102.画面から終始漂う厳かな雰囲気が特徴の、映画らしい映画。 主人公のはげ頭のおっちゃんの人間像が丁寧に描かれているわけではないので、 彼の心境の変化が唐突に感じられるかもしれないけど、そこはあくまで想像力で。 このおっちゃんに感情移入できるかどうかが、本作に好印象を覚えるか否かの一番のポイント。 タイトルどおり、人間の善をテーマにしているも、ベタなシーンはほぼ削られており、 製作者側のセンスを感じさせてくれる。秀作。 【MAHITO】さん [DVD(字幕)] 7点(2012-04-27 02:12:17) |
101.《ネタバレ》 実は、冒頭10分位で一回飽きてレンタル返却前日に通して全部観たんだけど、結論、ここまでの作品は年に数本出会えるかどうかだと思った。ラスト15分、本当に素晴らしかった。あの車の中から新聞を配る彼を見つめるシーンは、ハリウッド映画だったら駆けつけて話をしちゃうんじゃないかなと思った。お互い本当は話をしたかっただろうし。ヨーロッパ映画のあの淡々とした演出が鑑賞後、全てのシーンの意味が繋がって感慨深い印象が残るこの感じ、大好きだ。 【ネフェルタリ】さん [DVD(吹替)] 10点(2012-04-05 10:03:22) (良:1票) |
100.《ネタバレ》 悪役が次第に心変わりして人を助ける話に弱い。決して感情を顔に出さないヴィースラー大尉だが、意気消沈しているクリスタを励まし、恋人たちの危機を救い、2人が愛と信頼を回復しているさまを確認して、自分が冒した冒険の成果に酔いしれる。シャンパンのコルクが弾ける音に耳を痛打され、体制批判を繰り返す劇作家たちの言動に、「こらえろ」「みのがしてやる」とぶつぶつつぶやき、彼らの部屋が捜索される際には気をもみながらハラハラする。こんなかわいらしいおじさんが、泣く子も黙るシュタージ関係者とは驚きだ。無表情の彼の心情をどこまで視聴者が汲めるか試すような、決して饒舌ではない脚本の素晴らしさに舌を巻く。また、劇作家が自分の生活を盗み聞きしていた体制をクズと呼びながら、その実行犯に対して謝意を示すという複雑で繊細な心理を、この映画はとてもしなやかに、粋に描いている。人を許すこと、愛に生きること、人のために、自分のために生きることの尊さ等が、『善き人のためのソナタ』というラストの「書名」に収れんされていく…。 (「ソナタ」とはあるが、これは音楽、演劇、小説を問わず、あらゆる芸術の象徴として選ばれた言葉ではないかと思う) 【tony】さん [DVD(字幕)] 10点(2012-03-13 10:34:19) (良:2票) |
99.《ネタバレ》 ヴィースラーの心変わりについては全然理解出来ます。マリアとドライマンのセックスに欲情して女を買ったシーンがちゃんと伏線になってますから。ラスト、ドライマンとヴィースラーを会わせちゃうの!?とハラハラしながら観ていたが、当然そんな野暮な演出はなし。粋なラストに仕上がっていると思います。 【カタログ】さん [DVD(吹替)] 9点(2011-11-18 12:42:54) |
98.《ネタバレ》 大尉の心変わりの理由がわからないというのは、要するにお話がご都合主義だからです。クリスタがあっさり口を割るのも同様。まずテーマありきで作ったものの、やり方がまずい。こういうテーマを扱えば、少々ご都合主義でも大目に見て感動してもらえるということでしょうか。ナチスものなどと同じですね。 【アングロファイル】さん [CS・衛星(字幕)] 6点(2011-08-21 11:20:05) |
