7.《ネタバレ》 とても美しい映画。
サイレント映画の名作吸血鬼ノスフェラトゥのリメイクですが、ハリウッド監督ではなく、巨匠によるリメイクなので、芸術性あふれる素晴らしいものになっております。
巨匠がやると作品に奥行きと美しさがあります。
そして巨匠がホラーを撮ると、独特の恐怖感が絶妙のものになります。
ただオリジナルのノスフェラトゥの不吉過ぎる、非人間的な存在感に比べると、
こちらのノスフェラトゥはちょっと目がキラキラ輝いていて情熱的過ぎちゃうのかもしれません。歯がネズミ男みたいで間が抜けてるかもしれません。異様な存在感はありますが。
でもクラウスキンスキーという俳優はどうやら吸血鬼役を2回もやっている大ベテラン俳優だそうで、僕なんかが偉そうなこと言ってはいけないんですけどね。
ノスフェラトゥの喋り方がいい感じです。
息使いからノスフェラトゥの精神的にアブない感じが伝わる。
レンフィールドの高笑いも完全にイッておられます。
オリジナルとは趣の違う美しさがあります。
たとえば船で川を渡る場面はとても美しく幻想的です。雄大さを感じる自然があります。作品に巨匠らしいスケール感を感じます。
そういったものが幻想的な恐怖を演出します。
淡々とした音楽が不安な気持ちにさせます。
オープニングのミイラはとても恐ろしく、観てるほうが呪われそうです。ミイラ一体一体から言葉が聞こえてくるような迫力です。
(2009年の映画メモをもとにレビュー)