20.《ネタバレ》 アカデミー主演男優賞を逃したマイケルキートンに、心の主演男優賞を贈りたい。彼はこの映画でとんでもなく多くのチャレンジをした。かつてのヒーロー映画で輝いていた自分を否定するかのように、いや受け入れつつも新しい自分を獲得するために。映画を観ていただければすべて説明されているが、この役を演じるために、リーガントムソンになるために、マイケル自身も多くの犠牲を払ったと感じた。エドワートノートンも素晴らしい。しかしノートンに食われることもなく、マイケルは主役であり続けた。心を持っていかれた。他の登場人物も素敵。人間的。カメラワークは長回しを多用しても映像で酔うこともなく、シームレスに人間から人間へ場面がつながれている素晴らしい撮影技術。ドラムなどの打楽器で奏でられるBGMも作品のテンポを助け、ハリウッド映画と演劇の違いを爆発させる。これらにマイケルキートンが助けられているのではなく、マイケルが牽引している。感銘を受けた。 物語でいう比喩を映像表現にするとこうなったんだ。空を飛ばなくてもいい映画で空を飛ばせた制作サイドのセンスがすばらしい。 で…なんで字幕がからし色なんだ? 【JF】さん [試写会(字幕)] 8点(2015-04-22 13:00:37) |
19.思ったよりは楽しめる内容でした。ハリウッドの映画俳優だって舞台に再起をかけて(命をかけて)やってるんだ、分かったか?このクソ演劇評論家め!と言う気迫だけは見て取れた。悪い映画ではないし、アカデミー賞選考委員に評価されそうな映画だと言うのも分かるが、一般の映画人としては「これがアカデミー賞?ないわぁ」でいいんじゃないでしょうか。 【ぴのづか】さん [映画館(字幕)] 6点(2015-04-18 15:10:36) |
18.アメリカンスナイパーとこれだったら、私はこれ。 大した内容はないのかもしれないけど、最後まで楽しめた。 病院の前に一度途切れたのがなかったらもう1点つけてもいい。 細かい挿話がいちいちにやっとさせられて良かった。 内容を全然予習せずに観たのもよかったかも。 こういう演技を見せられると、日本のドラマは見れない。 |
17.《ネタバレ》 マイケル・キートンが、落ちぶれたかつてのスーパーヒーロー(役の人)を演じているというキャスティングそのものがコメディだし、彼が飛行機で乗り合わせた(確か)ジョージ・クルーニーをうらやましがるところや、パンツ姿で往来を歩く羽目になるあたりなど、たぶん米国の劇場では大爆笑のシーンなのでしょう。でも、日本の劇場では誰も笑っていませんでした。映画の背景全く調べていませんが、これはNYのスタジオ製作の映画でよいのでしょうかね?それでいて、ブロードウェイの舞台の文化と比較して、ハリウッドの映画文化を思いっきり貶める内容等も、おそらく情報通にとってはずいぶん奥の深い映画なのでしょうが、それほどマニアックではない私では、半分ほどしか楽しめなかった気がします。ということで、この点数です。どうも、私はこの監督さんの映画は苦手です。 【Northwood】さん [映画館(字幕)] 5点(2015-04-16 00:24:42) |
16.《ネタバレ》 作品はなかなかおもろかったです。思ったのは、批評家の存在ということと、批評される側の人間達の存在ということを思いました。(どちらも、生活の糧なんだよなあ) あと、おもったのは、わたしは幼少のころからクラッシック音楽(映画音楽の親分みたいなもん)を愛しているので、こういう、ダイレクトと言うか、脳のない、使用のされかたは”?”クエスチョンマークが残る。(当然、この監督だけではないが)その曲、おまえが作曲したのかよ!と毒付きたくなるのだ。というのは、(自論)クラッシック音楽は(というか、ある種類の音楽全般)それだけで充分出来あがってしまってるの(完成品)で、別に、つまんない”映像群”なんかをひつようとしない。(ああ、おれ、なんか馬鹿なこといってるなあ)それに、音楽ながすのなら、もっと、”熟考”し、あるいは、自分でつくれよ!