43.《ネタバレ》 もちろん古さはあるのだけれど、「あのとき見ていた未来」感がたまらない。「時計じかけのオレンジ」、「未来世紀ブラジル」などと並ぶ傑作だと思う。ソイレント・グリーン、かき餅みたいでしたな。あんまり美味しそうじゃない。 【なたね】さん [DVD(字幕)] 9点(2023-05-21 16:28:17) |
42.《ネタバレ》 原作は読んだことがない。時代設定が2022年とのことで今年中に見るかと思っていた。 設定としては極端な人口増加と環境破壊と貧困化と社会の劣化が生じた世界になっている。現実の2022年に生きている者の感覚からすると、少なくとも先進国では人口を減らす方向のようで今どき人口爆発など考えられないと思ったが、しかし多数の難民・移民の流入などなら実際あっても変でないとはいえる。 劇中世界はいわゆるディストピアだが、「ホーム」にだけは利用者への配慮もあって人道的だった。自分なら色は青にするだろうが(落ち着く色)、その場になれば劇中人物のように暖色を選ぶ気になったりするかも知れないとも思った。楽に死ねる制度があるのは悪くないので劇中人物にも共感できたが、ありきたりな音楽や風景映像が煩わしく感じたので、もっと個人の好みに合った演出を期待したくなる。 そういうことを考えるのは自分がその年齢の方に近くなってきたからだが、しかし最近はより若い層でも生きづらさに疲れて、安楽死の権利に期待する風潮も出てきているように感じている(気のせいならいいが)。現実の2022年では人口の増減というよりも、個人の尊厳をもって生き続けられる社会の維持が課題になっているのではと思った。この点が最も現代に通じる問題提起になっていると感じる。 ほか雑談として、「ソイレントくず」をまとめて売っていたのは実際ありそうで笑った。人工食物の製造現場では特にグロい場面もなく、いきなり乾き物の製品ができていたが、日本人ならすり身にして練り物(蒲鉾など)を作ろうと考えるのではないか(考えないか)。何にせよ共食いはプリオン病が恐ろしいのでやめた方がいいというくらいの感覚が現実世界の人類にはある。 なおエンディングで音楽と風景映像を再現したのは皮肉な感じで結構だった。多幸感が出ている。 [2023/4/1追記] 積極的尊厳死の制度化など当面ないだろうと思っていたが、2022年のうちに邦画「PLAN 75」が公開され、また今年に入ってからはネット上で高齢者の集団自決を促した発言も話題になっていた。これでかえって人々の認知度が高まって、本当にその方向に世の中が動いていくのではと思ったりする。高齢者に限定するとエイジズムだと批判されるだろうが、この映画のようにあくまで自由意思ということにして、対象年齢も拡大しておけば(18歳以上など)世界正義に反しないかも知れない。 一方でこの映画の食物がそのまま実用化されることはないだろうが、食糧危機への対応という面ではすでに昆虫食が注目を集めている。またそれとは別に、人体の処理方法としては「堆肥葬」(Human composting/人間の堆肥化)というのが提案されていて、スウェーデンとアメリカの6州では合法化されているらしい。そのうちに、火葬でCO2を大量に排出する日本人は人類の敵だと指弾される世界になるかも知れない。 映画と現実の2022年は違うところも当然あるが、意外に似た雰囲気が出てきているのはものすごい先見性のある映画だったということか。ディストピアが実現するかどうかに関わらずどうせ自分は先に死ぬので、あとは残った人々の望むようにしてもらって結構だ。 【かっぱ堰】さん [インターネット(字幕)] 7点(2022-09-03 10:03:15) (良:1票) |
41.《ネタバレ》 今よりちょっと未来のお話。 しかしいろんなものが古臭い。テレビはボタンだしゲーム機はでかいしアサルトライフルがM16だし・・・ 未来に発明されるものを予測するのはとてもむずかしいという事をしみじみ感じた。 野菜や牛肉があんなに高級な世界が来るとの予言はある意味あたっている。今現在でも、マグロやカニなどの高騰は深刻である。 安楽死の場所での映像はどれも自然の雄大さ、美しさを映し出していた。地球を大事に・・・ ところで、若い女性が「家具」として扱われているという突飛な発想は、現代であれば問題にされたかもしれない。 【チェブ大王】さん [地上波(字幕)] 7点(2019-07-20 23:13:42) |
