35.《ネタバレ》 う~む。今作も、前作に引き続き大魔神がなかなか出てこない……。 鎌倉時代後期風の衣装だった1作目から、少々安土桃山風の香りを加えたコスから見て、おそらくは1作目から数十年後なのでしょう。名越家は島の神様を信仰する家でありながら、奉納の舞の舞台は明らかに寺院。しかし、神仏習合の時代考証的には無理は無い。なぁんてなどうでも良いことを考えながら観ていると、今回も少々強引だが分かり易いストーリーが進んでいく。 いや、この際ストーリーはどうでもイイです。領地を奪おうと攻め込んでくる強欲な悪の領主に立ち向かう2国の姫と王子(この二人は許嫁)みたいな取って付けたような話なので。内田朝雄さんが良い殿様をやってるのがちょっと意外で面白かったくらいです。 問題は大魔神ですよ。今作も焦らしに焦らしてラスト20分。発破掛けられて吹っ飛ばされそうになった島神様が、漸く怒って大魔神へと変貌する。 そして…………。ああ、『十戒』がやってみたかったのね……。『十戒』(1956)から10年。俺達だって特撮やるからにはアレくらい出来るところまでは来てるぜ! みたいな特撮屋さんの意地なんでしょうか? 湖が二つに割れて大魔神がノッシノッシと……。 後はお約束通り、大魔神が無双して、火炙りに掛かってる藤村志保を助けて、またも女の涙にご機嫌を直して御終い、と。 まあ粗削りだった1作目に比べて、大魔神が明らかに正義の味方になったかな? という作りの2作目でした。 【TERRA】さん [DVD(邦画)] 5点(2022-07-21 21:38:58) |
34.《ネタバレ》 前作と同年の夏に作られた第2作目。夏といえば水遊び、本作は湖の畔が舞台です。 で、知らなかったけど大魔神って1体だけじゃなかったのね。日本の各地に武神像があって、本作の魔神は湖の島に祀られている“水の魔神”。1作目のはさしずめ“土の魔神”だろうか?最後の去り際も、それぞれの属性に準じた消え方をしてる。 比較ばかりのレビューになってしまうけど、序盤から山をズンズン歩いていた(音だけ)前作に比べ、本作は魔神の活躍は終盤のみに集積されている。魔神登場まで、そのまんま、ただ時代劇を観てる気分になる。 武神像の顔が赤くなったのは、早百合を見て照れたのかと思ってしまった。破壊のために爆薬を使うのは、前作で有効かどうか気になった戦い方。あれだけの爆薬だったら、たとえ武神像でも粉微塵に破壊できるんだな。 早百合の涙で動きだし、悪を倒した後、早百合の涙で止まる大魔神は、2作目にして正義のヒーロー物になってしまった。止めようのない自然災害、荒ぶる神の怒りを魅せてくれた前作と比べ、同じ大魔神でも別人格の存在に思えた。もちろん2作品の魔神は別々の存在だから、問題はないんだけど、身近な神様になってしまった気がして、残念にも感じた。 ただ自分に害を与えた親玉が誰かを判断し、確実に惨殺(!)するところは、やっぱ大魔神さん怖ぇ…って思えた。 本作の武神像は、名越の殿さまが国の神様として永らく祀っていたものだから、民も武神を信仰していただろうし、村人に優しい魔神になったのかな? 【K&K】さん [インターネット(邦画)] 5点(2022-03-24 01:30:26) (良:1票) |
33.《ネタバレ》 続編ってことでストーリーも一新。 破壊されたり侮辱されたり大魔神の威厳もあるわけだからそりゃ怒りますわ。 今作も気持ちいいぐらい天罰を下すわけです。 ただ、1、2と観ておもうことは大人向けなのか子供向けなのか線引きが難しい。 この年なのでもっとエグイシーンを使って視聴者の怒りを買ってほしかった。 |