97.管理社会も人間の美しい部分を完全に奪うことなどできないのだなあ、となんだか勇気が湧く。美しい部分て、例えば友人をかばうことだったり、人に恋をすることだったり。監視される側とする側は、美しい要素を持つ者と持たざる者という見方もできる。当局ににらまれる芸術家たち 彼らに比べて圧倒的に社会的強者である大尉の、しかし私生活のなんと寂寞として無様なことか。クリスタに恋するヴィースラーの、必死な表情に胸が詰まる。彼女の尊厳が自分の上官に踏みにじられるのは耐えられなかっただろう。終盤、ドライマンに「君なんか完全監視だよ」と言い放つ元高官の、いまだ残る優越の表情に血圧が上がりそうになった。 【tottoko】さん [DVD(字幕)] 8点(2011-08-04 15:09:06) |
★96.エンドロールを見ながら、ああこれは「無法松の一生」にちょっと似てるなぁと思った。一種の美学ですね。人間にしかできない、きれいなこと。 【kagrik】さん [地上波(字幕)] 9点(2011-04-16 12:06:52) |
95.《ネタバレ》 いい映画ではあるが、他のレビューにある通り主人公の心変わりした理由がはっきり分からなかった。 ソナタを聴いたから?女優を好きになったから?国家の大臣が汚れていることもある? 複合要素ではあると思うがそこははっきりとストーリーに組み込むべきところだと思う。 その部分はおいておき、心変わりした主人公が善き人になり、自分の良心に従う場面は好き。そして最後のシーンは、いい終わり方でちょいと感動する。 【MS】さん [DVD(吹替)] 7点(2011-03-22 16:59:43) (良:1票) |
94.ヴィースラーの無表情でありながら淡々とした演技に味があり、私は魅せられました。終始重い雰囲気の映画ですが、そこが良い。登場人物ほぼ全員が知性的ですが、そのやり取りは決して理解し難いものではなく、洗練されていて、見ていて惹きつけられました。 【もんでんどん】さん [CS・衛星(字幕)] 8点(2011-03-10 14:31:50) |
93.大尉の無表情な中、目で見せる演技が見事。見た人の内面にジワジワと染み込んでくるような映画です。愛を感じさせるラストシーンも素晴らしい。ヴィースラー大尉役のウルリッヒ・ミューエ彼が亡くなられたのが本当に残念です。自分の中では100点の映画です。 【akila】さん [DVD(字幕)] 10点(2011-02-19 02:47:06) |
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92.真摯にきっちりと作られているものの、表現としては十分でないところがあってドイツ映画らしく生硬かもしれませんが、何を描きたかったかは伝わってきます。 最後もドライマンが自分のために大きな犠牲を払ったヴィースラーにもっと報いてあげてほしい気はしましたけれども、相手の誇りを傷つけずに自分にできる最上の方法を選んだのでしょうし、相手もまたその気持ちを受け取った。 一度も言葉を交わしたことのない人間同士の友情の表現として簡潔で清しいものに感じられます。 クリスタの魅力が薄いのは「男の映画」だからでしょうか。 彼女の女優業への情熱は恋人ドライマンよりヴィースラーの方が理解していたのでしょうね。 他人のために得にもならないことをする人は、このような特殊な状況下でなくとも世の中にいてほしい気がします。 (ドライマン役のコッホは「飛ぶ教室」の禁煙さんでしたが、ゲデックは「マーサ」とはわからないくらいイメージが違いました) 【レイン】さん [CS・衛星(字幕)] 7点(2011-02-17 00:30:05) (良:1票) |
91.《ネタバレ》 大尉のラストに繋がる心の変化に説明不足でいまいち共感できませんでした。 【osamurai】さん [DVD(字幕)] 6点(2011-02-13 20:53:00) |
