33.《ネタバレ》 すごくおもしろかった。何度も何度も繰り返され、次第にはっきりしてくる会話の内容。それにともなって思いこみがつのる。不安もつのる。プロとしての自負から孤独になっていく主人公が切ない。自分の孤独をうち明けられる相手を得たと思っても、それをダシに同業者からからかわれ、再び出現する自負と怒り。ジーン・ハックマンが珍しくわめかないが実にはまり役だった。狂気じみたラストも見物。キリスト像をぶっつぶしてなんにも見つからなかった虚脱感とその後の暴走がたまらない。 【ジェイムズ・ギャッツ】さん [CS・衛星(字幕)] 8点(2010-04-30 15:41:10) |
★32.《ネタバレ》 コッポラの映画としては、もっともクールなタッチの作品ではないでしょうか。ハックマンの抑えた演技が光りますが、彼がサックスを吹くシーンは似合っていませんでしたね。落ちは結構インパクトがあるのですが、最後まで熱くなることなくじわじわと恐怖が盛り上げる演出は見事です。ただコッポラの脚本は結構粗いところがあり、テリー・ガーやジョン・カザールはあまりストーリーに絡まないで終ってしまいがっかりです。ちょっと説明不足な点が目立つストーリーでした。 【S&S】さん [DVD(字幕)] 7点(2010-02-21 01:40:56) |
31.《ネタバレ》 前半は普通。しかしラスト30分で強烈すぎるほどのインパクトを残してくれた作品。ヘタなホラー映画よりよっぽど怖かった。 罪悪感に苛まれ、次第に心が病んでいく過程がよく伝わってきたし、テープの巻き戻し音や同じ台詞を心の中で何度も繰り返す等、「盗聴」が題材なだけあって「音」にこだわった演出も非常に効果的で、病的な雰囲気を増幅させている。 オチのどんでん返しと、ラストの強烈なしっぺ返しも監督の妥協の無さが伝わってきて好みだ。 【チートイ】さん [CS・衛星(字幕)] 8点(2010-01-16 21:18:36) |
30.今風の映画のように何がどうしてこうなってと目まぐるしく展開を詰め込んでいるわけではない。ストーリーだけ取り上げればたぶん『世にも奇妙な物語』だったら20分でやってしまうような内容。しかしこの映画の素晴らしさはその醸し出す雰囲気。ジーン・ハックマンとともに何とも言えない不安感の中を漂う。これこそ映画的な映画だ。 【とと】さん [CS・衛星(字幕)] 9点(2009-08-18 01:57:13) |
29.《ネタバレ》 盗聴を仕事にしているくせに、プライバシーを覗くことにものすごくナーバスなジーン・ハックマン。過去に自分の盗聴が原因で人を傷つけた(死んだ?)ことに苦しんでました。そんなに嫌な仕事なら辞めればと思うんだけどね…。自分は録音するだけと、自らの行為を工程の一部に落として納得しようとしていたけど、最後は自分が盗聴される脅迫観念でおかしくなってしまいました。こんなにストレートにプライバシー概念を扱った映画はないと思う。他人の秘密を覗くことの罪悪感と、それを一人で抱える重みがひしひしと伝わってきました。精神が圧迫されるような閉塞感で、見応えはあったけど何度も観たいと思わない。もう、見事なほど不快な映画です。どうでも良いタレントのくだらないプライベート情報を撒き散らす現代のメディア関係者にじっくり観て欲しい。ハリソン・フォードはこの映画くらい一歩引いたところでワル役をやってるのが一番似合っているかも。ジーン・ハックマンとの録音テープの綱引きは子供のケンカっぽくって笑えます。 【アンドレ・タカシ】さん [地上波(吹替)] 6点(2009-06-20 15:53:05) |
