★1.《ネタバレ》 まず何より、主人公であるメイ・パンがとても魅力的である。 メイ・パンは決して美人ではない。しかし何というか、微妙且つ絶妙に可愛い。個人的には眼鏡がツボ。 この映画を楽しむには、まずメイ・パンに感情移入しなければならない。それが容易であったのは良かった。
そしてこの映画には、我々ビートルズファンにはたまらない答え合わせが用意してある。 この映画はジョンとメイの2人の生活を記しただけの物語ではない。ビートルズファンにとって、大変ハッピーな出来事が起きた頃の証言記録だ。 かつてポールが語っていた、ジョンとの和解のタイミング。 ジョンとヨーコの別居を知ったポールがダコタハウスに赴く。自分に何が出来るかとヨーコに問うポール。ポールはすぐにヨーコの伝言を手に、ジョンの元に向かう。 これを機に、ジョンとポールの友情は復活した。 この美談がどのタイミングで生まれたか、映画を見るうちに分かって来る。この時ジョンとポール最後のセッションが行われた事、二人の仲睦まじい姿がメイによって撮影されていた事。全てが繋がる。そういった意味でも、大変貴重な映画だ。
さらにジョンがビートルズ再集結についても前向きな姿勢を見せていた事、しばらく経ってからもジョンはポール夫妻と会いたがっていた事も明かされる。これらは全てジョンがメイと共にいた頃の出来事だ。これだけでも素晴らしい映像化と言える。メイは貴重な歴史の証人だ。 皮肉にもこの和解劇の直後にビートルズは法的に解散が正式決定する。まさかこんなタイミングだったとは。 しかもジョンは4人が集まって署名すべき場所に一人不在。彼の複雑な思いが垣間見える。
ただ、ポールが別居していたジョン夫妻の仲介を果たした結果、ジョンとメイに永遠の別れが訪れる事となってしまうのもまた事実。何とも皮肉だ。
この恋愛が終わってしまったのを我々は知っている。非業の死を遂げたジョンの物語であるが故悲しい結末を迎えるが、しかしメイとジュリアンは今も親子のように仲睦まじい。そこに何より救われるラストだった。本当に観て良かった。ビートルズファンには必見。 真実を伝えてくれてありがとうというメイの言葉が印象的。 【にしきの】さん [映画館(字幕)] 9点(2024-07-02 15:26:22) |