14.《ネタバレ》 1942年制作ということで、何かと興味深い内容でありました。 夫人たちはなかなかいい暮らしをしているので、ひもじさみたいなものは微塵も感じません。 それどころか、夫人のショットはどれも女優を撮った時のキラキラした美しいショットにするものだから尚のことです。 地下室に逃げ込んでも、夫人は編み物、旦那はティータイムをしているのがかなり印象的。 さすかにその後爆撃がきつくなると一家で不安げにしてはいましたが。 戦時中ですが薔薇の品評会なんてのもしているし、こういうご時世でも風流な暮らしはやめないぞみたいな、 そういう意気地みたいなものなんでしょうか。 ドイツのパイロットのシーンはどきっとしましたが、彼は突然気絶するという謎の展開。 流石に終盤は戦争の悲劇らしい悲劇を謳いあげてましたが、牧師さんの演説はやはり1942年というだけありますね。 【あろえりーな】さん [CS・衛星(字幕)] 6点(2017-11-28 17:02:23) |
【Skycrawler】さん [CS・衛星(字幕)] 5点(2017-06-17 08:31:16) |
★12.《ネタバレ》 戦争の悲劇を題材にしているが、反戦映画ではない。戦意高揚映画の範疇に属するのだろうが、正面切って戦争を扱っているにしては手ぬるい内容だ。 題材として二本の柱がある。ミニヴァー家の息子ヴィンとベルドン家の娘キャロルの結婚と薔薇の品評会である。 二人が出会って、結婚に至る経緯、ベルドン夫人という障壁、幸福な新婚生活の様子等は端的によく描けている。 しかし、最大の悲劇であるキャロルの機銃照射による死は眠るようなものであり、ヴィンの悲嘆にくれる様子や涙は映さない。 品評会で優勝したバラード駅長の死に至っては描かれることはなく、神父の口から死んだと報告されるだけだ。 ミニヴァー夫人最大の危機である逃亡ドイツ兵との遭遇も、あっけなく相手が気絶してしまうという幕切れで、緊張感が持続しない。 どこか現実味に欠け、喜劇めいてさえいる。戦時中のことゆえ、検閲を配慮してのことだろうが、これでは伝わるものが弱い。 物語がぶつ切れになっている憾みもある。 冒頭でミニヴァー夫人の買った帽子、ミニヴァー氏の買った車が後の話に活かされていない。 家政婦と、戦争が始まったとき真っ先に出征していった彼女の恋人が、その後登場しない。 ミニヴァー氏が船を避難させる作戦に参加するが、その詳細が描かれない。 仔細だが、気になることがある。薔薇の品種の名前をつけるのに、知り合いの夫人の名前をつけるものだろうか?勘違いされそうに思うが。又、キャロルが品評会にバラードの薔薇を出品させないように、ミニヴァー夫人にバラードの説得を依頼するが、これは筋違いだろう。直接バラードに伝えれば済む話だ。ろくに話もしたことない人の家に乗り込んで、厚かましい依頼がよく出来たものだ。上流者階級とはこういうものなのだろうか。品評会に出品が二つしかないというのも張り合いが無い。 脚本に一本筋が通ってない上に、戦争の本質にまるで触れようとしない“綿で包んだような”内容では感情移入のしようがない。 【よしのぶ】さん [DVD(字幕)] 5点(2014-09-01 22:27:21) |
11.《ネタバレ》 “ワイラーに外れなし”の法則を見事に打ち破ってくれた一本。 序盤に出てきた夫婦揃っての浪費ネタが後に生きてない。 ドイツ兵が現れたネタも、後に生きてない。それに、夫に報告しようとせず隠す理由も不明。 軍艦に全く迫力がない。 タイトルが内容と一致していない。孫娘も結婚したらMrs.Miniverになるのだから、二人のMrs.Miniverとバラの花とを絡めたストーリーでないとこのタイトルは不自然なものになってしまう。 序盤で、ミニヴァー夫人がバスを下車するシーンがダメ。帽子屋に戻る時の方向がバスが進むのと同方向になってしまっている。 キャロルが品評会の辞退を頼みに来たシーンのカメラワークがダメ。ヴィンとのツーショットになるように思わせ振りに右方向にパンしたショットは、ここはカットを割ることでヴィンを会話に入り込ませるべき。そもそも二人が口論するシーンは不要で、最初から仲良くなっていても全然問題ない。 プロパガンダだか戦意高揚だか何だか知りませんが、とにかく自分の知っているワイラーではなかった事は確か。 【もっつぁれら】さん [映画館(字幕)] 4点(2013-01-01 22:30:57) (良:1票) |