32.《ネタバレ》 大まかな見どころは【隣歌】さんが書いておられるので、かいつまんで。 大魔神が出てくるまでのストーリーは前作より劣るものの、大魔神の迫力はさすが。 ダイナマイト爆破にもビクともせず、執拗に敵を追い回す。 前作はまだ善悪の区別が曖昧だったのに、なんか今回は完全にヒーローになっちゃってる。 一言も発しないのがこれまた良いんだな。 最後は超能力かなんかで炎ミサイル攻撃?まで駆使して総大将をやっつける。 これぞ因果応報、観ている側をスッキリさせてくれる。 【mhiro】さん [CS・衛星(邦画)] 7点(2018-08-12 18:16:21) (良:1票) |
31.《ネタバレ》 前作との差別化を図るためか、今回は他国からの侵略、しかも同盟している2つの国を手に入れるというすごさ。おまけに武神像をこわしてしまうのですから、御子柴はやりたい放題。今回は十郎と早百合姫が別々に逃げ回っているのですが、それにしては話がややこしくならず、うまくさばかれていたと思います。捕まるのもけっこう後の方ですし、わりと段取りを踏んでいるので前作のような不満も起こりませんでした。 大魔神の暴れ方がおとなしいのですが、ひょっとして千草か名越の領内(どっちだったのかあまりよくわからない)だったから、あまり暴れなかったとか? 今回は、自分から積極的に建物を破壊しようという動きが見られず、大魔神を止めようとして周囲の建物が崩壊する、というパターンだったように見えます。他にも超常的な現象を起こしたりと、前作とはやや異なった性格のように思われますが、場所が違うのですから同じ魔神である必要はなく、それほど気になりませんでした。 さて、本作では「神も仏もないのか」という台詞が出てきたり、鐘が重要なアイテムとなっていたりして、少々仏教的な部分もあるのかと思われますが、基本的にはやはり「ちょっと洋風な戦国時代」という、不思議な世界となっているようです。女性をはりつけで火あぶりにするというのはジャンヌ・ダルクを連想させますし、湖の底で鐘が鳴り響くというのは、どちらかというとヨーロッパのイメージでしょう。このように、時代劇に洋風の要素をうまく加えたところにも、面白味があると思います。 【アングロファイル】さん [CS・衛星(邦画)] 7点(2017-08-17 20:34:09) (良:1票) |
30.《ネタバレ》 これはですね。もう、藤村志保様に尽きます。この気品、和風美人顔、凜とした空気。前作の高田美和は、ひたすら純粋に祈り続けるという趣でしたが、こちらの志保様は、何というか、神様ともどこかで意思疎通ができてそうな厳かな雰囲気を感じるのです。今度は大魔神の暴れ方がトーンダウンしている、と感じるのはやむをえませんが、それは、相手が志保様だったからです。しかもクライマックスでは、その志保様を白装束にして十字架に磔にして延々火あぶりにするという、超サディスティックな演出。敵の悪逆非道ぶりもいっそう際立つというものです。 【Olias】さん [CS・衛星(邦画)] 7点(2017-08-17 00:48:26) (良:1票) |
29.《ネタバレ》 いつになったら大魔神出てくるのかなと思っていたら、最後になってようやく出現してくれましたね。 どストレートな勧善懲悪のストーリー。悪者に対して大魔神様が鉄拳を食らわしてくださる。 半世紀以上前の映画にしては特殊効果など頑張っているかと思います。 海が二つになるのはやはり十戒を意識してるんでしょうか? 日本的なものと西洋的なものの融合がなんとも言えない世界観でした。 【あろえりーな】さん [CS・衛星(邦画)] 6点(2017-08-15 12:17:53) (良:1票) |