といいたいのだ。映画作品とはおれが言うまでもなく”総合藝術”でもあるとおもうんだ。(だからこれは、まあ娯楽か)。。。。。。。。。。 でもたぶん、この作品は”芸術”をねらってると思うので、それならばさ、”フィギュアスケート”じゃねーんだからさ、”B、G、M、!”ラフマ二、チャイコ、マーラーで一丁上がり!、じゃ、ちょいと違うんじゃねーの? って言ってんだよ!!なんかさ、惜しいね。製作者サイドの文化水準が見えちゃうというかさ、、、、、 ドラムはまあギリギリの、、、、、、なんかこう、センスが、、、、、。 【男ザンパノ】さん [映画館(字幕)] 7点(2015-04-15 02:10:09) |
15.《ネタバレ》 「fallout3」や「Metro2033」で施設の中をずっとウロウロしてNPCの会話をひたすら聞いている感覚に似ていると思います。独特の浮遊感が癖になります。昔バットマンだった人と、アベンジャーズを解雇された人と、スパイダーマンを契約満了し主演男優とも破局した人を用いた大人の遊びで、あまり笑えないギャグ映画だと思います。入院前でカット映像が入ったのはとても残念です。予告編を盛り上げたGnarls Barkleyの"Crazy"が本編では流れなかったのでしょんぼりしました。 【DAIMETAL】さん [映画館(字幕)] 5点(2015-04-15 00:54:06) |
14.《ネタバレ》 入院して顔の包帯がマスク状態になったリーガンはまるでバードマンのようであり、また、隣りの劇場で上演していた『オペラ座の怪人』のようでもあり。 非常に演劇的な流れを非常に映画的なテクニックで描いた快作。シームレスでどんどんと展開してゆく、まるでナマを捉えたような世界は演劇のようですが、一方でそれを描くのはカメラが自在に被写体を捉えてゆく映画ならではの世界。 つまり、ここに登場する人々はことごとく舞台と映画とで線引きをしたがっているのですが、実際には舞台も映画もそんなに差のあるものではなく、一つのフィールド上に置く事だってできるのですよ、と。そう、この映画そのものがそれを立証するかのように。 そして、現実すらもまた、舞台や映画とどこがどれだけ違うのか?と。 演じる事、生きる事、生なのか、加工されたものなのか、それに優劣を付けようとする、価値の差を見出そうとする、それがそんなに大事か?って。 なので私にはこれが「バードマンで何故悪い?」という話に映ったので、大変に気持ちの良い映画でした。商業主義に対して批判的なように見えつつ、むしろ逆にアメコミ万歳!みたいに感じられて。 飛び出す数々のネタや笑いも含めて、難しい事を考えるよりも単純に楽しんでこそ吉な映画だと思いました。 それにしても相変わらずエマ・ストーン、キレイ。 【あにやん🌈】さん [映画館(字幕)] 8点(2015-04-14 23:58:15) (良:2票) |
13.バットマン あるいは(顛落がもたらす予期せぬ脚光) 【タケノコ】さん [映画館(字幕)] 8点(2015-04-14 20:18:02) |
12.商業主義に中指を立てつつも、結局は自分のキャリアや野望を捨てていない。アーティストとして生きることのもどかしさを滑稽に、そして切なく描いているように思えました。何故、自分はこの世界にいるのか。自分のやりたいことをやるだけではダメなのか。もっと高みを目指さないとダメなのか。自己満足ではダメなのか。自分はダメなのか。・・・それでも自分はアートを創り上げてみせる。自分はこうやって生きるんだ。・・・そんなアーティストたちの叫びたちが聞こえた。ワンカットに見えるように撮られているので、途切れのない一つの劇のようでした。圧倒的な台詞量がこれまた劇っぽい。アツい映画でしたよ。 【Y-300】さん [映画館(字幕)] 9点(2015-04-13 01:57:16) |
