2.《ネタバレ》 失礼ながら詩集は読んでいない。映画の趣旨としては、個別の詩を登場人物のエピソードと関連付けながら紹介するとともに、詩の背景にあった詩人の生涯を知ってもらうことだろうと思うが、これがうまくいっているかは何ともいえない。
まず医師と不登校児の父親のエピソードは、そこで紹介される詩の内容と微妙にずれている気がする。また詩人の子息に相当する人物があまりにも出来の悪い息子で今後の更生が期待できるとも思われず、そのため標題の言葉も本当に「できない子への慰め」にしかなっていない気がするが、制作側の意図もその通りということでいいのだろうか。
一方で詩人の生涯に関しては、知らない者としては何も言いようがないわけだが、個人的にはこの映画で「おしん」は見なくていい(正規版を見たため)。奉公前夜の母子の会話などは言わずもがなのことであり、台詞も臭くて聞いていられない。
そのほか全体としても2時間がとにかく長く感じられ、申し訳ないが非常に退屈な映画だった。この監督は製作上の要請に的確に応える賢明な人物というイメージがあり、恐らくこの映画もそのような意味でよくできているのだろうと想像はするが、残念ながら今回も自分は観客としての想定外だったようである。
ただし主演女優は美形で気品がある上に、演じている年齢の幅が広いので素人目にもさすがと見える。この女優に敬意を表して、まことに些少ながら1点を加算しておく。