28.《ネタバレ》 一作目「大魔神」に続き、二作目のタイトルに付いた単語は、まさかよもやの「怒る」である。既述ではありますが、私も「前作でアレだけ荒ぶっといて、ワザワザ今作で怒る、とか、怖過ぎやろ大魔神!」と、ぷるぷる震えながら観賞。 冒頭、逃亡を図る領民の虐殺に始まり、千草・名越領への無慈悲な夜襲、その後の「発破による武神像突貫爆破!」で、物語の前振りは完了です。礫になろうとも、武神像。弾正の配下・鬼子島玄蕃が乗った舟を襲撃・沈没せしめる、いわゆる激おこ状態。胸に刺さった礫は「ワシ、完全に怒ってます」というダイイングメッセージです。その後、兄勝茂、十郎、嘆き悲しむ民衆の眼前で、さゆり嬢を火炙りにするという弾正。「武神像は女の涙で大魔神に覚醒する」という前作でみせた特性を、弾正は知る由もありません。 荒ぶる大魔神は、モーゼの如く湖を二つに裂き、破壊に次ぐ破壊で御子柴勢をビビらせます。大魔神、そこが名越領であろうともガン無視で破壊です。怖いよ!ガン無視で荒ぶる大魔神、怖いよ!冒頭で武神像を木っ端微塵にした発破作戦も徒労に終わり、最終的に「動く石仏に対して、舟で逃げる」という巧妙な手段に出た弾正ですが、大魔神、まさかの発火技で弾正を火炙りに処します。まさしく「目には目を」です。若しくは「弾正なら、爆死に準じる死に様が妥当」との判断でしょうか。怖い! やー…面白かったが、怖かった。大魔神、怖過ぎ。前作のレビューでも書きましたが「大魔神の中途半端な大きさ」が、怖い。次回作は「逆襲」ですか。楽しみです。怖いが。 【aksweet】さん [DVD(邦画)] 8点(2017-06-03 06:44:22) (良:2票) |
★27.古い映画だけど映像は頑張っていると思う。 初見だけど、大体どんな話なのかは容易に想像できてしまう予定調和。 何か物足りないなあと思っていたら、これはシリーズ2作目だったのね。 映画そのものの面白さは微妙だけど、50年前に作られた時代の空気を感じることができたのが良かった。 【もんでんどん】さん [インターネット(字幕)] 5点(2016-02-21 01:00:24) |
26.《ネタバレ》 私はこのシリーズをテレビで見た世代です。そして初めて見たのは小学生の頃、この2作目でした。1作目はもっと年齢が高くなってからです。皆さんのご意見の通り、1作目のほうが私も「知的」には名作だと思い、その旨、レビューにも投稿しているのですが…、私の場合は、この2作目が最初だったものですから、1作目を見たとき「顔が変わるときのポーズが違う…」「伊福部昭さんのBGMも何となく違う…」「磔になった人を障害物として乱暴に倒してしまうんだな…」と実のところ違和感がありました。30年以上経って、ようやく、1作目と共にこの2作目も鑑賞できたのですが…湖から現れた大魔神の顔が変わるときのポーズを見て「そうそう!これが自分の知っているポーズだ!子供の頃、よく教室で真似したよな…」、そして湖が割れて大魔神が歩き出すときのBGMは1作目には流れていなかったメロディーであり「これこそ、自分の心に刻み付けられていた大魔神の音楽だ!」と小学生の頃の感激が一気に蘇ってきました。水に濡れて黒光りする大魔神も1作目とは一味違う魅力があると思いました。磔になった小百合姫(藤村志保さんが初々しいこと!)を丁寧に地面に横たえるシーンや、ラストで湖の底から鐘が響いてくるシーンも記憶の通りで感動しました。今回の大魔神は正確には「大守護神」と言ったほうがよく、そのため、人間の善悪を超えた恐ろしい存在として描かれた1作目を見た方々には確かに物足りないとは思います。しかし、私にとっては「情緒的」に大好きな作品であることは否定のしようがなく、子供時代に刷り込まれたものの大きさに驚きました。 平成28(2016)年8月13日(土)追記:最近「今から50年前の昭和41(1966)年8月13日に当作品が公開された」と気づき、あらためてDVDを観直しました。