28.どこか無気味な不条理感の漂うサスペンス。このキモチワルサはどこからくるのかと言うと、おそらく、“盗聴”という題材からくる、「“音”に対する過剰な意識」と、それに伴う「“音”と“映像”の乖離」と言えるだろうか。いやとにかくキモチワルイ。「盗聴」という、現実から音を切り取る行為。“音”が現実から切り離され、ひとつの存在であることを主張し始める。一方、音を切り取るための盗聴装置の映像描写、その装置の精巧さがもたらす現実感。“現実”と、“現実”を脅かし始める“音”。しかし映像と音の乖離は、盗聴という行為そのものだけではない。カメラが固定のまま、登場人物が画面内から立ち去っても、声だけが続くシーン、そこにも象徴されている。その不安定さによる落ち着かない雰囲気が、映画全体を支配しつつ、最後に到って一気に焦点を結ぶときの衝撃。「意外なラスト」を売りにするような映画とは明らかに異なるこの衝撃は、それまでの漠然とした不安感を根こそぎひっくり返し、観る者をさらに強烈で明確な不安感へと叩き落とす、価値観の転倒の恐怖ともいうべきもの。忘れがたい映画である。それにしても、観るたびに思うのだけど、ハリソン・フォードはこの役が一世一代のハマリ役ではなかろうか(→って、それじゃあ彼の出演作は基本的に殆どミスキャストっちゅうことになるやんか)。 【鱗歌】さん [CS・衛星(字幕)] 9点(2008-02-08 17:45:55) |
27.《ネタバレ》 残念。自分の中で、どうにも面白さがサスペンスへと深化していかなかった。後半はすっかりパラノイア的ギャグ。バスタブの栓の裏側をチェックする慎重さにはニヤニヤし、マリア像を壊した勢いでリミッターが解除されるラストには笑ってしまった。 多分、テーマに宗教を持ち込んだのと、ジーン・ハックマンの役作りが完璧すぎるのと、物語にぜい肉がないのが原因だと思う。ちょっと出来のいい中篇小説という感じ。 演技もさりながら、映像的にも素晴らしいシーンは多い(特にバスルームのシーンは多分『シャイニング』の元ネタっすよね?)。 この映画が味わえないのが、つくづく残念だなあ…『わらの犬』『タクシードライバー』にも無感動だったオイラなので、多分70年代のこの系列はダメなんだろうな…。 【エスねこ】さん [DVD(字幕)] 5点(2008-01-06 23:36:09) |
26.ビッグネームが並んでいて、カンヌ映画祭グランプリ受賞作ですが、認知度がいささか低いのではないでしょうか。フランシス・コッポラ、ジーン・ハックマンらのキャリアをたどり、こんな作品もあったのかと気づいて見てみたら、ちょっとびっくりといった映画だと思います。面白いです。未見の方に、私は強くお勧めします。 【ジャッカルの目】さん [試写会(字幕)] 8点(2006-12-31 09:08:23) |
25.《ネタバレ》 途中からよく分からなくなった。意図的なんだろうけど。 でもわからない映画はやはり評価しづらい でもこれがカンヌで・・・う~む、わからん。 【θ】さん [DVD(字幕)] 2点(2006-12-18 19:42:36) |
24.ジーン・ハックマンが素晴らしく、孤独に悩まされ続けている感覚、追い詰められていく感覚が良く伝わってきます。幻覚幻聴の表現が効果的で、間の取り方も良い。ラストシーンも色々な意味で象徴的且つ、印象的。とても静かな見応えあるサスペンス。 【MARK25】さん [CS・衛星(字幕)] 8点(2006-10-08 19:24:19) |
|
【ご自由さん】さん [CS・衛星(字幕)] 7点(2006-07-13 12:32:17) |
22.前半は楽しめたが、中盤からダレ始めてしまった。盗聴屋という不思議な職業にスポットを当てるのか、病的に秘密主義の中年男にスポットを当てるのか、そのさじ加減が中途半端で、とりとめのなくなった話を、後半は狂気ってことで、ぐちゃぐちゃにして逃げられた印象。 コッポラは、こういう小作品では、どうもピンと来ない監督。 【永遠】さん [CS・衛星(字幕)] 4点(2006-07-01 21:51:43) |
21.《ネタバレ》 謎解きのサスペンスでもなく、訳がわからない主人公の心理描写。盗聴なんて覗き趣味が無ければ陰気で憂鬱な仕事で面白くも無いだろうし、なら自分の技術を生かす仕事として割り切るしかないだろう。プロとして割り切れる訳でもなく、好奇心で盗聴仕事をする同僚を非難する主人公は何故盗聴の仕事をしているのか?偽善的で、中途半端で、往生際の悪い作品。<2017/3追記>10年ぶりの再見だが、中身を殆ど覚えていなかった。記憶の曖昧さとは恐ろしい。これはサスペンスではなく、主人公が妄想的に追い詰められていく、作品なんだが、その過程の描き方が冗長でテンポも悪い。が、自分がやっている事は他人もやっているに違いないと妄想し、不安感が増していくのは悲劇でもあり喜劇でもある。その象徴がラストのぶり壊しなのだろうか。前回よりはプラス評価。 |
