを生業にする主人公夫妻を通して描くことで
ありきたりな作品にならず、佳作といえる作品となっていると思います。