19.《ネタバレ》 アミール(A)は、自分出生後の母の死への負い目もあり、屈折している少年だ。ハッサン(H)とは親友だが、H父子はAの父の使用人で、被差別民という微妙な関係にある。HはAにひた向きに尽くすが、Aは年長者から被差別民と友達なのをなじられたことから、Hを疎むようになり、遂には、彼に時計泥棒の濡れ衣を着せて家から追い出す。卑劣な少年だ。ソ連がアフガンに侵攻すると、A父子は米国に亡命する。ここから物語は糸の切れた凧のように、アミールの恋愛や作家になる話や父の死など、緩慢な展開に移行し、21年が経過する。ソ連侵攻下のアフガンの様子など一切出ない。ある日、恩師を見舞う為パキスタンを訪れ、Hがタリバンに殺されたこと、実はHはAの父の隠し子で、AとHは母違いの兄弟ということを知る。Aは衝撃を受け、罪の意識に苛まれながら、Hの息子ソーラブ(S)の救出に、危険なカブールへ向う。ここからが臆病で卑怯者だったAが生まれ変わる転換場面で、最大の山場となる。廃墟と化した故郷、タリバン圧政下で苦しむ民衆、生命を賭けた救出劇、相応に見応えがあるが、不満も残る。Sを「稚児」に男が、かつてHに性的凌辱を加えた男と同一である偶然。SにHと同様、パチンコを持たせる作為。車で逃走するAらをタリバンが追走しない上、検問所に連絡もしないというお粗末さ。一本道なので容易に補足可能。救出劇が困難であればある程、AのHに対する贖罪の意味が増し、観客の溜飲も下がるのを理解していないようだ。AはSを米国に連れ帰り、養子にするが、幸福な家庭ではない。凧揚げで、はしゃいでいるのはAだけ。Sは「自分は汚れて」いると感じているし、Aの妻は別の男との同棲の経験があるし、舅は固陋で気難しいし、隠し子発覚でAの父の高潔さは失墜した。Aは今後も慙愧の念に堪えないだろう。凧合戦は平和の象徴だ。しかし、凧揚げは広場でするものだ。電信柱の林立する町中では上手く揚がらないだろう。道路には車の往来があるし、柵の無い屋上は危険だ。Hがどうして凧の落ちる場所を知悉している「Kite Runner」なのかは不明のままだ。Hが父親から、風向きを読む術を習うような場面がほしい。アフガンで「七人の侍」が人気があったのは驚きだ。60年代のアフガンを再現して見せたくれたのは嬉しい。鑑賞後感はすっきりしないが、それがアフガンの現状なのだろう。 【よしのぶ】さん [DVD(字幕)] 7点(2014-09-15 13:32:06) |
18.《ネタバレ》 男の子に対する性暴力のシーンがあります。ハッキリとは描かれないので「ベルトで叩かれたの?」と言う我が子に「多分そうだろうね」とごまかしましたが、後半「自分は汚れている」とセリフを言う少年が出ます。「なんで?」と聞かれたらどうしようかと思いました。兵士が人妻を欲しがるシーンもあります。子供と見る場合はご注意を。のどかで緑もあったアフガニスタンが荒れ果てた姿に変わるのは印象的。凧のシーンはとてもいい感じに出来ていて、これが最も印象的です。原作者の短い映画紹介から見始めたので、てっきり実話なのかと思っちゃいました。作り話のようですが、いろいろ伝えたい真実もあるようで、映画化されて良かったなと思います。 【だみお】さん [DVD(吹替)] 7点(2013-06-24 19:03:45) |
17.《ネタバレ》 この映画はすきな映画。でもハッサンが悲しすぎる。8点つけられなかったのは、その点で主人公に対する嫌悪感が原因。主人公の家を出て行く時のハッサンの父親、カッコ良かった。兵士に対する主人公の父親もすごい。邦題は悲しすぎ。 【竜ヶ沢中段】さん [DVD(字幕)] 7点(2013-06-15 11:27:28) |
