6.《ネタバレ》 東京へ向かう道中の水路であるとか、福山雅治の住居の風情や
年季の入った木造建築の汚しなど、美術・小道具の仕事は相変わらず素晴らしい。
ドラマは相変わらず、つまらないが。
上野昴志氏などもやはり書いているが、茶番と解り切った斬首刑の件りは
まるでサスペンスになっていない。
直前のシーンで、策略だとバラしているのだから当然だ。
お飾り以外に、武井咲の存在意義は何なのだろう。
それこそ「アクション」として撮られるべき再会の演出のなんと淡白なことか。
台詞で説明されるだけの悪役キャラクターも総じて薄っぺらい。
主眼の剣戟アクションも、過ぎたるは及ばざるが如し、である。
インフレ気味に派手に立ち回れば回るほど、一撃一撃の重みが失われ
単にカッコイイだけの演武でしかなくなる。
肉体の痛みの感覚を欠いた『マン・オブ・スティール』の愚そのままだ。
そしてクライマックスの炎のスペクタクルと熱量の感覚、
その中での殺陣の迫力と重量感は30年前の『魔界転生』にもまるで負けている。
中盤で、田中泯を看取った小久保丈二が佐藤健を一喝する一言のほうが
よほどエモーショナルで心に残る。