40.1970年代から「地球温暖化」なんていう概念があったことに驚き。「安楽死」もかなり現実味があります。その意味では、けっこう今日(2022年)を言い当てている気がします。 オチを最後まで言わないのはずいぶんまどろっこしいし、主人公がいきなり捜査先の女とデキてしまうのも意味がわかりません。しかし要するに、アメリカ版「姥捨て山」ということで。 それからもう1つ、国家独占資本主義的な社会の描き方が面白い。「ソイレント・グリーン」を提供しているのは国家ではなく、あくまでも巨大民間企業です。マルクスはこういう社会の後に共産主義革命が起こると予言したわけですが、現実の2022年以降はさてどうなるでしょう。 【眉山】さん [CS・衛星(字幕)] 5点(2019-06-23 04:01:36) |
39.未来感の無い未来。この時代の退廃した絶望感の表現だろうか。 気持ち良い作品ではなく、個人的には盛り上がりも難しい。 【simple】さん [CS・衛星(字幕)] 3点(2019-06-15 10:51:46) |
38.何か、未来の話だと言ってる割には未来感が全然ないし、登場人物の行動様式が制作時代そのまんまなんですよね。また、かといって終末感や絶望感が漂っているわけではなく、主人公はただうろうろしているだけ。何がしたかったのか、よく分かりません。 【Olias】さん [CS・衛星(字幕)] 4点(2018-07-21 20:14:33) |
37.《ネタバレ》 人口爆発による荒廃しきった2022年のニューヨークを舞台にした不気味な現実味を感じるSF作品。 「田園」と共に流れる曾ては確かに存在した地球の風景を見ながら安楽死するソル。 ソーン刑事はその美しさとソルとの別れに涙しました。 私はその撮影シーン数週間後に他界したというエドワード・G・ロビンソンのキャリア最後の姿に涙しました。 共生が置き去りにされた発展の末路を見せられた傑作です。 |
36.必要なだけ作り、必要なだけ食べる。もし余れば食べれない人に回す。地球の未来のために我々が考えなければならないのは、金儲けではなく、こういうことなんじゃないかな。 【マー君】さん [DVD(字幕)] 5点(2015-04-25 11:22:16) |
35.《ネタバレ》 子供の頃テレビ放送で観て以来三十数年ぶりの鑑賞。ソル爺さんの食事シーンが凄く好きになりました。僕の知人が過去に食品製造関係の仕事をしていて、その人は飲み会などの付き合い以外、決して外食をしない人でしたし、コンビニやスパーの惣菜さえ利用せず、完全な自炊生活にこだわっていました。過去の職場で目にしてきた物がよほど強烈だったろうことが、詳しい話を聞かなくても分かる徹底したこだわりでした。今や、完全手料理にこだわっても、元々の野菜や肉の品質にさえ大きな「?」がつきまとう時代ですから、もうこの映画はほとんど今の時代を言い当てていると言えると僕は感じました。昔観ていたので、社会背景もオチも知っていましたが、今回観てみてホームというものの存在があまり示されず、わりと目隠し状態で展開されていたのだなぁと思いました。この社会背景が強烈に印象着いちゃうとオチは簡単に予想できそうですもんね。ところで、今回この映画を観終わって一番思ったのは「もしタルコフスキーがこの物語を撮ったら、どんなものになっただろう?」という強い興味でした。 【だみお】さん [DVD(字幕)] 6点(2015-02-14 12:33:44) |
34.《ネタバレ》 某ベンチャー企業が試作製造中のソイレントという完全栄養食の存在や、 沙村広明の漫画にネタとして登場するのを見て、これはSFの教養として必見なのでは?と思い鑑賞。 CGの無い時代に制作されたものであり、特撮もそれほど使われてはいませんが、 ディストピア未来の世界観を巧みに表現していると感じました。 原作とやや違いがあるようですが、原作未読でも楽しめました。 設定がいくつかあるようですが、見ていれば分かるようなものが殆どで、 必要であればレビューサイトを見れば分かるでしょう。 公営安楽死施設は、おそらく木城ゆきとの銃夢に登場するエンドジョイに影響を与えているのではないでしょうか。 エンディングがやや香港映画のような尻切れ感がありますが、クライマックスではちゃんと刑事物の側面として落ちているので、鑑賞後の余韻は十分ありました。 SF好き、また、SF教養が欲しい方は見て損は無いと思います。 【よこやまゆうき】さん [インターネット(字幕)] 8点(2015-01-26 11:57:24) |
