12.名付けという1つの行為に対してどれだけのドラマが展開されるのかと身構えてみていたら、それってほとんどオマケ程度じゃん!それだったらこのタイトルはいけません(邦題も)。やろうとしたことは、移民を基盤とする親子の二代間物語みたいなことなんだろうけど、アメリカとインドの違いを感じさせる描写がごく浅く、したがってその両者が融合する過程にもドラマがありません。かといって、親子のそれぞれの意思だったりそれを反映させる時間的経過だったりといったところも軸がはっきりしないので、そこに着目してもあまり面白みがありません。雰囲気だけで流れている音楽もマイナス。 【Olias】さん [DVD(字幕)] 5点(2015-11-24 00:26:50) |
11.米国に移り住んだインド人夫婦と米国で生まれ育った息子たち、地球を半周するほどの二国間の隔たりは、文化や生活習慣など様々な違いを見せてくれる。人間誰しも自分の生まれ育った所が故郷なのだ。 映画は名前に込められた親の愛の物語かと思ったが、そればかりではないと思う。ゴーゴリの「外套」、どんな内容の小説かは読んだことがないのでわからないが、あらすじを読んでなるほどと思わせるものがある。さらに、「われわれはみなゴーゴリの『外套』から出た」という有名な言葉までも。 【ESPERANZA】さん [DVD(字幕)] 7点(2012-07-16 18:31:46) |
10.インドで生まれ教育を受け成人し、既にアメリカ社会に溶け込んでいた夫についてアメリカに来た母と、両親はベンガル人だがアメリカで生まれ教育を受け、アメリカ社会の中で成長し大人になった息子。それぞれのアイデンティティ、価値観、家族への思い、これらが常に親と子の2つの視点から描かれる。作品の中の時間はかなり足早に淡々と過ぎていき、家族の恋愛や別れ、結婚など人生の分岐点も非常にあっさりと通過していく。しかし作品の時の速さとは裏腹に作品に漂う空気はとてもゆったりとしていて、親と子それぞれのこれらの思いが疎かになったりどちらかに偏りすぎる事も無い。2つのこれらへの思い、常に互いを思いやる気持ちが足早に過ぎていく作品の時間の中にもきっちりと伝わってくる温かみのある家族のドラマです。 【とらや】さん [DVD(吹替)] 7点(2011-05-14 21:21:49) |
9.ゴーゴリって名前はインド人やアメリカ人にとってどの程度おかしな名前なのかな。自分はお父さんが不器用な感じでとても良かった。 【ピチクン】さん [CS・衛星(字幕)] 7点(2009-04-16 17:50:34) |
8.《ネタバレ》 原題は「名をもらった人」という意味なので、名を授けた父親が核になっているのは確かだが、母親のアシマの圧倒的な存在感の前に、この男がかすんで見える。一般的にも母親の愛情表現は、不器用な父親の愛情表現をはるかに上回る。従ってあくまでも一般論だが、父親が母親よりも子供から愛情を勝ち取ることは不可能に近い。そういう意味では、男は寂しい生き物だと思う。ただし親の愛情というのは、子供から愛情の見返りを求めるものではない。ここが「恋愛」と「親の愛」の大きな違いである。あの金髪の恋人は、愛情の見返りを求めた。恋人ならば、それは当然だといえる。しかし親の愛情はいつも無償だ。その無償の愛情をもらう子供のほうは、大抵の場合、それほど親に感謝しているわけではない。母が息子の誕生日の日に電話しても、息子へはつながらない─。それでも母親は受話器に向って「ハッピーバースデー」とささやく。泣けてくる。親の愛情は、ただひたすら純粋である。「親の気持ち、子知らず」たしかにその通り。子供が親と真剣に向き合うのは、極端なことを言えば、親が死んでからだ。多くの人間は、失ってから、失ったものの大きさを実感する。ガンジス河で遺灰を流している傍ら、子供たちが水遊びをしている神秘的なシーンがある。日本では「死」は不衛生であり、また不吉であり、遠ざけておくものだという考えがあるが、インドでは違う。あの国では「死」は、常に身近にある。インドの魅力を語ればきりがない。「枕と毛布をもって旅に出ろ、世界を見ろ」列車内で男はこう言った。自分の国を知るために、世界を知れ、という逆説的な意味として捉えることもできる。自国から出たことがない者は、自分が何者であるかという当然の認識さえ持てなくなる。自分が何者で、どんな文化の中で暮らしているのかを実感するためには、その中から抜け出すしかない。例えば日本という国を、日本人が実感するのは、日本を離れたときに違いない。この物語は、インドで暮らすインド人が作ったものではない。外国育ちのインド人の自伝要素が反映された物語だ。従って、余計にインドの文化に対する並々ならぬ矜持を感じ取ることができる。 【花守湖】さん [DVD(字幕)] 9点(2009-04-09 21:51:25) (良:1票) |