公開当時はお盆であると同時に、終戦の日の8月15日とも重なる時期であり、まだ終戦の昭和20(1945)年から21年間しか経っていませんでした(若い人達には21年間は長いかもしれませんが、年配の私にとっては、あっという間です)。そうなると【善良な人達のために、悪者を炎と共に滅し、平和を祈って鐘を鳴らす守護神】として描いた当作品は【人間を容赦なく踏み潰す・串刺しにする】といった生々しい表現の多かった第1作に比べてインパクトは弱くても、いや、だからこそ、公開当時の観客の皆さんには、むしろ受け入れられやすかったのではないか…と思いました。そして湖底から平和を祈る鐘の音が響き渡るラストシーンは【陰ながら見守って下さっているご先祖さま達/戦争で亡くなられた方々への鎮魂】と重なって、観客の皆さんには、真摯に心に響いたのではないか…そんな想像を巡らせながら観ることができました。ちょっと深読みしすぎかもしれませんが…。 さてあらためて採点ですが…第1作は紛れもない傑作であり「1作目ありきの2作目」だとは思いますが、やはり個人的には、当作品もひいきしちゃいます。最初の投稿当時と変わりなく【3部作をまとめて日本特撮映画の古典的名作】と位置づけて10点を献上します。 【せんべい】さん [DVD(邦画)] 10点(2014-12-08 23:37:29) |
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25.《ネタバレ》 おーっ!今作の大魔神は湖底のポセイドンだった!前作と同じで勧善懲悪モノだけど映像の迫力がかなり増していました。湖が割け大魔神が現れる場面はまるでセシル・B・デミルの十戒の如きインパクト。暴風雨と共にゆっくり迫ってくる姿は恐ろしいですね。早百合を火あぶりにしようとした悪代官がラスト、船上で大魔神に焼き殺される映像が頭からはなれません。ちょっと物足りないのが、前作のように大魔神が見境なく暴れないところ。タイトルに「怒る」が付いてる割には、あっさり帰っちゃいましたね・・・ 【スノーモンキー】さん [ブルーレイ(邦画)] 7点(2014-12-06 01:25:04) |
24.現在、アマゾンで「大魔神三部作」の海外版ブルーレイ(リージョンA)が、1600円で販売されています。値段変動が激しいので、購入するタイミングを間違えないように。 ところで、本作ですが、前作とほとんど内容は同じで、では何を楽しむかと言えば、やはりCGでは表現できない特撮技術を堪能することですね。 ヒロインの藤村志保さんの祈りで大魔神が動き出すのも前作と同じですが、特撮のハイライトといえば、水を使っていることです。 水はミニチュアにできないので、よくここまで頑張ったと思います。 【クロエ】さん [ブルーレイ(邦画)] 6点(2013-11-17 15:50:56) |
23.《ネタバレ》 取り立てて何が良くなった、悪くなった、と言う訳でもない話だが、ひとつだけ私的には不満が残るのは、今作以降の魔神は、聞き分けが良く、きっちりワルモンとイイモンを区別して、目的がすんだら行儀良く帰る、という事だ。魔神なのに、ヒーローになってしまった。コメディアンになったゴジラよりはましだが。 今作は前作と違って、ワルモンも火薬を使う事で派手で強力になった。まず初めに石像が木っ端みじんになるし、怒ってからも吹き飛ばされそうな場面もある。それでも結果が決まっている話だから、ドキドキ感は無いけれど。 【Tolbie】さん [ブルーレイ(邦画)] 6点(2013-03-24 22:08:05) |