90.《ネタバレ》 彼は何故、監視対象者を幇助するような行動を取ったのか?その答えを同時進行的に辿る、そういう映画なのだと思った。 彼女に恋をしたからだろうか? 最初のきっかけはおそらくそうなのだろう。そして、原題にあるように、彼が自分と違う「他者の人生」に深く感銘してしまったこと。それが実際の理由なのだろう。 監視していた劇作家が恋人の裏切りを知りながら、彼女を許したこと。それは何故なのか。人を許すとはどのようなことなのか?彼はその答えを知りたいと切望した。劇作家が弾く音楽を聴き、その読む本を読み、その佇まいを想像し、彼はその本質に触れたのだと思う。彼は「他者」を発見したのである。そして、彼は二人の他者の人生に実際に触れる。 最後に彼は劇作家の本の謝辞に自分を発見し、それを「私のための本」と言う。それが彼にとって「他者の人生」を「そうありたい自分の人生」と重ねられた瞬間だった。彼の微かに誇らしげな笑顔がとても印象に残った。 ※各自の点数評価のことなので僕にはどうでもいいことですが、邦題でこの映画の内容を判断するのはちょっと可哀そうな気がします。。。 【onomichi】さん [映画館(字幕)] 9点(2011-01-17 22:13:45) (良:2票) |
89.《ネタバレ》 良い映画なんだけど、ヴィースラー大尉の心の変化がイマイチわからん。そこがクリアされたらあと1~2点上げられるのに。 |
88.《ネタバレ》 ……そもそも芸術などまるで意に介さない男ヴィースラーが、ドライマンとクリスタの生活を監視し盗聴することにより、彼らの信望する芸術に触れ、その何たるかを知り、深く突き動かされ、その感動が彼の信念である国家への忠誠心を覆すほどにも大きく波打っていく……それがこの映画の根幹なのだと思っていた。 つまり、その感動が私たち観客にも与えられてこそ、この作品は成立し得るのである、と。 それが、問題のソナタはちょっろと弾かれるのみ、熱情ソナタへのレーニンの言葉でお茶を濁されるだけ。なんなんだ? 邦題とはいえタイトルが「善き人のためのソナタ」となっているからには、 少なくともそのソナタをもっとじっくり聴かせてもらいたいものだった。 それを聴かせないということは、もともとこのソナタには大した役割は託されていなかったということなのか? (じゃあ、ヴィースラーは何に感動したのだ? ドライマンたちの愛の深さ?演劇という芸術にかける彼らの情熱? しかし、どれをとってみてもどうもイマひとつ、残念ながら説得力のある要素はどこにもない。) いずれにせよ、 このソナタがそれほどのファクターでないというのは確かなことなのだから、 何人かのレビュアー諸兄が仰られるようにこのもったいつけた邦題の罪は重い。 そんなわけで、本来は4点あたりが相当するところだが、ラストの「私のための本だ」というセリフに+2点しての6点を献上。 逆に言うなら、このセリフ以外に観るべきものはほとんどない映画と言っていいだろう。 【ぞふぃ】さん [DVD(字幕)] 6点(2010-11-24 18:03:18) (良:1票) |
87.《ネタバレ》 まだ感想書いていなかったみたいですね。 見たのはだいぶ前になります。旧東ドイツの異常な監視体質をモチーフにした作品です。体制側の主人公はとある人物の行動を監視します。それも留守中に盗聴器をしかけ、2交代制で盗聴し続けるというもの。そこで監視対象の人物が反政府的な思想をもっていることを突き止めるのですが、そのころには監視対象の人物に共感してしまいます。そして政府へ報告しないという選択をします。監視対象の人物が東ドイツでは自殺者が多いという情報を西側諸国にリークしたことで、主人公の隠蔽もばれて、主人公は閑職へ追いやられてしまいます。やがて壁が崩壊し、資本主義になった東ドイツの書店で主人公はかつての監視対象者が書いた書籍を手にします。そこには以下のことが書かれていました。「東ドイツ時代に自分の部屋に盗聴器が仕掛けられていたことを情報開示で知ったこと。そのときに自分の思想はばれていたので、逮捕されても不思議ではないこと。自分を見逃してくれた監視者に対する感謝の言葉。」