20.《ネタバレ》 盗聴を仕事にする男。しかし他人のプライバシーを盗み聞きすることに罪悪感を抱き、自分の盗聴が原因で殺人が起きた過去も心の傷になっている。そして今度の仕事も…。凄腕の仕事人でありながら、盗聴=仕事と割り切れない男の苦悩が伝わってきます。教会で懺悔する姿。恋人に自分の住まいさえ教えられない生き方。自分の仕事が原因で死者が出ることへの不安。そして自分が盗聴されているのではという恐怖心。実に丁寧に描かれていています。そして行き着いたのは…。地味ではありますが、味わい深い作品です。ただ、テレビの特番等で取り上げられることにより、盗聴自体ポピュラーになった感があり、作品が与えるインパクトも公開当時より弱まっている気がします。 【目隠シスト】さん [CS・衛星(字幕)] 6点(2006-06-10 19:51:44) |
19.凄く地味な映画だけど、かなり作りこまれていて良。現在の映画において、音が非常に重視されているのは言うまでもないが、少々音の使われ方が雑だな~と思ってしまうような作品が多数存在するのが現実である。コッポラは、ゴッドファーザーでも見られるように、音の使い方が極めて丁寧で、計算しつくされていてうまい監督である。そんな彼が音に着目して、音の使い方に全力を注いだ本作は映画における音の使い方のお手本的な映画である。題材が題材なだけに、見る者の音に対する集中度が非常に高まるのは必然である。しかし注意深い観客をも完全に納得させうる本作の音の完成度は、モノクロ撮影の技術において映画史に名を刻む第三の男と匹敵すると言えよう。モノクロ撮影のお手本は第三の男、音の使い方のお手本ならカンバセーションとなってもおかしくはないのである。ところがこの映画、脚本まで緻密に練られていると言うのに、知名度において同監督の圧倒的な名作の前に存在感を失っているし、サスペンス物としてもかなり地味なのであまり見られていないのが現状だ。本当に残念なことです。当時のコッポラノ作家としての誇り高い姿勢に9点! 【ジャザガダ~ン】さん [DVD(字幕)] 9点(2005-11-05 02:26:59) |
18.ハッキリと評価が分かれる作品かも。自分としてはあまり好きになれない作品だが内容は興味深かった。コッポラは人間の深層心理を映像にするのがとても上手な監督だという事に改めて気付かされた。 【ゆきむら】さん 6点(2004-07-22 00:50:14) |
17.盗聴を商売にしてる男、いつのまにか自分がされてるのでは、と思ってしまう。淡々と割り切って仕事してるうちはいいが、深入りすると・・・。だけど人の会話盗聴して、何がおもしろいのだろうかな。でも、されるととても気色悪い。現代ではかなり技術も進んで、盗聴する方は、よりリアルにできて喜ばしいだろうし、される側はますます恐怖が増すばかり。怖いです。後味は何だかすっきりしないが、ラストシーンのサックスは余韻を残す。 【fujico】さん 7点(2004-05-04 11:59:09) |
16.これもある意味、イヤな映画ですよね。予想外に評価が高いのでちょっと驚きました。面白い映画だとは思うけど、私自身は非常に後味が悪いというか、あんまり良い気分になれた記憶はないです。ジーン・ハックマンは非常に存在感がありました。「音」を意識する内容だけに全体に静かな作りで、それが絶妙な緊張感をかもし出していたのが印象に残っています。ある意味、鑑賞することにかなりのパワーを要する作品なので、精神的に余裕がある時に観た方がいいかも知れません。嫌いな作品じゃないですが・・・日常的に見返すにはちょっと疲れるかも。 【anemone】さん 7点(2003-12-13 00:12:33) |
15.サックスが浮き彫りにする静かな狂気。人間の弱さが露呈する後半には、胸がしめつけられる。 【恭人】さん 8点(2003-11-23 21:10:13) |
【虎尾】さん 7点(2003-10-19 17:58:36) |