16.《ネタバレ》 第一部 アミール・ハッサン幼少編 第二部 アミール青年編 第三部 アミール・帰郷編 と見るか、 第一部 アフガニスタン平和な時代編 第二部 アメリカ編 第三部 アフガニスタン・タリバン時代編 と見るかで、 映画に対するイメージが大分変わります。 僕もはじめは、アミール・ハッサンの関係が微笑ましくて、二人の友情を中心に見ていました。ただハッサン親子が出て行き、ソ連が侵攻してからは、戦争・歴史のイメージが強くなります。 衝撃的だったのは、やはりカブールに侵入して、街の様子や家の様子が大きく様変わりしてしまっていたこと。後半は特に、反戦のメッセージを強く受けてしまいました。 かなり重い内容をふまえている割には、見やすい映画だと思います。 【たきたて】さん [DVD(吹替)] 6点(2011-10-15 05:46:33) |
15.《ネタバレ》 人の心のなんと根深く分からないものだろう。描かれるのは子供の心に潜む残酷さ、国全体が貧しくてもさらに弱いものを見つけて差別する心の暗さ。アミールの行いの酷さにはちょっと目を覆いたくなるほどだった。高潔だと思っていた父親ですら、兄弟同然に育ったアリに対して使用人扱いをすることに疑問にも思わない。無意識の差別、一番手に負えないケース。あげく後半明かされる真実には人格者の片鱗も感じられない。アミールは二人分の贖罪を抱えるわけだけど、この暗いお話が青空を舞う凧ののびやかで美しい映像のおかげで気がふさぐばかりにならずに済んでいる。タリバン以前のアフガニスタンの空が色とりどりの凧で彩られていたとは知らなかった。鮮烈でした。 【tottoko】さん [DVD(字幕)] 7点(2011-09-19 23:44:09) |
★14.《ネタバレ》 うーーん なかなか重い 我々アジアの国からは遠い中東の情勢 ソ連の侵攻 タリバン むこうにもああいう凧をあげる風習があるんですね 近年の日本では見なくなった光景で 昔はよく遊んだけどなぁ 複雑でつらい内容な部分もありますが 真っ青な青い空の中 力強く飛ぶ凧に 希望の光を感じる そんな印象でゴザイマス 【Kaname】さん [CS・衛星(字幕)] 6点(2011-08-03 12:11:20) |
13.アミールはハッサンと父からたくさん学びましたね。人が人を作っていくというような見方ができますね。 しかし、ここでのハッサンはとてもいい役なんだが悲しくなるね。。。 【MS】さん [DVD(字幕)] 7点(2011-03-28 23:28:31) |
12.《ネタバレ》 丁寧に描かれた少年時代、凧揚げ大会まではとても良かった。が、どんどん主人公を嫌いになり、後半は少し罪滅ぼししたってだけで、良い話だなあとはならないので残念。バランスをとるためには足一本失うぐらいの演出があってもよかったんではないでしょうか。 |
11.夕飯食った後に観たのですが、この2時間で一気に人間的に成長して、時間がかなり経ったような気になり、家族の者に「夕飯まだだっけ?」と聞いてしまいました。時間を気にせず観られました。良い映画だと思います。ニュースでよく聞く、アフガニスタン。前に「カンダハール」という映画でちらっとこの国の状況を知りましたが、今回のこっちの映画の方がもっとアフガニスタンのことが分かった気がします。山ばっかりというわけでもないんだね、ちゃんと「文化」的な生活もあるんだねと思いました。でもアメリカ映画ですから、多少ドライブはかかっているのかな、と。治安の良い日本に住んでると、あの孤児院の先生が一番「そうだろうなぁ」と合点が行くのですが、この国に深く関係している人の話を聞くと、「金はなくても生きていける」国らしく、本当はもっとのんびりしているのかもしれません。戦争ばっかりの国なのですが、日本の忘れたものをもっているのかもしれません。でも、そんな事は知らなくても、これはこれで、感動しました。因みに先ほどの話は、その後に「雪がなくては生きていけない」と続きます。水がないと、衛生的にも致命的だそうです。 【トント】さん [DVD(字幕)] 7点(2010-12-28 21:31:22) |
