7.《ネタバレ》 ジョシュは相当にブッシュの発音を練習したんですね。顔は似ていないけど声だけはそっくりでした。
さてコカイン中毒はどうなったのか心配なオリバー・ストーンという人は、トップに登りつめた権力者(主に政治家)にものすごく興味があるらしい。ニクソンも撮ってるしカストロにインタビューもしている。
それで今度はブッシュジュニアだ。
私はブッシュについてはマイケル・ムーア経由の情報しか知らないので、ということは私はかなり偏向した見方をしているのかな~と思っていたらそうでもなかったようだ。
ハーバードに親のコネで入ったとか、識字に障害があるらしいとか、兵役疑惑とか、結局ムーアの言ってるとおりだったのかしらね。
作り手が言いたいことは、ブッシュジュニアには「責任を取る」という経験が決定的に欠けていた…ということなんですね。
暴れて警察に拘留されても、恋人を妊娠させても、アルコール中毒になっても、会社の経営がうまくいかなくても。
何をやっても、自分で責任を取らされたことがない。これは不幸なことでもある。
パパブッシュは、家名を守るために不本意ながら息子を助けていたようなのですが、結局はそれがいけなかったのです。
なぜなら、責任を取らされる苦しみを知らない男は、怖いものがないわけなので、戦争さえ簡単にやる気になってしまったからです。
それも、弟ばかり可愛がるパパを見返してやるためだったということになっている。同じイラクで、パパができなかったことをやってやる…とジュニアは思ったのだろう、と作り手は言っている。
なるほどね~。「ニクソン」よりは面白かったけど、どうもブッシュ一族に遠慮して、ドロドロしたものを削っている気がしますね。遠慮するならこんな映画撮らないだろうとも言えますが、私は作品を誕生させるためにストーンが相当の譲歩をしたのだと想像します。でも、ドロドロしたとこを削っちゃったら、なんかきれいになっちゃって、つまんなくなっちゃった。やっぱりそんなものよね。人が必死で隠している場所にしか真実はない。