3.《ネタバレ》 映画史上最強最悪の家族愛憎劇と思ったが、もっと純粋に性にまつわる苦悩を凝縮した映画であるように感じた。
母親演ずるイ・ウヌの錯乱ぶりに圧倒される開始10数分だったが、ドラマはギドク監督作常連の父役チョ・ジェヒョンと若干15歳の息子役ソ・ヨンジュの迫真の演技で進む。
やはり家族愛憎劇と呼ぶにはラストがキツイ。息子の拝む場面はギドクの祈りであって、本編に関係が無いように感じる。本編はやはり息子が自分の息子に〇〇〇〇をつきつけて、の場面で終了していると。
それにしても秀逸なのは、最初にあれだけインパクトのある場面を用意したにもかかわらず、その後に核のあるドラマがしっかりと用意されていたことである。感心した。
ただ、今回はギドク監督ちょっと無理していないかい?特有のこだわり芸術映像もあまり入らず。仏を拝んだり、仏の中からナイフ…、それぐらいかな。なんだかおりこうさんの作る映像のように感じて。
破天荒なドラマを作るために、破天荒な自分の個性を消したのかな?それなら残念。私はあのギドクワールドが好きなのだよ。