|
10.いい映画だけど製作がアメリカなので、なんかチクッと棘が刺さった感じ。 【mimi】さん [映画館(字幕)] 7点(2009-03-12 00:28:42) |
9.失われたかにみえた友情が復活する瞬間は、鳥肌ものでした。 【Yoshi】さん [DVD(字幕)] 6点(2009-02-26 21:21:40) |
8.なんだかんだいって最近では一番感動したかも知れないです。特に前半の子役二人は何とも言えない空気感の演技が素晴らしいと思いました。 【色鉛筆】さん [DVD(字幕)] 6点(2009-02-23 21:03:17) |
7.ゲーラカイトが蒼い空を悠々と飛翔する風景っていうのは、平穏無事な社会と友情や未来への希望の象徴でしょうね。東京に限って言えば、お正月に凧が空を舞っているっていう情景は、少なくとも私の家の近所ではもう全く見掛けません。田舎だとそういう風景がまだ見られるのかな?最早平和ボケ日本も、国内外平穏無事な状況でもないですからね。ちなみに私の郷里では毎年ゴールデンウイークに、この映画でも描かれていた大凧の糸切り合戦が町別対抗で行われています。国連主導で政治の全く関係しない場所で、国別対抗子供凧合戦って一度くらい開催してみてもいいのに・・・、な~んてこの映画を観ながらふと考えてしまいました。子役二人がホント良いですね。後半意外にもあっさりカブールから脱出出来てしまったのは拍子抜けでしたが。原題「カイトランナー」も内容をちゃんと現してはいるけれど日本語タイトルも最近では出色。「君のためなら千回でも!!」重要なシーンで二回繰り返されるこの台詞、僕もいつかプライベートで何らかの形で使ってみたいって思った(笑)これまでは良い素材を扱っているのに、ただ無難に映像化しましたって作品が多かったマーク・フォースター監督、これは初めて本領を発揮した作品じゃないですか?アミール役の子って誰かに似てるってずっと思ってたら、「羞恥心」野久保君でした。似てないか?成人してからはともかく。僕も六本木ソルジャーさんの深い洞察力に感服しました。 【放浪紳士チャーリー】さん [DVD(字幕)] 7点(2008-12-21 10:17:06) |
6.《ネタバレ》 現在、アフガン関連のニュースは新聞やテレビで日常的に流れていて何となく知ったような気になっていましたが、実はアフガニスタンという国やそこに住む人々について殆ど何もしらない事に気付かされましたね・・・・・。 この映画ではソビエトによる侵攻前後~タリバン支配下のアフガンの様子や民族問題、アメリカのアフガン社会等々描かれており非常に興味深い作品でした。まあ、映画的にはかなりアメリカナイズ(まあアメリカ映画なんで当たり前なんですが)されていてわかりやすいのは良いのですが、ちょっと物足りなさも感じてしまいましたね。 【TM】さん [DVD(吹替)] 7点(2008-10-18 20:00:25) |
5.《ネタバレ》 ハンガリー出身でハリウッドで活躍した人たちが本気で作った「君の涙 ドナウ~」とは正反対にほぼ英語圏出身の製作陣で作られたアフガニスタン映画で。ハッサンの子供には見えない老けっぷりな顔には心の中で爆笑しましたが二人の関係と家族関係が非常にうまく描かれてました。ですがアメリカに行ったころから急に話が盛り上がらなくなり何の病気で死んだかわからない父親や将軍の娘に出会って即(かな?)結婚したり行方不明の甥がアッサリ見つかったりしてなんだなぁ・・な感じでした。見ていて何回か次に出てくるシーンが読めたのも個人的につらかったです。せっかく前半がよかったのに後半の折り合わせが・・ちょっと気に食いませんでした。 |
