★29.《ネタバレ》 “何も起こらない映画”の名手ジム・ジャームッシュ、初期作にはそんな称号が相応しかった作風が“大した事じゃないけど何かが起こる”風に変わってきた中期の作品です。メンフィスのホテルに泊まった三組の登場人物たちの一夜の体験を時系列をずらして群像劇として見せるというのはもうジャームッシュ版の『パルプフィクション』ですけど、タランティーノが撮る五年も前の映画なんですよね、これはタランティーノがパク…いや多大なる影響を受けたと言っても過言じゃないでしょ。バブル全盛期だった日本からJVCが出資したので永瀬正敏と工藤夕貴がキャスティングされたのかもしれませんが、二人は日本語で演技して他のアメリカ人俳優とはほとんど絡みはないけど、なんか二人のセリフ回しが(とくに工藤夕貴)拙く聞こえちゃうんだよな。やっぱ外国人を起用してその母国語で演技させると、監督には外国語なのでセリフ回しのニュアンスあたりには理解が及ぼないんだろうな。二人はしっかりエッチまでしてくれるけど、工藤がタバコを吸って永瀬に口づけしてその紫煙を長瀬が吸い取って吐き出すところは他に観たことない斬新なシーンでした。さすが『コーヒー&シガレッツ』のジャームッシュ、タバコに関しては拘りがありますね。二話目でニコレッタ・ブラスキにインチキなエルヴィス怪談で怖がらせてケチな寸借詐欺を仕掛けるトム・ヌーナン、なんせあのトム・ヌーナンですから怪談噺よりお前の存在自体がよっぽど怖いわ(笑)。そして三話目のスティーヴ・ブシェミたちの酔っ払いトリオの愚行には笑わせていただきました、こういうシチュエーションを演じさせたらスティーヴ・ブシェミはやはりピカイチです。 ①ホテルの宿泊代が一部屋22ドル②ジョー・ストラマーが酒屋で注文した酒代が22ドル③そして三人がホテルで割り当てられた部屋が22号室、この映画ではやたらと“22”という数字が出てくるんですよ、こういう拘りというか遊びがちりばめられているところがジャームッシュらしいところなんです、まあ意味不明ですけどね。あと、メンフィスからローマへの直行便は有りません、この人は『ストレンジャー・ザン・パラダイス』でもフロリダの田舎空港からブダペスト行きの直行便を飛ばした前科がありましたっけね(笑)。 【S&S】さん [CS・衛星(字幕)] 7点(2024-10-31 21:09:51) |
28.特に何が起きるというわけではないけれど、ついつい最後まで見続けてしまいます。で、特にストーリーとして印象に残っているわけではないけれど、断片的に反芻してみたくなります。結局、もっとも思い出すのは受付の2人だったり、ボロボロの部屋だったり。この感覚、要するに旅行から帰ってきたときに近い気がします。少し時代を遡って、メンフィスの安ホテルで一泊してきたような感じ。その意味でお得感があります。 スティーブ・ブシェミが若いです。昨今の妖気は、まだ抑え気味のようで。 【眉山】さん [CS・衛星(字幕)] 7点(2023-04-27 23:38:57) |
27.《ネタバレ》 三話構成のオムニバスなのですが、意外にも最初の永瀬&工藤編が一番出来が良かった。永瀬正敏のぼーっとした感じが、実はジャームッシュの雰囲気に割とはまっているのです。由緒正しいはずのスタジオがどってことない地味な外見であるくだりなど、演出も冴えています。エロシーンの工藤夕貴の無邪気な色っぽさにもぞくっとしました。●2篇目も筋としてはいい感じなのですが、ニコレッタの方がちょっと押されてたかな・・・もうちょっとカウンター的な何かが欲しいところでした。3篇目はあれこれいかにもな線を狙いすぎて、かえって収縮してしまいました。●あと、銃声が3篇を共通させているのですが、この辺はほかにもいろいろ仕込んでもよかったと思います。せっかくの同一夜同一宿宿泊という設定なのですから。 【Olias】さん [CS・衛星(字幕)] 6点(2023-03-27 20:45:10) |
26.80年代、ジャームッシュの初期の作品ですが、 自分の映画でやりたいことを好き放題やってる感じがいいですね。 作品の舞台はメンフィス。3話からなるオムニバス。 メンフィスということで当然と言えば当然ですが、3話に共通するキーワードは、エルヴィス。 ジャームッシュもやっぱりエルヴィスが好きなんだな。 作品が始まると、最初に登場するのは意外にも日本人。 永瀬と工藤の、繰り返される「エルヴィス」「カール・パーキンス」「エルヴィス」「カール・パーキンス」・・・。 メンフィスの安ホテルのフロント係とベルボーイのコンビに流れる微妙な間。 そこに流れる微妙な空気。決して爆笑はさせてくれないけど、その空気に漂うクスッとさせてくれる可笑しさ。 いきなりジョー・ストラマーが登場したり、ラジオのDJがトム・ウェイツだったり。 結局、だから一体何だったのか。もう、これらのジャームッシュ節炸裂がたまりません。 【とらや】さん [CS・衛星(字幕)] 8点(2022-01-29 20:23:48) |
