2.《ネタバレ》 これまでのスパイダーマンはとっとと社会人になっていたが、今回は最後まで15才のまま(且つ超人的な敵との戦闘経験も無し)で、その部分に焦点を当てて描かれていた。
旧作でも見られた鼻に付く行動や言動も年齢を考えれば不快に感じないし、未熟な部分が多いのも『十代なりに一生懸命』と見ればユニーク且つ微笑ましく見ていられた。
成長の部分に関しても、中・高校生位で、巷で有名なアヴェンジャーズに入れると言われれば有頂天にもなる気持ちも、がんばってアピールしようとしてしまう気持ちも分かる。
そして今回は『叔父の死』に関してはほぼ触れられないが、自分の過ちに気付く原因が『影ながら応援していたスタークの期待を裏切ってしまった』とかなりマイルドになってしまっている。しかし、そこに至るまでの経過がしっかり尺を使って描かれているのでインパクト不足とは感じなかった。そしてその成長した結果を、ラストバトルは中盤着用していたスターク製高性能スーツでなく自作のコスプレ衣装で戦ったり、絶望に負けそうになりながらも立ち上がったり、スタークへの返答でしっかり描いているのも良かった。
敵はこれまでのアヴェンジャーズ系に比べると遥かに『小物』だが、本作があくまで『十代のスパイダーマンの成長』に注力していることを考えれば、単に地球征服をたくらむ悪者ではなく、手段はともかく、あくまで家族を養うのが目的且つそうせざるを得ない理由を作ったのが正義側にあることで倒すことを躊躇してしまう理由付けにもなっているのでこれくらいが丁度良いと感じる。
結果、これまでのスパイダーマン同様『敵を倒すのではなく悪事を止めさせる』と言う目的にマッチしていると思うし、なによりそのおかげで日常やコメディ、その他小規模事件等スパイダーマンの活躍に割ける尺が増えている。
総評
アヴェンジャーズからは基本スタークのみで、敵のスケールもしょぼい等パッと見はイマイチな印象を受けるが。その代償として、今までのシリーズで一番好きなスパイダーマン(※)を描けていると思う。アヴェンジャーズに入らなくてもできる事はあるし、入らないからこそできる事があると気付いた彼の表情は実に良かった。
※)旧シリーズはピーターの私生活が暗く重いものが多かったが、今回は友人や部活、憎めないポンコツいじめっ子等充実したスクールライフを満喫しているのも良かった。
つか、アメイジングは途中で頓挫したとは言え、2回目のリブートにも関わらずしっかり旧作とは異なる魅力を引き出しているスタッフの愛は凄まじい。