13.すざましい出来事や情景が、まるでドキュメンタリーのごとく淡々と流れていく。なぜ命をかけてまでして密猟者を捕まえようとするのか?それも無報酬で。そんな説明までもが一切省かれている。とても怖い映画だ。これは実話だという。狭い日本はイヤだが、広すぎる国土を持つのも考えものだ。 【la_spagna】さん [DVD(字幕)] 8点(2017-01-13 00:28:45) |
12.《ネタバレ》 チベットの密猟者とそれを追う山岳パトロール隊を描いた秀作。実話ベースと言うだけあってリアルで、また自然の残酷さも容赦なく映し出されている。 ■やはり流砂に飲まれるシーンと、凍死した仲間から即座に荷物を奪い取るシーンは圧巻。なんといっても「リアルな怖さ」がある。そして、報われないラストもまた悲壮感をあぶりだしている。 ■ただ、逆に個々人の心情描写があまりに薄いので、入り込めなかったのも事実。なぜあそこまで密猟者を追うのか。なぜ密漁せざるを得ないような状況にまで追い込まれたのか。そういう描写が全然ないので、自然の残酷さだけが伝わってくる作品になってしまった。 【θ】さん [DVD(字幕)] 8点(2011-03-11 00:59:43) |
【俺は直角】さん [地上波(字幕)] 8点(2010-02-20 13:03:42) |
★10.《ネタバレ》 この映画は非情だ。非情さは苛酷な環境に生きる人々の生きる術なのだろう。雪中百キロ強行軍の中、脱落していく仲間に対して一瞬の躊躇もなく持ち物を剥ぎ取る様、恐らく助からぬであろう仲間を置き去りにする判断など人々は目的の遂行のために非情に振舞わざるをえない。 情けをかけたばかりに捕らわれる隊長、保護活動のために密猟品の横流しをしたり、仲間の復讐のためにいつしか多くの仲間を犠牲にしてしまうなど、目的と手段がいつしか逆転しあらゆる矛盾がむき出しになる。矛盾を解決するのがそれを凌駕する非情さだ。 【准将】さん [地上波(字幕)] 8点(2009-04-14 18:10:18) |
9.《ネタバレ》 この題材を映画化したという志の高さにおいてまず大いに価値があるし、全体を通じて不必要な会話を落とした原始的な描写がもたらす生々しさも強力。軽々しくパトロールの成果が上がらないのも、現実の厳しさを伝えてくれる。ただし、部下も置いといて食料や燃料の欠乏を認識しながらさらに山奥へ乗り込んでいく後半は、どこまで事実に即しているのかな?と思わないではない。 【Olias】さん [CS・衛星(字幕)] 6点(2008-10-22 02:33:19) |
8.なんといっても景色がいいですね。ストーリーはどこかで観たことがあるようなものでしたが役者さんもいいです。確かに女性の描き方は不満があるかもしれません。ただそれはそれぞれのお国柄があるので仕方がないと思います。おすすめの1本です。 【たかちゃん】さん [CS・衛星(字幕)] 7点(2007-12-30 10:01:02) |
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7.《ネタバレ》 自然を保護するために自然の猛威と戦う男たち。チベットカモシカを保護する組織を運営していくために、密猟されたその皮を売らねばならない皮肉。いくらでも膨らませられる矛盾を蔵しながら、それらがどうも立ち上がってこない。追う者も追われる者も生活感がないので、隊長のエイハブ船長的執念は抽象的に研ぎ澄まされて描かれたかもしれないが、生活感のなさは全体を「自然の脅威」の観光映画にもしてしまった。生活感のない人物はブリザードに取り残されても、心細さがもひとつ迫ってこないのだ。人の匂いのしない地形に、すんなり溶け込んでいってしまう。 【なんのかんの】さん [DVD(字幕)] 6点(2007-11-25 12:21:26) |
6.《ネタバレ》 私はおんなだからか(テーマ的にしょうがないんだけど)登場する女性に共感できるキャラがないのでちょっと、物足りなかったです(当たり前すぎてすいません)。 それぐらい、完全に男性社会を描いた作品です。 完璧に容赦ないオトコ映画です。 監督は容赦なくロケにこだわり、役者さんたちも高所撮影で走るシーンや車を牽引するシーンで半端なく苦しい。 それに寒さと水と氷と・吹雪・砂嵐と・・非常に過酷で、この撮影にたずさわった人たちのプロ意識はとてつもないです。 最後にウサギちゃんの生肉を食べるのもすごい・・。 毛皮を剥いだり、鳥食葬の様子が出てきたり、見て損はない感じです。 でも、これが中国大陸的「過酷さ」「冷徹さ」と、日本人のウェットさ・叙情主義のギャップなのか・・ 同じ山岳モノでも「八甲田山」とか「聖職の碑」の方が好きだ・・と思ってしまう・・。 弱い私をお赦しください。 【グレース】さん [映画館(字幕)] 5点(2007-11-18 19:47:25) |
5.《ネタバレ》 物語はパトロール隊員の射殺シーンから始まる。このあまりにも簡単に人を殺し、生き物を殺す密猟者たちの極悪非道振りがうかがえる。これに対抗する山岳パトロール隊も毛皮を売って活動資金にし、法律を犯していたため、パトロール隊が完全なる正義とはいえないかもしれない。しかし、金に物を言わせてチベットカモシカを次々と狩っていく密猟者たちは完全なる悪である。その悪がラスト、ああいう形で逃げ延び、また密漁を繰り返す。その後、ココシリは自然保護区域に指定され、チベットカモシカの数は年々回復しているようだが、こうした密猟者の行為は今現在でも様々な国で行われているのではないだろうか。また本作では自然への恐ろしさも痛感できる。吹雪や流砂、そして蟻地獄。あの広大な大地で誰にも看取られずに蟻地獄にはまって死んでいく姿は悲惨としかいいようがない。その悲惨さは、あの民族間の仲間意識の強さをみるとよりいっそう強まるのである。 【黒めがね】さん [DVD(字幕)] 8点(2007-02-11 19:31:00) |
