6.《ネタバレ》 評価をするのは難しい映画だが、素直に感動することもできるので、それほど悪くはない映画に仕上がっている。
映画としてはかなり物足りない作りにはなっているが、ラッセ・ハルストレム監督がベテランらしく温かくて優しい映画を作った。
パーカーとHACHIとの関係ばかりではなく、夫と妻との関係、父と娘との関係をもきちんと盛り込まれている。
特別なイベントは存在しないが、彼らの関係性やお互いに対する気持ちは伝わってくる。
本作のストーリーははっきり言って存在しないといってもよいが、ゴチャゴチャと話を膨らませるよりも、HACHIだけをメインに撮ろうと余計なストーリーを省いた点は逆に潔いともいえる。
本作において必要不可欠な「パーカーとHACHIとの交流」「パーカーを待ち続けるHACHIの姿」だけあれば十分と判断したシンプルさが最近の映画には見られないものであり、評価できる点にもなっている。
秋田犬は、表情が豊かなため、色々と問いかけているようにも感じられるので余計な説明も要らないだろう。
ストーリーは最後の最後まで極めてシンプルとなっている。
新聞に載ったからといって変なミラクルも起きず、登場人物と絡んで余計な感動を強いることもなく、駅で待つHACHIにあり得ないようなハプニングも襲わない。
ただただ、周囲の人々はHACHIを見守るだけだ(時折食事を与えるだけ)。
観客も彼ら同様に、主人を待つ続けるHACHIを見守るしかない。
それだけでよいのではないか。
パーカーの孫のやり取りは、本作を見る子ども達向きには良いまとめをしてくれたと思う。
HACHIの姿を通して、“愛する人を忘れない気持ち”を大事にするという大きな話でまとめてくれれば、これが特別な話ではなくて、自分にとっても身近な話だと分かるだろう。