22.《ネタバレ》 1作目と似たようなプロット。そこに水だの発破だのなんとか絵的な変化をつけようという努力がみえるのはいい。藤村志保の熱演も光る。しかし見終わって得られるカタルシスは1作目に比べ大幅に減少している。追いかけっこの繰り返しという平板なドラマパートも痛いが、最大の問題は最も気分が高揚するはずの水面割のシーンに、劇中の目撃者がいないこと。あそこは劇中の人物と観客が驚きを共有することによって初めて真の興奮が得られるのではないか。欲を言えば、悪役どもが恐れおののきつつ圧倒的な水量の水に呑まれる〜それを驚愕の眼差しで見届ける主人公ご一行、といった演出があったら、とてつもない名シーンになったのではないか。そこらへんのツメの甘さがなんとも残念でならない。さらに魔神が一仕事終えて勝手にアクションを停止してしまうのもいただけない。1作目の最大の美点は魔神が荒ぶる神であり、善悪という人間の都合を超えた存在だったところだ。悪を倒すという目的を持って行動してしまうアラカツマは正義の味方、良い奴であって到底“魔”神とはいえない。そのせいで乙女の涙の価値、ならびに物語の深みが半減してしまっている。 本当に惜しい。 【皮マン】さん [映画館(邦画)] 4点(2013-03-06 19:05:46) (良:2票) |
21.大魔神シリーズの第2弾。場所や登場人物などの変更はあるが、 基本的なストーリーは変わらない。ヒロイン役も高田美和から藤村志保に。 子供向けの特撮映画だが、大人の鑑賞に堪えられるシナリオで不思議な印象を抱いてしまう。 今度の大魔神は湖の真ん中にある"神ノ島"という小さな島に祀られており、 その登場シーンは迫力があってかなりの出来映え。まるでモーゼの十戒ばりで、 荘厳でありながらカッコいいとさえ思わせる。それにしても真面目に作ってるなぁと、 感心することしきりの作品だった。 【MAHITO】さん [ビデオ(邦画)] 6点(2011-09-19 21:57:22) |
20.この時代にしては、特撮は頑張っていると思う。だけど、十戒ばりの水が割れるシーンには笑ってしまった。お話としては前作よりもつまらなかった。頑張って3作目も鑑賞します。 【doctor T】さん [ブルーレイ(邦画)] 4点(2010-11-28 21:03:06) |
19.《ネタバレ》 大魔神はクチをへの字に結んだまま、ひと言も喋りません。学生時代、いつも汚いジーンズを履いていたヤマグチと一緒に、アフレコ機能付きの家庭用VTR(当時、そんなものがありました)を使って御子柴禅正を追い詰めてゆく大魔神に声を入れました。選んだ素材は「カリオストロの城」のクライマックス、時計塔でクラリスを追う伯爵の声(石田太郎氏)。「フェッヘッヘッヘッ、ヒハハハハハ、そらそら、どこまで行くのかな~、クラリス?」 クラリスって部分はカットしましたが、あの陰湿な声がなかなかフィットする。「減らず口はそれまでだっ(ルパンを竪穴に落すシーン)」と言わせて火炎で弾正にとどめを刺しました。遊びに来た友人たちに事前に情報を与えずに見せるとギョッとした後に軒並み大笑い。約30年前の悪ふざけです。両作のスタッフの皆さま、ごめんなさい。神様、怒らないでください。 【アンドレ・タカシ】さん [地上波(邦画)] 6点(2010-10-17 01:07:05) (笑:1票) |
18.《ネタバレ》 大魔神も二作目とあって設定も当然パワーアップされています。本編自体は単純な勧善懲悪ストーリーなので悪役の非道ぶりが重要なのですが、今回の悪役である御子柴弾正は隣国を攻め入って平らげようとしたわけです。他国を征服するのは戦国武将の習性ですのでそれを現代の価値観で批判しても無意味で、その分攻められた千草と名越の領主をどれだけ善玉に仕立てるかがカタルシスに繋がってゆくわけです。その為の設定としてひたすら信心深い領主さまということになり、戦国領主と言うより神主一族みたいな平和主義の奇妙な武将になっちゃったのは笑っちゃいます。