7.《ネタバレ》 シリーズも終盤となる第9作で、鈴木則文監督が脚本にも参加している作品としてはこれが最後となる。今回はこれが映画デビュー作の小野みゆきをマドンナに迎えていて、演じる役柄は桃さん(菅原文太)と酒飲み対決をするような男勝りのキャラクターなのだが、男勝りの女性はシリーズ過去作にも登場していたが、それがマドンナとして登場するのは珍しい。前作ではなかったオープニングの「一番星ブルース」と桃さんがマドンナに惚れた時に星が見える演出が今回復活しているが、星の演出がマドンナとの初対面時ではないのも異色な感じ。そんな今回はいつもよりも桃さんの恋は全面には出ず、笑いも少なめというのが物足りないのだが、むしろ中盤から始まる社会派ドラマのようなゲスト陣(地井武男、金田龍之介)による確執を描いたシリアスな部分にけっこう力が入っていて、見ごたえもあった。しかし、こういう単なる喜劇に収まらない重いテーマも臆することなく取り上げている回もあるのがこのシリーズらしさでもあるのだが、今回はこの部分に桃さんらレギュラー陣がほとんど絡んでいないため、少し違和感もあったのも事実。今回、桃さんが一番星号を修理に出していて、必然的に桃さんがトラックを運転しているシーンが少ないのだが、これはこれでたまにはいいかと思えるし、以前、川谷拓三がトラック野郎ではないライバル役で出演していたが、今回の地井武男演じるライバルであるノサップは運転はするものの、彼自前のデコトラは出てこないというのが意表をついている。ほかにドラマとしては作業中の事故で死んでしまった仲間のトラック野郎の幼い娘と母親(二宮さよ子)の再会劇が描かれているが、ここにもう少し深みが欲しかった気もするし、この少女を母親の元へ送り届けるために修理を終えたばかりの一番星号で激走するクライマックスもいつもに比べてあっさりとした印象だったのはやっぱり何か物足りない。全体としてはシリーズの中ではイマイチな回かと思うものの、マドンナとノサップが牛の乳しぼりをしているときの会話を聞いた桃さんの勘違いからノサップと殴り合いを始める展開や、ドライブインでインベーダーゲームを押し付けられていた三番星(せんだみつお)がほかの客たちから袋叩きにされるシーンは、それにインベーダーゲームの画面を重ねたりしていて、いかにもこのシリーズらしいギャグシーンで、これらの部分はしっかりと笑うことができた。シリーズはあと一本で終わりなのだが、やっぱりそれが少しさびしく思う。ちなみに本作の公開時の同時上映は「酔拳」だったそうで、ジャッキー映画の日本初公開は日本映画とのカップリング上映だったんだなぁとしみじみ。 【イニシャルK】さん [DVD(邦画)] 6点(2019-03-21 23:29:18) |
6.シリーズモノも何作か見ると、その世界観もわかるようになり、面白さも理解できるようになる。見れば見るほど、桃次郎は下品で暴力的な寅さんという印象が強くなるのだが、2人本質である「男の優しさ」に変わりはないのかな。強いて違いを言えば、桃次郎の方が労働者的で、集団行動が多いところか。本作は信州が舞台で風景が楽しめるし、山も多く立体的ではあるのだが、桃次郎の活躍シーンが少ないのが残念ではある。信州好きでよく行くのですが、昔の映像を見て、長野駅前の変貌には驚きました。 |
5.まずこの「熱風5000キロ」というのがわからなくて、劇中で5000kmも走っちゃいないだろうから、きっと「キロ」とは「キログラム」のことだろう、しかし5tトラックという訳でもなさそうだから、この5000kgってのは何だろう、春川ますみ母ちゃんの体重だろうか。 ってなことはどうもよくって、本作、マドンナ役が小野みゆきでいわゆる男勝りのキャラ、桃次郎もいくらか惚れたりはすれど深入りせず、どさくさまぎれに唇奪ったりしてもアッケラカンと健康的。むしろ彼女との酒飲み対決が見どころですが、この対決シーンが描かれ方がしつこい。しつこいと言えば、橋の上での地井武男とのにらみ合いもしつこくって、こういった「しつこい対決」が、見どころ、面白さになっています。離れ離れの母と子が互いに駆け寄っていく場面なんかも、この「しつこい対決」の延長戦にあるものでしょう。 まあ、物語の現実味という点では当然ながらムチャクチャな点もありますが、それもご愛敬。エピソードの繋がりと要所要所の盛り上げという意味では、ポイントを外さないのだから。ただしこのオハナシ、復讐譚の落としどころとしてはどうなんでしょう。確かにこれはこれでひとつのケリなんだけど・・・少し寂しいものも感じたり。 【鱗歌】さん [CS・衛星(邦画)] 7点(2015-11-15 09:34:08) |
4.ジョナサン、玉三郎のエピソードはなくても成立するが、手堅くまとまってはいる。 それにしてもトラック野郎シリーズは一見、無軌道なギャグ連発映画と勘違いされがちだが、じつは毎回様々な社会問題と重いドラマを扱っていて深い。 一本観ると非常に疲れる。 【ガブ:ポッシブル】さん [CS・衛星(邦画)] 6点(2015-10-05 19:59:15) |
★3.《ネタバレ》 自分がデコトラが好きなせいか、この作品は全作をDVDやビデオで制覇しています。
中でも主役の一番星号よりも、俳優そのものの演出が唯一生きていたのではないかと 思うのですが・・・・? それでもギャグの点もしっかり計算されているし 特にドライブインでのせんだを標的にしたインベーダーのシーンや スクランブラー(6輪の車)とパトカーの追跡シーン等 しっかり笑わせてくれました。
個人的にこの作品の一番星号が好きなのとシリアスな展開に免じて7点を献上。 【ダン・ブリッグス】さん [DVD(邦画)] 7点(2008-01-12 20:55:11) |
2.《ネタバレ》 シリーズもこのあたりになってくると迷走が加速。中盤から主人公をほったらかして、今回限り登場の人たち同士でシリアス復讐ドラマをやっちゃってます。とはいっても、公共物である橋をダイナマイトでふっとばしといて何のおとがめもなしで済むんですから、まあいいかげんなもんですが。マンネリ回避のためか、マドンナ初登場時に星が輝かないとか桃さんが最初と最後以外一番星に乗れなくなってるとか、色々小技は効かせてるんですが残念ながら面白さにはつながってきてません。インベーダーが出てくるあたりが、いかにも79年っぽかったかな。このシリーズは流行りものをすぐに取り入れるので(今回のマドンナもそう)、後年見れば懐かしめますね。ちなみにこの作品、東映系ロードショー時の併映は「ドランク・モンキー 酔拳」。ジャッキー・チェン主演作の日本初公開でした。 【KYPA】さん [DVD(邦画)] 4点(2007-02-19 00:37:42) |
1.んー、これはシリーズ全十作の中でも異色作かも。ま、ヒロインが“初代デビルマン”小野みゆき(男勝りで酒は桃さん以上に強い、という設定)っていうのもあるけど、桃さんとヒロインの恋より、むしろヒロインとその父親、それとライバル“ノサップの勝(地井武男)”の愛憎入り混じった確執に重点が置かれていて、あんまり笑いの要素も多くなくて「あり?」という感じでした。強引にたとえると「クレヨンしんちゃん」における「モーレツ!オトナ帝国の逆襲」みたいなことをやろうとしたけど上手くいかなかった、みたいな。どういう風にしてこの作品が出来上がったのか、興味深いところではあるのですが。 【ぐるぐる】さん 6点(2005-02-11 17:49:05) |