★1.《ネタバレ》 新東宝時代の宇津井健と言うと『スーパージャイアンツ』の恥ずかしいコスチューム姿が有名ですが、他の出演作にしてもどれもけっこう変なキャラばかり演じている様な気がします。良く観察してみると、この人演技中ほとんどまばたきしないんです。つまり彼は顔の表情でする演技が得意じゃなかったみたいで、そのためどの映画でも、単純で陽気だけど心の奥底では何を考えているのか窺い知れないアンバランスな人物という感じなんですよね。 さて本作では、新聞社のオートバイ便からスピードボートの操縦に商売替えしたスピード狂というあいかわらず普遍性が欠落したキャラなんですが、結論から言うと“またかよ”と言うのが正直なところです。このスピードボートがどこからみても競艇で使われているヤツで、このボートの開発がまるでトヨタや日産の新車開発みたいなノリで新聞が報道するという不思議な世界のお話しです。そんなにボートを題材にしたいんならふつうに競艇界を舞台にした映画にすればよいのにと首をひねるばかりです。 と言うわけでお話しと言うか世界観は相変わらず新東宝らしくぶっ飛んでます。女優陣はなかなかのレベルですが、気になったのは三条魔子がいつの間にかキャバレーのホステスになっちゃってるところでしょうか。この様に、登場人物で境遇が何の説明もなく変わってしまう(ひどい時にはいなくなっちゃう)のが一人か二人かならずいるのが、新東宝プログラム・ピクチャーの脚本上のお約束なんです。思うに映画会社が大部屋俳優を大量に抱えていた時代ですから、“使わなきゃ損”という根性で無理矢理押し込んで収拾がつかなくなっちゃったということなんでしょうね。まあこんなことは東宝など他の映画会社ではあり得ない、新東宝ならではの珍現象なんですけど。 【S&S】さん [CS・衛星(邦画)] 2点(2013-06-26 20:33:04) |