11.あれ?「つなぎ目」がないぞ!?と序盤で気づいてから何となく嫌な予感が。楽屋と舞台を行ったり来たりしては新しい物語が始まる。でもそのエピソード一つ一つが不快なものばかりなのでうんざりしてしました。見た事の無い撮り方は面白いな、とは思いましたが、内容的には酒と女と暴力とチャイルディッシュなおっさんの博打と妄想なので、付いて行く気が失せます(そしてドラムがうるさい!)。観る者を選ぶ映画なのは確かです。解釈がいろいろと出来る方には面白いのかも知れませんが、この回りくどさは私には合いませんでした。 バードマンは明らかにバットマンのオマージュですが、マイケル・キートンの胸中は如何に?アベンジャーズが総出演していましたが大丈夫だったのでしょうか?ナオミ・ワッツ老けたなぁ!・・・等々、本筋とは違うところではいろいろと考えさせられましたが。まあ、生きるって大変ですよ。 【Kの紅茶】さん [映画館(字幕)] 5点(2015-04-13 00:14:19) |
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10.《ネタバレ》 観ても共感できない人も多いでしょう。 世界観も雰囲気もご自分と合わない方も多いことと思います。 しかし、私にはとても面白かった。 心の琴線に触れました。 あたかも美術館で一流の絵画や芸術作品を鑑賞したような高揚感に包まれました。 芸術的だし高尚だし、監督と撮影監督の才能に惚れ惚れしました。 現実と幻想についてはこちらでレビューされているとおりだと私も同感です。 この作品で素晴らしいのはその語り口です。 あざといと言われそうなほど人物と近い近いカメラワーク。 ワンカットかと思わせるほど切れ目なく物語が語られて行きます。 息つくところがない、緊張しっぱなしで、さあ付いてきてねという作品です。 そこをなんとか疲れながらも付いて行くと、ある時ふっと画面に惹きつけられ高尚な気分にさせてもらえます。 自分がスクリーンにとても近く感じました。 じゃあそのまま、私の思うとおりに楽しくお話が続くかと思えば、大間違い。 現実と幻想が私の予想に反して、面白いぐらいに奔放に、ああ、こうくるのか!と展開していきます。 私の思ったのとは違う展開もとても魅力的でした。 とんでもない事になっていくのにワクワクしている自分を感じて、そこも意外だし興味深かった。 そんな私はゴダール監督も大好きなのですが、この作品はそこまで解りにくくはない。 でも一筋縄ではいかない面白さと、一般人が理解できる解りやすさと。 そのバランスがとても良い。 絵画に例えれば、抽象的だけど写実もちょっとあるみたいなバランス。 私の今年のベスト映画のひとつになった秀作です。 アカデミー賞を取っただけあるなと思いますし。 賞を取ったから地方でもシネコンで上映されたのだから、とても有難いことだと観られて良かったです。 サムの笑顔がとても良かった。 【たんぽぽ】さん [映画館(字幕)] 9点(2015-04-12 21:39:25) (良:1票) |
9.《ネタバレ》 なぜ作品賞をとったのか理解に苦しみます。一般の観客には受けないでしょう。カット割りもなく正直気持ち悪いです。また音楽もドラムがドコドコ鳴っていて、不愉快です。 |
8.これほど納得のいかない作品賞は久しぶりだろう。あたかもワンカットで撮ったような映像世界で、映画と演劇、現実と虚構、娯楽と芸術、滑稽と悲哀、愛情と孤独が縦横無尽に駆け回り浮かび上がっていく。しかし、思わせぶりの哲学的要素を掲げ、深みが増したように見せかけて、それほどの奥行きにまで到達していないように見えた。百歩譲ってチャレンジ精神は買おう。それでも、ショービジネス、技巧、インテリ、如何にも会員や批評家が陥りやすい業界受けで観客無視の凡作だと思う。自分は、会員のほとんどを占める御老体のエリート白人男性の仲間になることができなかった。ここで思い上がらず、次回作は直球でお願いします。自分の感性が衰えてしまったのかな? |
