3.「教皇選挙(コンクラーベ)」の表裏で渦巻く思惑と陰謀。暗躍する秘密結社“イルミナティ”の存在。宗教と信仰で重ねられた歴史の中で埋もれてきた「謎」を解き明かすプロセスは、とても興味深く、未知の領域に引きずり込まれる感覚はエキサイティングだった。
映画作品としての前作「ダ・ヴィンチ・コード」は、キリスト教そのもののタブーをピンポイントでえぐり出しいた分、特に信者でない者にとっては、逆に今ひとつ衝撃性に欠ける部分があったというか、ピンとこなかった。
しかし、今作は宗教と信仰のもっと根本的な部分、即ち人間そのものの不完全さを物語の核心として描き出しているので、随分と移入しやすかったのではないかと思う。
宗教の歴史的な謎解きに留まらず、そこに「殺人」、更には「陰謀」という要素を絡め、一つの壮大なサスペンスへと昇華していく。
そしてその中で、信仰と科学の「対立」による軋轢と、そこから導き出される「融和」を巧みに描き出す。
原作を未読なので、例によってこの“映画化”が成功しているのかどうかということは、実際のところ判別できない。
ただし、“映画”単体としては、物凄く良い映画だと思ったし、純粋に楽しめた。
この映画を、文芸作品とか歴史作品などとして捉えることは間違いで、そんな見方をしては決して楽しめない。
この映画は、娯楽であり、崇高なエンターテイメント映画だと思う。
重厚でサスペンスフルな展開に身を委ね、バチカンの教会や彫刻の多さに感嘆し、ユアン・マクレガーのマルチぶりに賞賛を送りつつ、「結局、宗教って何なのだろう」と漠然と問う。そうやって楽しむ映画だ、と思う。