10.《ネタバレ》 米アカデミー作品賞受賞作。華やかで美しいミニヴァー夫人。第二次大戦下、期待と不安でいっぱいの息子の結婚。戦争は兵士だけでなく国民全てを巻き込む、その残酷さを語ります。独軍パイロットを助けたミニヴァー夫人に対して夫がおしおきとしてまさかの「お尻ペンペンの刑」、オドロきました。 【獅子-平常心】さん [DVD(字幕)] 6点(2012-09-03 00:18:22) |
9.《ネタバレ》 「お金は使うためにある」は浪費家の好きな言葉だろう。映画は夫婦の衝動買いから始まり、バラの品評会へと進む。第2次世界大戦というのに何と平和な風景なことか。 しかしそう思えるのは表面だけ、映画は戦争下の英国人の生活を見事に描いている。緊迫した情勢の中にユーモアと思いやり、そして戦争の悲しみがある。ただ映画が戦意高揚目的で作られたため、終盤からラストにかけては異論を覚える。 ところでミニヴァー夫人の息子とキャロルはお似合いの夫婦に思えるが、現実の世界では、キャロルを演じたテレサライトは別の男と結婚し、息子を演じたリチャード・ネイは何とミニヴァー夫人を演じたグリア・ガーソンと結婚したという。 【ESPERANZA】さん [DVD(字幕)] 6点(2012-04-04 07:25:32) |
8.中流家庭の一夫人が戦争に翻弄されながらも、力強く生きる様を描いた作品。 中流といってもすごく裕福にしか見えないのだが、「風と共に去りぬ」と似たような作りで、 ラストにテーマを持ってくる構成も同じ。主演の女優さんは瞳が大きくて、感情の表現力が豊か。 ストーリーは後半から状況設定が徐々に甘くなり、何とかお話をまとめようとした苦労が窺える。 ラストはややぼかしていて、戦争への国威高揚なのか反戦のメッセージが含まれているのか、 よくわからなかった。戦時中に制作されたこと、辛辣なシーンは見せられないという事情が、 設定の甘さやこのようなラストに繋がったのかもしれない。全体の作りは決して悪くないだけに、 ちょっと惜しい作品となってしまった。 【MAHITO】さん [DVD(字幕)] 5点(2011-09-05 15:29:30) |
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7.これって、内実は昼の連ドラくらいでやってることとあまり変わらないのでは・・・。今ひとつ危機感もなければ緊迫感もない、台詞や効果音で説明されないと戦時中であることが分からないような予定調和的な内容でした。 【Olias】さん [CS・衛星(字幕)] 5点(2010-02-19 00:48:53) |
6.《ネタバレ》 第二次大戦中のイギリスの片田舎を舞台にした映画。その点からすると、よくできていると思います。主人公一家の家庭の様子や、ご近所づきあいが巧みに描かれている。女中との会話など楽しいですが、戦時下だけに緊迫感もあり、メリハリのつけ方がうまい。脚本にジェイムズ・ヒルトンが参加しているのも、ポイント高し。ワイラーの演出は光と影をうまく使っていて、これもさすがのでき。 ただ、戦争中の映画なので、戦意高揚目的になっていて、最後も戦争の悲惨さを訴えるのではなく、徹底抗戦を主張している。これをどう評価するかですが、私としては大きなマイナスにはなりません。むしろ、こうした映画が作られ、それが高く評価されたということを記憶する意味からも、この映画には今も存在意義があるのではないかと思います。 これがテレビで放送されたり、ビデオソフトが簡単に手に入ったりするというのは、改めて平和というか、自由な時代なのだと思います。しかし、初公開当時の日本人は、どういう気持ちでこの映画を見たんでしょうね。 【アングロファイル】さん [CS・衛星(字幕)] 8点(2009-07-23 20:34:09) |
5.《ネタバレ》 戦時下のイギリス中流階級の一家を支える美しい婦人。愛にあふれている姿が印象的。日本や中国の戦時の悲壮感がなく、むしろユーモアも絶えない生活が豊かに思える。最後は反戦ではなく国民を奮い立たせる形で終わっていると思うところが42年の時勢をうかがえる。 【HRM36】さん [CS・衛星(字幕)] 10点(2009-07-20 23:40:54) |
4.《ネタバレ》 兵隊を主人に持つ若婦人が夫の運命を覚悟しながら、自分が撃たれてしまうシーンは涙が出そうになったが、この戦争を人類の戦いとして戦意高揚するのは結局プロパガンダでしかない。時代が時代なので多少仕方ないかな。 【TOSHI】さん [DVD(字幕)] 6点(2007-12-26 00:43:15) |
