1.《ネタバレ》 タラちゃん映画がいつもそうであるように、今回もまた映画についての映画。それなりに長尺ですが、一切時間を気にする事なく映画に没頭できたので、よく出来ていたのでしょう。1シーンで延々と対話が続いた上でバン!って来るタラちゃんパターンも、今回は一方向にベクトルが統一されているので緊張感を持って見ていられます。プロパガンダに映画を利用した者と、殺人に映画を利用した者、そのどちらにも罰が与えられるという展開は、大変に真っ当な展開とも言えます。だけどねぇ、マトモ過ぎるんですよ。ホラーだのヤクザだのカンフーだのでなくて、ドイツ、フランス、そして戦争についての映画ってのを題材に選んだ時に、ごくごく良識的映画に走ってしまうってのはタラちゃんの限界なんですかねぇ? そりゃ、頭の皮だのバットだのハーケンクロイツの刻印だのには、ザラッとした異物感が漂ってます。だけど、創作のセオリーを逸脱したところで得られる快楽のようなモノは、今回あまり感じませんでした。確かに歴史は変えた(少なくとも『ワルキューレ』なんぞよりは数百倍面白いです)、だけど歴史を大きく変えるには、あまりに歴史の現実は重過ぎたってところでしょうか。毎回、結局は映画の殻の中で遊ぶにしても、映画についてひと言うるさいだけのジジィになるにゃ、まだまだ早いんでないかなぁ。