弾正に攻め込まれてむざむざ斬り殺される名越の殿様(なんと内田朝雄が善人役!)の情けない姿には、戦後日本に蔓延していた無抵抗平和主義思想を垣間見るようで情けないところです。魔神も本作では木端微塵に爆破されちゃうし、そりゃ「怒る」のも無理ないですよね。相変わらず魔神が暴れるシーンのミニチュアワークは芸が細かくほれぼれしまうが、さすがに十戒みたいなあのシーンはちょっとやり過ぎでは(笑)。 たかが特撮映画と侮るなかれ、良く観れば製作当時の風潮がわかるというものです。 【S&S】さん [CS・衛星(邦画)] 6点(2010-10-11 10:36:36) |
17.《ネタバレ》 ◆御子柴国は山中で民の生活は苦しく、湖のある豊かな千草国への逃散が後を絶たない。領主弾正は千草征服を決意、五千の兵で乱入。不意を襲われた千草は為すすべなく降伏。領主十郎は辛くも分家の八雲国へ逃亡。十郎を追った弾正は勢いにまかせ八雲をも征服。領主を殺し、若殿を幽閉。十郎を差し出せと命じる。皆が余りにも神之島の神像を崇拝するので、見せしめに爆破。十郎は神之島に漂流。結局捉えられ、若殿とその妹で十郎の婚約者さゆり姫と処刑されそうになる。姫の頬に涙が光ると大魔神登場。悪を踏み潰す。◆悪逆非道の悪者がいて、それを大魔神が懲らしめるのが筋。当然悪逆非道ぶりを際立たせないと成功しないが、そこが弱い。前作の悪者は若くて憎々しかったが、本作は老けていて頼りない。殺す場面もインパクトなし。淡々として、どこかお芝居っぽい。残虐性が薄いので、大魔神が登場してもカタルシスが得られない。◆大魔神の登場シーンは華々しく賞賛に値するが、大暴れシーンは物足りない。兵の損傷がほとんど無い。武将が大岩の下敷きで死ぬシーンがあるが、お粗末な出来だ。弾正があきれるほどあちこち逃げ回って、その度に兵が犠牲になり、とうとう一人になり船で逃げ出すという演出が欲しかった。大魔神の前では人間は虫けらの如き存在でしかない筈。◆弾正は火矢のようなもので船ごと炎上死するが、これも物足りない。火には浄化のイメージがあり死に方として優しすぎる。手でひねりつぶすとか、短剣で刺すなどの原始的なものがふさわしい。残虐性があるからこそ、大魔神を恐れ敬う心が強く刻まれるのだ。◆大魔神は暴れ出したら止められないという前作の方針はどこへやら。礼儀正しく姫を救い、横たえるが、それではダメ!「善悪」よりも「怒りの爆発」が見どころの筈。神像が爆破されても登場しないのに、姫の涙で登場するのも理屈に合わない。「飼いならされた大魔神」は魅力半減。◆神像は早々に爆破され、その後いくつかの怪異が見られ、最終的に大魔神が登場する。この間が悪い。「爆破されて怪異が次々起り、遂に大魔神登場」としないとテンポが生まれない。神像破壊はもっと後の方にすべきだった。【気になった点】①鐘は重要な意味をもつが、何故が屋根がなく、雨ざらし。②国を争う数千人規模の戦闘なのに戦闘があっさり。③子供が若殿を救うのはリアリティがなく減点。④婚約中の二人が愛し合っているシーンが必要。 【よしのぶ】さん [ビデオ(邦画)] 6点(2010-09-29 22:48:22) |
16.平和主義の国に乱暴な隣国が攻めてくればあっさりと国が乗っ取られる 戦国の世はおそろしい。 前回同様、出てきそうでなかなか出てこない大魔神。 罪のない民衆にまで襲いかかる前回のコワさが薄れていたような…。 前作を見ていればあまり意外性のない手堅い内容ではあるけれども、 時代劇の部分がしっかり作ってあって、今となっては作れないほどだと思う。 続けて観ないで、前作を忘れたころに観るのがちょうどいい。 【且】さん [CS・衛星(邦画)] 8点(2009-04-11 22:05:22) |