4.《ネタバレ》 「毛皮を売って経費にする」発言や、逮捕者を置いてけぼりにする等、納得出来るがやりきれない気持ちになるシーンが多い映画でした。 【株式】さん [DVD(字幕)] 9点(2007-01-21 20:19:03) |
3.本作は不毛の山岳地帯ココシリを舞台に、チベットカモシカの密猟を巡っての、男たちの熱き闘いのドラマである。ボランティアと言うには余りにも割りの合わない仕事を承知の上で、義憤に駆られて立ち上がる者と、その貧しさ故に、密猟をする事でしか生きる術を見出せない者。彼らを共に秘境で生きる者として、どちらに肩入れする事もなく、カメラは終始冷静さを保持しながら追い綴っていく。厳しい大自然の中で片寄せあって生きている彼らは、人一倍情に厚く、仲間を大切にする民族である。それは密猟者にも注がれるのだが、結果的にその事がアダとなり、捕らえる者と捕らわれる者との立場が逆転してしまう。苦境に立たされても毅然とした態度で臨む孤高の男たちの潔さに対して、密猟者のどこまでも盗人猛々しい、したたかさに理不尽さを覚える。人間たちの対立のドラマと平行して、秘境の厳しさが描かれていくが、方向感覚を失われ、陸の孤島と化するココシリを一つの宇宙という観点から、様々な障害に遭遇する冒険譚として捉えることもできる。しかし男が突然流砂に巻き込まれ、もはや叫び声すら誰にも届かず、たった一人で大地に呑み込まれていく残酷なシーンは、どんなホラー作品よりもリアルで怖い。少しの気の緩みが死を招くように、大自然の前で人間は余りにも無力であり過ぎる。人間が足を踏み入れてはいけない自然界が存在するという事を、如実に物語っているシーンである。それだけに実際の撮影の困難さは想像に難くないが、望遠レンズを活用する事で生々しい迫力が生み出され、男たちの荒々しい息づかいが画面からほとばしってくる。ドキュメンタリー的手法が予想以上の効果を挙げたようだ。この様に「過酷」としか形容の仕様がないほどの厳寒の地で、映画はあくまでも追う者と追われる者とのまさに命懸けのストレートな追跡劇が話の中心に置かれ、頻繁に密猟が繰返されるまでの経緯や、それを長年に渡って野放し状態にしてきた国家の無策ぶりは、敢えて声高に批判しようとはしない。むしろその事は映画のクロージングでさり気なくテロップで流れるだけだが、それだけに、常に死と隣り合わせの男たちの生きざまが、より哀しく胸を打つ。 【ドラえもん】さん [映画館(字幕)] 8点(2006-11-11 00:30:24) (良:1票) |
2.内容は悲惨なうえ、衝撃的で、しかも実話を元にして作られているということで、見終わったときには言葉が出ないほどのショックを受けた。しかし、始めは思わなかったのだが、奥地に入れば入るほど、だんだんパトロール隊が壮大な風景に同化していないことに気が付いた。彼らが愛して止まないはずのココシリに入ったら、どうしても違和感を拭い去ることはできなかった。もしかしてココはアメリカ?と、思う程彼らは土地に馴染んでいない。密漁者達は朴訥で、風景に入り込んでいるのに、彼らはとても『都会的』なのだ。私が勝手にドキュメンタリー的なイメージを求めてしまって本当に申し訳ないとは思うのだが、もう少し素朴さとか(特に女優)自然に土地に溶け込む感じを出して欲しかった。それにしても、パトロール隊の顔は日本人にありそうで、同じような顔した国同士仲良くできないもんかとしみじみ思いながら見ました。 【さら】さん [映画館(字幕)] 7点(2006-07-20 10:23:31) |
1.《ネタバレ》 チベットの高山地帯に生息するチベットカモシカは高級毛織物の原材料になることから、密猟者による乱獲が続き個体数が100分の1に減少したという。この映画は険峻なチベットの山岳地帯を舞台に、武装した密猟団とそれを阻止しようとする民間のマウンテンパトロール隊との壮絶な抗争の物語である。冒頭、捕縛された隊員が密猟団によって射殺されるシーンは、これから始まる戦いが、非情にして過酷を極めることを暗示するものの、観客が体験しなければならない現実は想像をはるかに超える熾烈なものである。90年代に起きた実際の事件を元にしているとはいえ、神々しいほどの山岳風景を背景に貧困と民族の誇りをかけた戦闘描写は息詰まる緊迫感の連続であり、第一級のアクション映画に仕上がっている。チベット民族の代弁者でもあるパトロール隊のリータイ隊長以下、隊員の青年たちは零下20度近い砂漠のような氷山のような舞台で泥だらけになりながら密猟団を追う。数々のアクシデントに見舞われ次第に疲弊していきつつも最後まで諦めない彼らに、ハリウッド的ではない真の男の姿を見た。1949年に始まった中国によるチベット問題が背景に存在していることを考えると、監督をはじめこの映画に携わっている人々がチベット民族である意味合いがことのほか胸に迫る。終影後の客席からは圧倒された観客たちの言葉にならない呻きが伝わってくるようだった。 【ただすけ】さん [映画館(字幕)] 10点(2006-06-26 12:28:10) |