56.《ネタバレ》 どこかで見たような映画なのですがうまいことできてる(笑)
まず冒頭のストリーテラーから「宇宙戦争」に代表とされる語りだし。
この手法は旧約聖書とかの史劇モノで必ず使われます。
主人公は記憶喪失でバスタブから脱出するシーンは「SAW」。
連続殺人事件の犯人は誰?
徐々に記憶を取り戻すかのような主人公と異星から侵略しにきたかのような連中。
ここは地球のとある古い時代の街で宇宙から地球人をさらいに来たか、
それともここはニセの街で宇宙人がそこに地球人を飼育実験にしているのか?
街の外はどうなっているのか?
夜中の12時に針が重なると街中が止まるのはなぜ?
記憶の入れ刷みをされたのは誰??
面白い・・
こういったテンポの速い難解SFって好きなんですよ。
しかも絵が暗いから「レディ・キラーズ」のようなブラック・ファンタジーみたい。
運河の向こうにある夢の島にはどうして行けないのか?
閉鎖感いっぱいの演出は前に観てうろ覚えの「トゥールーマン・ショー」みたい。
あの作られた世界は外はああだったんですがこれは見事。
超難解だった「惑星ソラリス」のラストの答えがここにあると思いました。
そして「CUBE」とそっくりな演出もあります。
CUBEで一番好きな高さがわかる怖さ部屋が動く怖さがここに・・
というと・・まるで娯楽SFのおいしいとこどりごった煮なのですが、
これに「マトリックス」の世界を入れたような感じで、
よくまあ100分に詰め込んだものだと感心。
どうせアメコミのような作品だろうと期待はしていなかったのですが、
ラストまで飽きることもないし何しろ最初から飛んだSFと見ていたので面白い。
暗い画面や記憶を植えられた話や悪魔団体のような集団・・
苦手な方にはお勧めできませんが好きなら楽しめます。
主人公が中途半端にヘタレのくせに無敵なので、
これは感情移入はできかねるなぁと思うのだけれど、
どの登場人物が主役でも成立すると監督が特典で説明していました。
ああそうかそれはありうると感心。
博士に妻役に異星人のボスに刑事に・・誰の目で観ても見られます。
この作品の主役はこの世界らしいから(街ということで)
期待していなかったアメコミ格闘系SFと思っていたのに、
なかなか哲学的で暗いのに娯楽SFとなっています。