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33.《ネタバレ》 人が増えて食糧難なので安楽死して食料になる。まぁ人道的には許されないけど昨今の介護疲れを考えると一つの手立てでもある。残念ながら(いや幸い)日本はまだ食糧難には陥ってないのでこんなことありえないけどね。リーテイラーがお麗しゅうございました。 【悲喜こもごも】さん [DVD(字幕)] 5点(2013-08-06 00:16:03) |
32.その昔、トータル・リコールという映画があって、曲がりなりにも秘密諜報員の活躍を描くのに、なんで主演がシュワやねん(顔が作り物っぽいので特撮に使いやすい、ってのはあったかも)、と思っちゃう訳ですが、この映画の主人公をC・ヘストンが(それも『黒い罠』なんかのヘストンではなく、あくまでマッチョなヘストンが)演じてるのに通じるものがありますね。殺人事件の捜査から、やがて巨大企業の真相に迫る刑事の役だけど、ヒーローどころか、見るからに労働者風で、何とも頼りない。そんなこともあって、超絶的に地味なSF作品に仕上がってるんですけれども、その一事が万事、洗練されていないところが、まさに本作の持ち味。実際、このキタナらしさ、閉塞感、人間だけが有り余っている世界観。未来を言い当てる可能性がもっとも高いSF作品のようにも思えます。そして、真相を暴く事が必ずしも幸せではないこと、何も解決する訳ではないこと。もはやすでに、すべてにおいて取り返しがつかず、すべてが狂ってしまっているのだから。という絶望感。とは言え、まあ、やっぱり地味な作品なんですけれども(笑)、 【鱗歌】さん [CS・衛星(字幕)] 6点(2012-11-12 17:42:36) (良:1票) |
31.《ネタバレ》 近未来SFモノ 人口増加・自然破壊・食糧難など当時としては相当ショッキングな内容だったでしょう 2022年の設定ですが、現在(2012年)の観点から観てもなかなか鋭い視点で描かれていますね 暴動鎮圧部隊が人をショベルカーですくって排除する場面など結構スゴイ 70年代の映画らしくかなりはしょった展開が、若干置いてけぼり感あり(苦笑)だけど コンパクトにまとまった良作だとオモイマス 【Kaname】さん [CS・衛星(字幕)] 6点(2012-09-09 08:32:13) |
30.《ネタバレ》 劇映画らしからぬドキュメンタリチックな出だし。これを作った人は、フィクションを超えて、オーディエンスに訴えたかったのではないかと思わせる。 近未来(当時からすれば、結構な未来か?)に、温室効果で地球が熱くなりすぎて、自然の恵みが失われるって、慧眼である。っていうか、その時代から温暖化判ってたなら、何か手が打てなかったのか?とも、今見ると思ってしまう。 そして人口の爆発的増加で、食糧難。極度の貧富の差で、人間の価値がおかしくなっている時代。実際には人口は爆発してないけど、富の偏りで、世界はおかしなことになっているのは間違いない。部屋に家具として女性が付いていたり、紙が貴重で本がなくなり、情報のスペシャリストを「本」と呼ぶのも、人を機能で評価しているという、人の価値が落ちた事を表す凄い発想だと思う。また、人を掬ってかき集めるブルトーザーは、人のゴミ化を印象づける凄いカットだった。 貧困が、倫理を失わせるのは、当時から判っていただろうけど、この刑事の、現場の品物をくすねまくる様を見ていると、貧富の差は罪悪だとさえ感じさせる。 人肉原料の新食品は、ショッキングではあるが、本当の罪悪は、安楽死-食品化のしくみを、一企業が秘密裏に行なっている、という事だと思う。 ……公然とやっても問題か。 映画としては、この絶望的な社会の描写と主人公刑事の腐りっぷりがクドく、ソイレントグリーンの核心に迫る前に、嫌になっちゃうキライは否めない。また、仕事熱心って事なんだろうけど、この腐れ刑事がこの事件だけに執着しているのが、すんなり納得しづらい。古い映画の、物質的な未来描写がショボイなんていうのは、指摘するだけヤボというものだが、この映画は、そんな所は全く気にならない、関係ないと思わせる力はある。 【2011.7.25追記】実際に人肉カプセル事件が中国-韓国で起こるとは!世の中、思っていたより恐ろしいなぁ。 【Tolbie】さん [DVD(字幕)] 5点(2011-07-11 14:48:19) |