3.《ネタバレ》 くわ~ 評価しにくいなぁ。 「そういう時代だったんだなぁ」が一番率直な感想。 1942年アメリカ製作なんだから、こういうメッセージになるのは仕方がないんだろうなぁという。 直接的には、銃後の人々が恐怖や不安と戦う生活を描いてあります。 なので、戦勝国目線で見れば間違いなく名作なんだろうけど。。。 果たしてそれでいいんだろうか。 確かに「兵士だけではなく一般の国民までもが命を落とすのが戦争の悲惨さである」までは、非常に共感できるし素晴らしいんですが、その後の「正義と自由の為に一丸となって戦う決意を!」で一気に突き放されちゃいます。 で、エンドロールの最後に「国防債券にご協力を」のテロップ。 そこで、「あー、これは純粋な芸術作品ではなく、一種の戦意昂揚プロパガンダなんだなぁ」と合点がいくわけです。 「花を愛でるような清く美しい我々文明人の平和な日常を破壊する野蛮人どもの卑劣な攻撃に屈してなるものか」転じて「正義は我にあり!」なんですよね。。。 まあ、それはそれでいいんですけど。。。そういうのが見えちゃうと、どうしても素直に評価できなくなってしまう。 「そういう時代だったんだなぁ」っていうのはソコです。 ちなみに、このDVDには、ボーナストラックとして短編映画が2本収録されています。 どちらも「連合国は屈しない」のアピール映像です。 どうでしょう。 「このDVDパッケージの意図するところは何なのか」が、とても興味深いですね。 「(こういう映像で国民を鼓舞しなきゃならないってことは)アメリカも結構必死だったんだなぁ」って読めてみたりもするんですが。 俯瞰してみると、「戦時下の国内事情を冷静に記録したパッケージ」にしたかったのではないか、とも思えるわけです。 ●芸術作品としては素晴らしい。 ●メッセージとしては理解できるが(現代の目で見ると)結局はプロパガンダである。 ●それを時代背景ごと消化できれば「記録として」非常に興味深い。 ●「厭戦世論回避の為の国威掲揚映画」とみるか、素直に「戦争に疲れ果てた国民への応援歌」とみるか。。。 さて、どの評価軸で点数をつければいいのでしょう。。。 やっぱり、評価しにくいなぁ。 【とっすぃ】さん [DVD(字幕)] 5点(2006-10-26 02:15:33) |
2.《ネタバレ》 ワイラー監督は、ホントに多作でジャンルも幅広く良質な傑作が多い(個人的にハズレも無くはないが、圧倒的に少ないです)その凄さには感服してしまいます。本作は戦争を扱った重厚なドラマですが、直接的に戦争の犠牲になった登場人物は兵士ではありません。コンテストで優勝したばかりの駅長であったり新妻であったり、幸せを手にしたばかりの普通の人々が一瞬にして生命を奪われてしまう戦争の現実を見事に描ききっています。階段を昇っていった2階の壁に映る影、そのドアが開き、そして閉まる。次の瞬間に旦那の胸で泣き崩れるグリア・ガースン。そういった名シーンの数々とともに、忘れられない作品です。 【よし坊】さん [DVD(字幕)] 7点(2006-06-04 11:07:02) |
1.待ちに待った登録作品なので、僭越ながらレビューさせていただきます。第二次大戦中に製作された作品でありながら、明らかに見る側を戦意高揚させようとする場面はかなり少ない。花のコンテストがメイン・イベントである、イギリス郊外の平和な村にある中流家庭を、リアリスティックに描ききっている。これを見て気づいたのは、戦場に行く者だけが戦争の犠牲者ではないということだった。勝った負けたは一切関係ない、国や肌の色が違っても、誰もがなんら変わりない不安と恐怖を抱いていたんだと。だがミニヴァー夫人はそれにも挫けず、夫を息子を戦場へと見送った。家庭を守りながら、日々を待ちわび・・。この映画で伝えたかったのは、ミニヴァー夫人を通して写す、「家族」の肖像だったのかも知れない。悲しい時代だからこそ、残された家族の絆が大事なんだという。それまで相当に「戦争映画」を見て楽しんでた僕は、この映画を機にピタリとそのジャンルを見なくなってしまった。そして「恐いもの見たさ」で見てた自分に嫌気が差した。それくらい衝撃的だった。その後再び戦争映画を見たが、明らかに僕の見方は変わった。悲劇を扱ってはいますが、時代が生んだ巨匠の大傑作です。 |