10.《ネタバレ》 大失墜となったマイティ・ソーに比べると大幅に持ち直した内容だなとは思います。
敵も序盤の橋の上での襲撃など印象的なシーンは多いのですが、いかんせん船の上での決戦が見せ方が悪いのかいまいちだなと感じました。特に戦いの途中で場面がちょいちょい変わるので、今誰と誰が戦っていてどうなっているかがちょっとわかりにくかった。ジェットリーの映画「ブラックダイヤモンド」の時に、地下闘技場でのバトルとバギーのシーンが交互に映し出される演出について当時大分不評だったが、その文句を言ってる人の気持ちが理解できた。映画全体が長いのもあり結局集中力が途切れちゃって、橋の上でイキってて舐めプしてた将軍がいつ倒されたのか思い出せないレベル。
お話は中盤が中だるみ感がまあまああるものの、それほど時間を感じさせずきちっと締めたのは良かったかなと。
面白いかどうかといえばまあ普通、あるある展開ばかりだねという感じではあるが、妹がブラックパンサーを引き継ぐまでの成長過程をちゃんと描こうとした流れはそんなに悪くなかった。
先代のブラックパンサーの追悼の意味合いもあるので、ジョークが少なめだったのも良かったかな。
ただ、話のテーマが新興勢力の海底王国との衝突ばかりで終わってしまったのが個人的には残念。せっかく冒頭でアメリカやフランスが出てきてるんだから、どちらかというと「他国が持っていない技術・資源を持つ小国を狙う大国とどう戦うのか、どう折り合いをつけるのか」をテーマにした政治劇強めの話の方が面白かったと思う。ウインターソルジャーみたいな感じで。ワカンダってそういうテーマにぴったりの舞台設定じゃないですか。僕はそういう骨太は物語の方が好みなので、勿体ないなぁと感じておりました。
ネイモア軍団の行動もよくわからんことが多くて。一々橋の上で襲撃しなくても、ちゃんと当初の予定通り交渉すればよかったじゃないですか。そのうえで交渉を断られたら襲撃すればいいだけで。アイアンマンもどきのお披露目もCIAとの追っかけっこで十分できてるし。将軍とオコエの対決の伏線を貼りたかったのかもしれないけど、それは街襲撃とかで作れたしなぁ。
あとネイモア軍の不死身の理由も結局語られないまま終わってない?ネイモア自身は肌が乾燥したら弱くなるというのはあったけど、一般兵も不死身レベルなのがよくわからんかった。ソーの時もそうなんだけど、細かいことは投げっぱなしなのが最近目立つ気がする。
あとサノスの後で地球で新たな未知の力を持つ強豪が現れると、「君ら指パッチンの時なにしてたん?」ってなっちゃうね。エターナルズもそうなんだけど(エターナルズは苦しい言い訳をしてましたがw)。タロカン帝国だって半分ぐらいは人減ってるだろうにw
ただ、冒頭の無音のマーベルロゴのシーンと、最後の喪服を燃やすシーンはベタながらぐっとくるものがありましたね。僕は泣いてないけど。
もし邦画だと、あそこは主人公が大泣きしてるんだろうなぁ。
やはり本作のように、静かに雰囲気だけで語るシーンは好きなんだよね。ここだけで+1点はある。
しかしフェーズ4もこれで終了ですか。
正直何してるフェーズなのかわかんなかったな。サノスという大災害のあとのその後を描いているだけで、MCUというシーンにおいてはスパイダーマンの退場劇とドクターストレンジの覚醒およびマルチバース世界の説明のみで、他は新キャラがちょこっとお披露目しただけで、全体的な話は特に進展なし。シリーズにおいて一番面白みに欠けるフェーズではありました。
アントマンから始まるフェーズ5からは面白くなることを期待してますよ。