6.2D版を鑑賞。
噴煙の中に浮かび上がる『イングロリアス・バスターズ』のような映画内映画。
『蜘蛛巣城』のように、白霧と共に押し寄せてくる軍隊の影。
枯葉の落下や草の揺れなど細やかな動きに満ちた、高精細に造形された森の美術。
これらの立体的イメージはぜひ3D版で味わいたかった。
映画こそ魔法。その主題が声高でないところが好ましい。
透過光と火炎を派手に使った魔法合戦もよいが、マリオネットのレトロな味わいを残す
陶器の少女の愛くるしい仕草も絶品である。
あるいは幻燈のキスや、シルエットによるメタモルフォーゼなど、
簡素で古典的で不可視の表現ほど観客の想像を掻き立て、
画面に引き込む事も弁えているようだ。
暴力と正義のテーマ性を含ませたドラマだても『スパイダーマン』の監督らしく、
ラストの魔女同士の対決なども、地味ながらサム・ライミらしさがあっていい。