★5.《ネタバレ》 チュード湖上の有名な氷上の大合戦は、さすがモブ・シーンが得意なエイゼンシュタインだけあって見応えがあります。ドイツ騎士団の悪逆ぶりも堂に入っていて、子供を次々と火に投げ入れて殺すなぞ、史実かどうかは知らないけれどやってくれます。騎士団の足軽(?)たちが被っているヘルメットがモロに20世紀ドイツ軍のシンボルである石炭バケツ型なのはちょっと露骨です。彼らに付き従うカトリック教会もまるでカルト集団みたいな悪役ぶりで、移動式パイプオルガンには笑ってしまいました。 対するネフスキー公側ですが、公をはじめみんな人間描写が薄っぺらというか無いに等しく、ここら辺はやっぱりプロパガンダ映画だなと感じます。思えば製作された1938年はスターリンの粛清が最高潮だった時期で、ドイツ騎士団の捕虜は解放されるのに内通したロシア人は民衆にリンチされて殺されるシーンなんかとっても意味深。ラストのネフスキー公の演説も、まあスターリンが映画を観ている大衆に説教している様なものでしょう。 この映画の三年後、ネフスキー公が守ったプスコフやノヴゴロドでソ連軍を打ち破って、ヒトラーのドイツ軍がレニングラードまで突進していったというのは実に皮肉なことです。 【S&S】さん [ビデオ(字幕)] 6点(2013-05-06 20:19:23) |
4.一種の大規模国策映画だが、それを超えた見応えのある作品。ショスタコーヴィチの交響曲第七番「レニングラード」がやはり感動的な楽曲であるのと同じだ。氷結したチュード湖上での大会戦のシーンは語り尽くされた感があるものの、両軍激突までの緊迫感の描写は何度見てもすごい。悪役ながら白衣のドイツ騎士団が突撃を始めるシーンなど実に美しい。映画の前半ではドイツ騎士団が、占領したプスコフで住民を殺戮するエピソードが強烈な印象を与える。プロコフィエフの重厚な音楽をバックに展開されるが、昔の映画なので首が飛んだり血が噴き出したりといった描写はないが、中世北欧の陰惨な雰囲気がリアルに描かれている。アメリカ製の歴史映画ではこういう感じは出せないだろう。それと関連して俳優達の風貌が主役をはじめとして実に良い。北欧、東欧、旧ソ連圏の映画にはこういった地方色を備えた役者達を見る楽しみもある。アレキサンドル役のチェルカーソフは先日他界したグレゴリー・ペックとちょっと似ているようにおもわれるのだが・・・・。「戦艦ポチョムキン」のような作品はちょいと??だし、「アレキサンドル」の方では農民たちも雄々しく防衛戦争に加わったといった史実歪曲があるが、ま、そこはソ連映画のご愛敬。これはセルゲイ・エイゼンシュタインの才能がかなり幸福に開花した好例ではなかろうか。 |
3.大作曲家セルゲイ・プロコフィエフが音楽を書いてることでも有名ですね。この分厚い音楽に乗って展開される戦闘シーンはなかなかの迫力。一部、「勢いのまるで無い弓矢」、「敵とチャンバラしながら振り向いて仲間と会話」などの脱力シーンもありますが、御愛嬌。 【鱗歌】さん 7点(2003-04-30 00:08:32) |
2.僕は歴史映画好きで、長い間存在は知ってたんだけど、BSのエイゼンシュタイン特集でやってたんでようやく鑑賞。戦前の映画なんてそう観てはいなかったんですが、戦闘シーンの迫力はなかなか凄い。ロシア史の映画なんですけどどうも国策映画らしく、二重の意味で勉強になります(笑)。しかし冒頭の中華服のモンゴル人はなんだんだ… 【鵺】さん 7点(2002-06-25 22:41:14) |
1.エイゼンシュテインの代表作の一つ。13世紀のロシアが舞台。ドイツ騎士団の侵略から祖国を守った、英雄アレクサンドル・ネフスキーを描いた作品。氷上での壮絶な合戦シーンは圧巻!1938年ソヴィエト映画。 【鐵假面の人】さん 10点(2001-05-03 23:43:58) |