本を手にレジに向かうと店員が「贈り物ですか?」と聞きます。そこで主人公は誇らしげに「これは私ための本だ。」と答えます。//東ドイツ高官の腐敗っぷりもえがかれてむかつきます。やはり人間ごときには国を運営するなんてことはできないってことですね。立場を利用してやりたい放題。。。やはり邦題のセンスが激マズですね。原題は絶対違うはずです。話の中で監視対象者のドライマンがピアノを弾いて「この曲を聴いた人が善人にならずにはいられない」みたいなことをいうのですが、それはぜんぜんメインではないので、まとまっていないという印象を生みます。 【承太郎】さん [DVD(吹替)] 5点(2010-11-21 01:26:43) (良:1票) |
86.《ネタバレ》 いやー、分からなかったですよ、残念ながら。観る人を選ぶ映画なんでしょう。皆さん同様、ヴィースラー大尉の変心のきっかけが、まず分からない。ここはまず、生身の人間の生活を知ってしまい、そのほの明るさやほの暗さに心つかまれてしまったことによるものと思いましょう。あと、またクリスタが分からない。なんであんなにあっさりと、何もかも白状してしまうのか。しかし、それも当時の東独の世情なんだろうし、あれで収監ならゲオルグも立つ瀬無いですから許す。しかし、一番分からないのが、「善き人のためのソナタ」っていう邦題。ゲオルグの、あのアパートでは騒音と言っていいくらいの演奏に感情を揺さぶられるヒト、いないんじゃないでしょうか? なぜ、あの曲名がタイトルに? 【なたね】さん [CS・衛星(字幕)] 3点(2010-11-21 00:59:56) |
85.《ネタバレ》 どうも80年代の東ヨーロッパの現状を舞台にした映画って、ピンとこないんですよ。 くるわけないですよ。あまりに遠くの世界だし、行ったことないんだから。 盗聴していた男の心境が一番のポイントだと思うのですが、観賞中、集中力がなかったせいか、何故自分を犠牲にしてまで……全くわかりませんでした。 ベルリン崩壊の後のシーンは無駄ではないと思うけどダラダラしすぎ。 サスペンスっぽいものを期待すると後悔します。 【クロエ】さん [CS・衛星(字幕)] 5点(2010-11-15 03:32:00) (良:1票) |
84.《ネタバレ》 監視者とその対象の物語が基本であり、監視する者が対象に憧憬を抱き始め感化されるのですが、ここで不満が残るのは対象のドライマンたちの生活が大して魅力的に見えないところです。機械的な人物である監視者が(コートまでロボットっぽい!)我が身の危険を顧みないまでの行動に出るのであれば、守るものがそれだけの価値を有していなければならないはずですが、例えば契機の一つとして使われる音楽の〝善き人のためのソナタ〟にしても聞かせるようなシーンにはなっておらず(曲の良さが問題ではない)、作り手側もそれを重々承知しているようで、わざわざドライマンが台詞でいかに良い曲かを説明してしまうという始末です(仮に〝のぞき〟による憧れだとすれば、監視者と対象の位置関係をもっと明確に見せなければならないと思う)。 また、尋問シーンにしても、ヴィースラーの顔がクリスタにバレないかというサスペンスとしてのクライマックスであり、同時に恋人を裏切ってしまう要の場面なのですから、もっと力入れて見せてほしいところです。 【ミスター・グレイ】さん [DVD(字幕)] 6点(2010-11-12 18:30:15) (良:2票) |
83.ドイツ人のみならず人類が大切にしていきたい映画のひとつ。実話ではないにせよ、東ドイツの抑圧された社会や東西ドイツ統一が人々にどのような影響をもたらしたかを改めて振り返る機会となった。全体としては当然悲しい物語だが、最後に素晴らしい場面が待っていました、この感動の余韻はもうちょい続きそうです。 【リーム555】さん [CS・衛星(字幕)] 9点(2010-11-04 21:33:06) |