25.《ネタバレ》 工藤夕貴、リップの色が赤でもピンクでもなく白なのがレトロさを感じていい感じ。だが、退屈顔した永瀬の関心得る為にわざわざ真っ赤なルージュを塗りたくってその勢いで永瀬の口元にベロベロチュウし 永瀬の顔を真っ赤な口唇オバケにしてほくそ笑み喜ぶ女の子って姿がいたましくてかわいらしい。結果、二人の相性がよいのかどうか分からないですが、眺めているぶんには十分に微笑ましいカップルの姿になっており、二人を見せてくれるには丁度良い尺だった。だが、二話目、三話目と進むに連れ面白さがなく尻すぼみ。ラストにまた二人が再登場してくる事予測出来たし、期待してた通りの登場ではあったのですが、いきなり列車に乗り込むシーンではちょっと物足りない。出来れば、ホテルフロントで別話の人物と鉢合わせになって さてどうなるの?というのを期待していました。その辺りがちょいと期待外れに終わってしまったところです。 結果、ミステリー・トレインって言われても、それってなんか違うと思う。どちらかと言えばこれミステリー・ホテルってタイトル付けたほうが正解ではないですか。 【3737】さん [CS・衛星(字幕)] 5点(2021-09-22 22:16:15) |
24.この監督の作品には起承転結が無い。人と人との「間」を噛みしめるのが、ジャームッシュ節を味わうコツ。相変わらずへんてこな風合いですが、メンフィスの鄙びた感じも彼独自のスタイルを貫くのに一役買っていますね。かつて一世を風靡したプレスリー一色の都市。でもそのポスターもわびしく色褪せていて、ジャームッシュ作品の他都市同様、寡黙な街です。 で、その静かな土地に生きる人たちのキャラ濃いこと、このギャップ。安ホテルのフロント2人もちょっと意味不明なほどにインパクトが強いコンビ。場の切り替えポイントとしてちょくちょく並んで登場。仏頂面なのに引きが強い強い。街と仏頂面とブシェーミ、私的にこれはジャームッシュ3点セット。ああこれこれ、とうれしい。 ところが、私は日本人なので一話めから突き刺さるような日本人女優のハイボイスが、どうしてもジャームッシュの世界に浸るのを邪魔してきました。母国語だとお芝居の上手い下手に より敏感になるので、外国人ペアで撮ってほしかったと心から思いました。 【tottoko】さん [CS・衛星(字幕)] 5点(2020-02-19 16:27:19) |
23.1989年にロンドンの映画館で観ました。その後DVDで何度か再見しています。3つの作品がうまく融合してオムニバスとして成立しています。各登場人物の会話ややりとりが面白いです。工藤夕貴は「サンキュー」を連発して少しバカっぽいし、長瀬はいつもムスっとして不機嫌な感じですが、ジャームッシュ監督から見ると日本人は皆あのように見えるのでしょうか、、、。真夜中にアナログラジオからブルームーンが流れてくる夜のメンフィスの雰囲気が良いですね、、、。 【みるちゃん】さん [DVD(字幕なし「原語」)] 8点(2019-08-14 10:11:32) |
22.《ネタバレ》 いや、俺もそう思う。 異郷の地で聞く、真夜中の暴走族のバイクの音や夜行列車の音。 あれはどこに行くんだろう? ジャームッシュの「ミステリートレイン」のタイトル通り、まさにミステリーだ。 夜行列車から見る風景にも似て、寂しい心に突き刺さる。 ワインを一本空けて、観たからか、ジャームッシュの演出は笑いのツボにはまった。 ジャームッシュは酔わずに酔う、酒仙のような映画だ。 彼の映画のテンポが、酔った時の感覚に近いのに気づいたのは、発見だった。 永瀬くんのジャームッシュ映画の初登板。 「パターソン」を観て、時間の経過をしみじみ思う。 それにしてもジャームッシュはロードムービーの、まさに孤独の詩人だ。 【トント】さん [DVD(字幕)] 7点(2018-06-15 02:18:36) |
