11.《ネタバレ》 扱う題材は現代的でとても良いんだけど、映画として面白いかと言うと微妙。リアリティはあるんだけど、話は正直面白くない。現代の日本で日常的にある話を俯瞰して見せただけ。
同じシーンを違う視点から見せたり、それがどういう風に報道されるか見せることが何度もあるので、テンポがよろしくない。
さて、本作で重要なのは犯人探しではなく、いかにして無責任な発言が人を追い詰めるのかというところにある。
個人的には、真実は藪の中っていうところをもっと押し出した結末にした方が面白かったと思う。しかし、本作は多くの人に訴えかける目的が合ったようにも思えるので分かりやすすぎるくらいで良かったのだろう。
無責任な発信者は決して責任を感じない。
報道した一部の人間だけに責任を取らせて終わらせる。自分は絶対的に悪くないし、悪くても「ごめんなさい」の一言で済む。
この映画では、その胸糞感を観客にストレートに伝えている。
叩きやすい相手を探し、吊るしあげて、それをあたかも正義の行為のように思い込む。間違いがあっても完全匿名でやっている限りは自分にはさほどの被害は及ばない。そして、同じことを繰り返す。
もはや、ジャーナリストだけの問題ではない。ブロガー、Twitterユーザー、掲示板投稿者も発信者として意識するべきである。
まさに本作は、道徳の時間やネット教育の教材としては、非常によくできていると思う。
だから、このレビューに書かれていることも全て疑うべきなのだ。お金もらって褒めたり貶したりしているわけではないという証拠もない。情報を確かな根拠なしに信じることは犯罪に加担しているも同然。
なぜ、その情報を信じるのかということに常に意識的でありたい。