7.《ネタバレ》 この映画を語ろうと思えば、やはりまずは全編まるでワンカットで撮ったかのようなあの流れるような映像になるでしょう。ステージや楽屋を行き来しては、ドアを開き屋上や外へと行ったり来たり。俳優の歩くシーンが大好きな僕にはたまらなかったです。普通ここまでカットがないと疲れてくると思うのですが、場面転換の仕方も巧く、2時間にまとめられており、最後まで画面に釘付けでした。現実と妄想の交錯や一つ一つのエピソード、ラストの病室のシーンなど、ストーリーも非常に興味深く、もう一度見直してみたいですね。多くの人に是非劇場で体感してほしい映画でした。 |
★6.《ネタバレ》 どこまでが「バードマン」(幻想)なのか。語りかけてくるバードマンと宙に浮き物を動かすのは幻想だそれは理解できる。私は前妻も幻想だとしか思えない、都合の良い時に楽屋に来て慰めてくれるからだ。サム(娘)は現実だが、病室のシーンからは全部妄想だ、新聞のトップを飾る絶賛された評論家のコメントも全て妄想、舞台の上ですでに死に、最後に都合の良い妄想を抱いたのだろう、そうでなければサムは空を見上げない。「バードマンあるいは、、、」とはそういう意味だろう。ちょっと「未来世紀ブラジル」を思い出した。 【かのっさ】さん [映画館(字幕)] 9点(2015-04-12 00:07:50) (良:6票) |
5.《ネタバレ》 ヒーロー映画で大ブレイクするも、その後は鳴かず飛ばずの落ちぶれ俳優で私生活もボロボロ。そんな彼が俳優としての評価を取り戻そうとアートな舞台へ挑戦するが、といったお話ですが、それをかつてバットマンを演じ大当たりするも共演のジャック・ニコルソンに食われ、その後は堅実なもののいまいちパッとしないマイケル・キートンが演じているってのが面白いですね。彼のために書かれたかのような脚本ですが、今回もエドワード・ノートンに食われ気味で笑いました。続編やアメコミが蔓延しているハリウッド映画界や古臭い固定観念を持った閉鎖的なブロードウェイを皮肉り、優れた才能を持ったスター俳優は強欲で強烈なエゴを持ったトラブルメーカーな上にインポという、一芸に秀でただけの最低な男に描いている。そのおかげかアメリカでは業界ウケが良かったんでしょうね。 現実と空想を織り交ぜた物語ですが、最後はそれぞれが望んだ形なのかな?と思いました。リーガンは舞台で秀でた演出と演技を見せながら自殺をし、名声を得てあらゆる呪縛から解き放たれ(ワンカットも)終わり、病室での出来事はヒーローだった親父を見ていた娘や映画を見ている観客へ向けた本当に能力があったというような爽快感を感じるハッピーエンド的。いろんな解釈が出来るようになっていたり、奇抜な撮影スタイルなのはあざとい気もした。まあ観る人を選びそうな内容ですがキートンの起用が良い方向へ作用していてますね。ワンカット長回しで撮影されたかのような手法で撮られドキュメンタリータッチで、実際に劇場や舞台裏にいるかのような臨場感と緊張感に包まれていたおかげで観てて疲れました。 【ロカホリ】さん [映画館(字幕)] 7点(2015-04-11 16:58:11) (良:2票) |
4.飛行機というあまりいい環境ではないところでみたので、点数が低めになってしまったのかもしれませんが、劇場を中心としたあまり激しく移動しない設定の割に、最初から最後まで飽きさせない展開は良くできていると思う。かつての大ヒット映画のバードマンの幻想に悩まされ、夢か現実か分からない精神的に病んでいる部分の交差のおかげで、おなじバックステージもののWアレンの『ブロードウェイと銃弾』とはちがう一歩踏み出た面白さを出しているのだが、、、ただ、いわゆるカムバックものとしてはミッキーロークの『レスラー』のほうが面白かった。 【シネマファン55号】さん [インターネット(字幕)] 6点(2015-04-09 11:47:02) |