29.《ネタバレ》 食料が潤う当時の先進国に対する痛烈な皮肉と将来への警鐘というメッセージを大いに感じました。 しかし、肝心の中身は退屈。 オッサン世代が食料が豊富だった時代を知らないということは、食糧難に陥って相当経っているはずですが、それほどの切迫感が描写されていませんでした。 随分前の作品なので仕方ないかもしれませんが、当時の町並みに「食糧がない」という設定だけを取って付けたような感じでした。 作品に華がないと思ったのか、これまた取って付けたような「家具」・・・この存在意義がよくわかりません。 また、これを鑑賞したのは「大どんでん返し映画22作品」で発表されていたからですが、サプライズはそれほどなく、正直言って「小どんでん返し」でした。 酷評並べましたが、最初に書いたメッセージを感じたので、かろうじてこの点数。 【午の若丸】さん [DVD(字幕)] 4点(2010-11-12 17:32:16) |
28.時代を考えれば変に近未来の舞台を作るより何もしないほうが結果として良かったのかもしれないが、それにしたって当時じゃ「何もしない」ってのはなかなかの決断だったはず。それともお金が無かったのか。いや、フライシャーはわかってたんだ。背景は映画の側面的なものでしかないということを。そのぶん想像を絶する慢性的食糧難という未来社会がいやというほど映し出されて未来を強調する。その世界の中で俳優たちは現代劇となんら変わらぬ演技をする。妙にリアルで妙にうそ臭い。このうそ臭いリアルに不気味さがあり、またこれが映画なのだという喜びがある。なんともやるせないエンディングが70年代前半独特の後味でどこか懐かしい。と思うのは限られた世代だけですね。 【R&A】さん [DVD(字幕)] 7点(2010-09-16 10:12:14) |
27.《ネタバレ》 当時のSF映画のフトコロ事情ならば致し方ないのかもしれませんが、もう少し世界観の広さが欲しかった。世界観が、実に閉塞的で箱庭的。 面白い作品だけに、惜しい。 蛇足ですが、鑑賞後に主人公たちの食事シーンを思い出し、やたら空腹を感じたのは私だけでしょうか? そして蛇足・2。劇中、ソイレント・グリーンの配給日に「GREEN DAY」と貼ってありましたが…アレって、某バンド名と一緒ですねぇ…偶然ですか? ちょっとウケた。 【aksweet】さん [DVD(字幕)] 6点(2010-05-10 03:21:29) |
★26.中学生ぐらいのときに初めて観ましたが、E・G・ロビンソンが安楽死するときの全周スクリーンに美しい風景が映される場面で、大阪万博で観たどっかのパビリオンの映画みたいだと思ったことを鮮烈に覚えています。この映画の時代設定は西暦2023年ですが、E・G・ロビンソンが演じるソルは、実は自分とほぼ同年代の生まれであることに再見して気がつきました。ちょっとブルーな気分です。彼はこの後すぐに亡くなりますが、この映画が101本目の出演作でした。101本も映画に出演する俳優は今後でてくるのでしょうか。映画の出来は落ちの強烈さの割にはグダグダなのですが、未来予測としては地球の気候が暑くなっているということだけは的中しています。現在は地球温暖化が深刻な問題ですが、70年代当時は逆に氷河期が来て人類が滅亡すると予想する学者が多かったのですよ。 【S&S】さん [映画館(字幕)] 6点(2009-06-04 22:21:22) (良:1票) |
25.《ネタバレ》 わかってはいるんです。1973年に作られた作品なんだから・・・でもやはり今見ると悲しい位に古臭い作品です。この作品は2022年を舞台に作られておきながら、例えば、テレビのチャンネルがダイヤル式だったり、TVゲームがインベーダーゲーム以下だったり、走る車が当時の物だったり、目茶苦茶リアリティーに欠ける。 しかし、ソイレント・グリーンの原材料が○○だったなんて!原材料隠しの偽装問題だけは未来を予測していたようだ。 【みんてん】さん [DVD(字幕)] 5点(2007-12-19 17:15:35) |
24.今観るとオチとかストーリーとか古いと思います。特にストーリーは途中までは普通の刑事ものと変わらないので、しかもダラダラしてるしで、ちょっとダレましたが、暴動が起こるあたりから後半にいくにしたがって、この世界の深刻な状況や終末観がジワジワと観てる俺の心に浸透してきまして、それがラストのなんともいえないやるせない感覚となりまして。オチが読めても、この感覚は結構くるものがあります。それにこの映画では極端に描かれてますが、現実世界も広がる格差社会、崩壊がはじまってる食文化など、この映画を笑ってしまっていーものか。正直、怖いです。それでも、おもしろさは中間くらいでした。世界があまりにも極端すぎて、この映画への入り込み度が薄かったからかも。 【なにわ君】さん [DVD(字幕)] 5点(2007-09-13 01:23:01) |