21.ジャームッシュはなんでこんなに日本人役者の使い方が上手いんだろう?個性的で魅力的で、ストーリーも練られていて、ユーモアがたっぷりで、好きなシーンは数えきれません。モノクロじゃないジャームッシュもいいものですね。 キスをしてタバコの煙を移す所と、口紅をつけてキスをした後の二人のシーンがお気に入りです。カールパーキンスー。 【Balrog】さん [DVD(字幕)] 7点(2009-06-27 22:48:45) |
20.エルビスの町メンフィスを舞台とした退屈なオムニバス。音楽とか良い。 【すべから】さん [DVD(字幕)] 4点(2008-10-09 14:42:03) |
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19.だから何なの?という内容ですが、例えば工藤夕貴さんが足でライターを付ける、例えばブシェミが店先で釣り竿を振り回している、例えばホテルのフロント二人の絶妙なコンビネーション…。こういう感覚というのは学んで身に付けたものではなく(もちろんジャームッシュはたくさん映画を観ていると思われるのですが)生来備わったものだと思います。ジャームッシュのこの感覚、私はたまらんです。 【ミスター・グレイ】さん [ビデオ(字幕)] 8点(2007-12-07 18:15:59) |
18.同じ頃に作られた『ナイト・オン・ザ・プラネット』は大好きな作品ですが、こちらはボチボチといったところ。 【にじばぶ】さん [ビデオ(字幕)] 6点(2007-10-11 09:26:30) |
17.《ネタバレ》 同じ場所、同じ時間の3つのショートストーリーを紡ぐ。短編集のようでありながら群像劇としても楽しめるという造りになっています。とくに2つ目と3つ目の関係の濃厚さが群像劇っぽくさせているが、この2つの関係性をもう少し希薄にしてくれたほうがジャームッシュらしくて良かったような。3つの中で唯一カップルを描いた1つ目のエピソードは、ストーリー不在の中で見事に二人の関係を見せきったジャームッシュらしいエピソード。会話のズレも間の悪さも、これぞ日常のズレであり間であることを見せている。3つの中で唯一見知らぬ者同士の出会いのある2つ目のエピソードは、3つ目へのアプローチ的な役割を担いながら幽霊の登場によってちゃんと単独のオチをつけている。3つの中で唯一ドラマチックな3つ目のエピソードは、前2つが最初からメンフィスを出ることが予定されていたのとは違い、出る予定は無かったのに前2つに合わせて出てゆく(出てゆかざるをえない)ストーリーにすることでロードムービーとして成立させている。うまいっちゃーうまいね。 【R&A】さん [ビデオ(字幕)] 6点(2006-05-11 14:39:07) |
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14.高島忠夫より、赤いジャケットが似合う人がいたんですね。ビックリ。 【tantan】さん 5点(2005-02-07 23:42:26) |
13.ジム・ジャームッシュって”成瀬巳喜男”信者らしいね。デビュー作から一貫して平凡な人物のたわいもない会話にえも云われぬ味を滲み出させる辺り、確かに成瀬の影響アリアリだ。本作でも工藤や永瀬の若い持ち味に絶妙の間を入れる呼吸が実に上手い。悔しいが現在の邦画界に成瀬の後継者が(絶望的に)見当たらず、アメリカ人ジャームッシュにお株を奪われた形となったのは何とも皮肉な話ではある。本作を観て「つまらない」「退屈」「だから何?」と評した方は恐らく成瀬作品も全く肌に合わないだろう。「ストレンジャー・ザン・パラダイス」や「ダウン・バイ・ロー」に比べ、より演出が洗練された本作は、オムニバスっぽい作りとか技巧が前述の二作より妙にハナにつくので2点マイナス。でも近年のそこらの邦画よりは遥かに面白い!悔しいけど。 【へちょちょ】さん 8点(2003-12-31 17:13:11) (良:1票) |
12.私も下の方と同じ。。。なんかつまらない映画でした。うーんよさがわからない。 【たかちゃん】さん 4点(2003-12-17 20:20:38) |
11.どういうスタンスで見るべきなのか判らないまま淡々と3つのストーリーが流れていってしまった。メンフィスはこんなエルビスに溢れた街なんだって事だけ判ればいいのか? 【亜流派 十五郎】さん 4点(2003-11-21 13:19:50) |
10.工藤夕貴さんのキャーキャー騒ぐだけの演技に日本人として何度もテープを止めた。あれで国際派女優といわれた当時、確かに国外でがんばっている日本人俳優はいなかったけど。そういう問題じゃない。 【セクシー】さん 0点(2003-11-08 13:27:57) |