7.《ネタバレ》 人が異文化に溶け込んでいくさまを、ビーカーの水にたらしたインクが拡がっていくのを観察するように見つめていく映画。アメリカに渡ってもベンガル人だけのつきあいで閉じていた母の世代。でも子の世代になると、金髪娘とつきあい、親の決めたベンガル生まれの妻の心はフランス人に流れ、妹はアメリカ人と結婚、とゆっくり拡散していく。アメリカの寒さに震えた親の世代に対し、子の世代はインドの暑さがこたえる。アメリカ‐インドを両極とする軸に、もうひとつロシア人作家の名が絡んでくるところが膨らみになっていて、血でなく精神の受け渡しが描かれる。自分のアイデンティティを、血や土地と関係のないよその国の昔の作家に求めてもいいんじゃないか、と思えば、なんとなく気持ちもほぐれていく。見ている間は、ちょっと話があちこちしてダラダラしてるかな、という印象だったが、終わってみれば、言うべきことを言い尽くしていたのかも知れない。 【なんのかんの】さん [DVD(字幕)] 6点(2008-11-03 12:12:27) |
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6.《ネタバレ》 ゴーゴリが成長し思いっきりアメリカ人になってるのと、許嫁が思いっきりセクシーに変身してたのは思わず吹き出した。とにかく見入ってしまう空気が全体に流れていて、ラストの母親のスピーチは特に印象に残った。ただタイトルを考えると、名前に関するエピソードにもっと時間をさいても良かった気がする。これから見る人は家族ドラマとして見るといいと思う。 【オニール大佐】さん [DVD(字幕)] 7点(2008-10-14 20:19:57) |
5.うーむ・・・。肝心のゴーゴリ君が、原作のイメージと(私の中では)かけ離れた役者さんだったので、登場した際にはかなり興醒めでした。まあ、見ているうちに馴染んで行きましたけれど・・・。もう少し、知的で繊細な感じの人はいなかったのかしらね。また、名づけの理由になった事故でのエピソードが、原作ではもう少し深いお話があったのですが、そこが端折られていたのがいささか拍子抜け。まあ、でもそういう点を差し引いても、良い作品だと思います。原作の雰囲気はよく出ていたし。家族、出自、恋愛、アイデンティティーと、普遍的テーマを丁寧に描いていきます。特に何か劇的な事件が起きるでなく、静かな語り口調なので、平板な印象を受けそうですが、いえいえどうして。衝撃に近い感動を与えてくれる作品ではないけれど、じんわり来ます。インドの猥雑な、それでいて活力あふれる街の描写が印象的。映画も原作も、一度は触れてみて損はない作品です。 【すねこすり】さん [DVD(字幕)] 8点(2008-08-14 10:44:33) |
★4.人生って人それぞれいろいろあるんですよね。普遍的なテーマです。観終わって僕も父や母の人生に思いを巡らせてしまいました。あの時父はどんなことを考えていたんだろうとか。お盆休み、家族が集うこの時期にこそお勧めの一本です。 【NEWかるび】さん [DVD(字幕)] 9点(2008-08-02 23:18:48) |
3.《ネタバレ》 「北の国から」をアメリカに住むインド人家族で撮ったようなじわじわと心が揺り動かされるような素晴らしい家族ドラマです。 アイデンティティの相克や親や家族との距離感など非常に身近なテーマが取り上げられているので、ついつい自分の状況とシンクロさせながら見入ってしまいました。母親役の演技が非常に素晴らしかったですね。 タージ・マハルの壮麗雄大な姿は、一度生で観てみたいですね・・・・。 【TM】さん [DVD(吹替)] 8点(2008-07-22 16:47:45) |
2.大きな事件を追うでもなく、悲惨な人生を描くでもなく、きちんと社会的に成功して経済的に安定し家族にも恵まれ子どもの出来もよく・・という一般市民を描いた作品。普通に近所にいたら「うらやましい家族」だろうと思う。その家族の中での心のやり取りが繊細に描かれていました。母親の役の女優さんが とにかく上手いです。子どもへの思いや夫への思い、実家の両親への思いを言葉だけでなく全身で表現できていて、心の痛みや後悔を痛いほど感じました。美しい上にこの実力・・素晴らしいです。 【グレース】さん [DVD(吹替)] 7点(2008-06-07 18:38:38) |
1.親と子どちらにの気持ちも上手く描かれている所に感心しました。名前うんぬんだけでなく、親子二代に渡る家族のドラマとしても秀逸ですし、カルチャー的な部分でのアイデンティティや、普通の青春物として見ても十分だし、インドの文化的な所もまた面白味。 でもこれ、実際に親になった経験がある人の方が感じる部分の大きい作品なんだろうな~と、経験の無い私はちょっと悔しい。私自身がもっと歳重ねてから見たい作品かも。 |