4.幼い2人に事件が起きるまでは退屈でしたが、その後は引き込まれてしまいました。ラストシーンのあの台詞は、反則技に近い、絶妙な演出です。 【shoukan】さん [映画館(字幕)] 7点(2008-02-29 21:48:59) |
3.《ネタバレ》 六本木ソルジャーさんの映画評にいたく感銘を受けました。人間の強さとは、弱さとは。残念ながらまだまだ若輩者の私には、一回見ただけでは咀嚼しきれませんでした。もう一度見直したいと思える映画です。ただ、邦題が、ネタバレとまではいかないまでも欲しくない予備知識になってしまうというか、作中のこの台詞を若干あざとく感じさせる原因になってしまっているのが気になります。 原題のままで見るとラストシーンもまた違って見えるのではないか、と思うと残念。 |
2.《ネタバレ》 アミールの少年時代の話、父親とのアメリカでの生活の話、アミールが祖国に戻る話と物語はおおまかに分かれている。どの話も丁寧に描けており、人間の弱さやそれを克服する強さ、勇気というメッセージを受け取ることができた。何年と歳がすぎてもアミールに変わらぬ信頼と友情を示したハッサン。その息子と凧をしてアミールが彼らの絆の象徴でもある言葉を投げかけるラストは美しい。 【サムサッカー・サム】さん [映画館(字幕)] 7点(2008-02-25 17:34:50) |
1.《ネタバレ》 子どもというのは、弱くて、勇気がなくて、ずる賢くて、残酷なものだ。アミールの姿をみて、自分の昔の姿を思い出した。トラブルからは逃げ出し、嫌なことは見ないフリをして、自己の責任を何かのせいにして回避するような子どもだった気がする。 アミール同様に、自分も普通のつまらない大人になってしまった。今でも自分には何か大切なものが欠けていると感じるときはある。本作を見ることで何か少しは変われるような気になれる。 どんなに遅いと感じても、確かに「やり直せる道はある」のかもしれない。 「友情の大切さ」「勇気を持つことの素晴らしさ」「自己に誇りを持つこと」「恥を知ること」という大切なことを考えるきっかけになるのではないか。 映画を見たくらいで、簡単に影響を受けるほど自分は単純ではないが、そんな自分でも何かを感じさせる「じんわりとした暖かさ」を持った映画だ。 また、人間としての“弱さ”は、逆に言えば“強く”なれる可能性があるとも感じられた。アミールもアミールの父も自分の“弱さ”を認めることができたから、あれほど強くなれたのではないか。親友の妻を寝取ったアミールの父親もアミール同様に“弱い”人間であるのは間違いない。パキスタンに向かうバスの中で彼があれほど強くなれたのは、自分の過ちを知って、自分の恥や弱さを痛感しているからなのではないか。 後編のカブール侵入は大変な決意や苦悩が必要だと思うので、もう少し葛藤を描きこめたらよかった。 人間は強くなれる生き物かもしれないが、それほど“強い”生き物ではない。死ぬ危険性を冒すのだから、彼の“弱さ”を今一度感じさせてもよかった。“弱さ”を描くことによって、彼の“強さ”がさらに際立つはずだ。 残酷なシーンは少々あるが(リアルさがないように配慮していると思う)、子どもにも見てもらえるように非常に分かりやすい映画になっているのが好感触だ。 時代背景やタリバン、アフガニスタンの知識を問われるようにはなっていない。 もちろん子どもだけではなく、大人にも見てもらいたい良作だ。 「友情」の象徴でもある凧揚げが見事に印象深く描かれている美しい映画である。 【六本木ソルジャー】さん [映画館(字幕)] 8点(2008-02-24 02:56:47) (良:4票) |