3.《ネタバレ》 ワンカットの長回しシーンや、場面転換の映像手法に気合がはいってます。 最初は「実写?CG?すげー」ってなる、それを続けすぎて途中から「あ、まただ」になる。 ラストシーンについては煙にまかれた感もあるけど、娘の笑みで「ま、いいか」になった 好きな感じの作品です。映画館から出てくる人はみんな渋い感想だったよ。 【たかしろ】さん [映画館(字幕)] 6点(2015-04-07 10:00:58) |
2.《ネタバレ》 これは映画か、現実か。または娯楽か芸術か、目の前の人間かネットの友達か、人は飛べるのか。お互いに対して理解を示さないもの、それは時に予期せぬ奇跡をもたらす。 驚異のカメラワークで、ある俳優の劇的なカムバックを演出した本作は、今年最高の1本に数えるべき大傑作だ。 M・キートンといえばバットマンだ。間違いない。まだヒーローがユビキタスな存在ではなかった頃、タイツの自警団に市民権を与えたのは彼だ。 今ではヒーロー映画はハリウッド最強の稼ぎ頭となった。しかしその立役者はどうなった?イメージの定着により、キャリアのどん底にいる。チャンベー主演のバットマン世代なら、存在すら知らないのがオチだ。 かつての大スター・リーガン同様、演じるキートンも同じ悪夢に苦しめられてきたのである。 「どうしてこうなった…」まさにキートンの心の声。 引き合いに出されるジョージ兄貴は三代目バットマンの過去を、「忘れたいね」と笑い飛ばし、今も人気者なのに。 そんな彼と激突するのはE・ノートン。演技派ながら新ハルクに登板、かと思えば「アベンジャーズ」は降板し「芸術家」のブランドを保っている。キートンにはキツい対戦相手だ。 劇中ノートン演じるシャイナーは、これまたリアルにリーガンを糾弾する。ハリウッド対ブロードウェイ、つまり娯楽と芸術のぶつかり合いだ。この構図がなかなか面白く、双方の理解の無さが本作の鍵にもなる。 舞台俳優の罵声、批評家の冷笑。彼らにとって、リーガンは只のセレブ。しかしリーガンは彼らのイメージ通りかというとそれも違う。 純粋な理由から俳優を志し、過去の失敗から、今は家族を真摯に見つめている。理解されないだけだ、演技と家族への思いに嘘はない。 だからこそ公演初日の事件は、お互いを歩み寄らせた。それは娯楽と芸術だけではなく、家族との愛もだ。鼻は吹き飛んだが、欲しかった花の香りを感じ取れた。 ラストでサムが何を見たのかは、個人のとらえ方によると思う。もちろんリーガンに超能力はない(空を飛んだ後、タクシーの料金を請求される)。しかし僕としてはハッピーエンドを信じたい。ついにバードマンから解放され、飛翔したのだと。だってキートンも奇跡を起こしたんだから。 こんな物語を、奇跡を誰が予期しただろうか。リーガンとキートンのカムバックに乾杯。そして空気と化した2代目バットマン、バル・キルマーに合掌。 【サムサッカー・サム】さん [映画館(字幕なし「原語」)] 9点(2015-04-01 13:50:26) |
1.《ネタバレ》 イニャリトゥ監督のコメディでしかもオスカー受賞ということもあって、やや期待値高めでの鑑賞でしたが、結果的にはうーん、という感じ。まず撮影についてはすごいです。劇場を中心とした密室劇的な構成なのもあるのですが、ワンカットでひたすら続くカメラワークには唸らされます。エマニュエル・ルベツキは、現在の撮影監督の最高峰といえるでしょう。そして、マイケル・キートン、エドワード・ノートン&ナオミ・ワッツのアテ書きっぽい設定だけでも楽しめるし、エマ・ストーンのちょっとスレた演技も印象的。全体に漂う皮肉っぽい独特のムードも好みです。ただ、ドタバタがドタバタしきれない消化不良な感じを終始感じていたのも確か。ちょっと捻りのきいた映像や台詞でごまかされるけど、よくよく考えてみれば、いかにもよくあるシチュエーション・コメディな展開で、そもそも「ブリーフでNYの町を歩く」って面白いのか?という気にさえなってくる。面白くはないのだけれど、人生の苦みを表現した一種の「雰囲気映画」と考えれば、まあ楽しめる作品に仕上がってると思います。 【ころりさん】さん [映画館(字幕なし「原語」)] 7点(2015-03-11 15:11:04) |