14.《ネタバレ》 秘密云々も淡い思い出。あれほど愛した人々や赤い屋根の家を戦争でズタズタにされ、なお長い時を経てひとり平成の時代を生きることをタキおばあちゃんは泣いたのだ。平井のご主人が乾いた口調で「つまらないことをするね。」と言っていたのがしみじみ思いだされる。全体的に丁寧に作られた作品で、働き者のタキちゃんが口数少なに家事をする姿一つ一つが愛らしかった。けれど、回想である昭和10年代のシーンのお芝居がみんな昭和初期の名画みたいな台詞回しと身のこなしなのが受け入れ難く、もっと普通の演出でいいんじゃないか?と途中苛立った。まあ思い出だから仕方ないのだろうか。お雑煮食べたい、とんかつじゃなくて。 【のはら】さん [DVD(字幕)] 8点(2014-09-13 23:06:33) |
13.《ネタバレ》 丘の上に建つ赤い屋根の小さいおうち。 戦前の雰囲気をとても良く醸し出していた松たか子と黒木華。 やはりこの映画はこの二人!ですよね。 期待以上の静かな感動を残してくれました。 ただ・・板倉さんにあまり魅力を感じなかったことと、 封印してきた罪?にタキさんがどうしてあそこまで苦しみを持ち続けて来たのか・・ イマイチ分からなかった私は・・?感性がすり減ったのか、なんて思ったのでした。 【AKO】さん [映画館(邦画)] 7点(2014-07-05 14:48:34) |
12.前作の「東京家族」も、この作品もよくできていると思います。 山田映画としては、異色作ですね。謎解きみたいな部分もあるし またとても色っぽい映画だとも思いました。妻夫木扮する若者が 当時の日本を自虐的な発想で揶揄するところは賛成できないけど 全体としては、とてもよくできたウェルメイドな秀作だと思います 【ひろみつ】さん [映画館(邦画)] 8点(2014-05-14 17:30:42) |
★11.《ネタバレ》 原作未読。板倉さん登場でドロドロの三角関係~?と思い込んで見てしまったので、後半のドライな流れについて行けませんでした。…妻夫木君的発想で終わってはいけない!と2回目鑑賞。今度は平常心でじっくり見ました。(大東亜)戦前~戦中の話なんですが、妻夫木君や現代のタキの語りが入ることによって古くささを感じませんし、テンポも良いです。山場の、タキが時子さんの外出を止めたのが、世間体に止まるのかタキの板倉さんへの感情があったのかは、(映画では)タキの心の中だけに止まりましたね。時に人は取り返しのつかないことをしてしまい、なかなか時効になることはないんだなと思いました。黒木華の抑えた演技に+1点。~追記~その後原作を読みましたが、手紙を出さなかった理由により多くの推測が入っていましたし、小説ではフェイクが入っているので、できれば原作を先に読んだ方が良いですね。 【Banjojo】さん [映画館(邦画)] 8点(2014-03-11 01:22:51) |
10.《ネタバレ》 直木賞作家・中島京子原作。山田洋次監督が語る戦時中の家族ドラマに秘められた謎。前半の冗長な不倫ドラマから一転、後半は戦争が引き裂く不倫関係に引き込まれました。機転を利かせた女中の犯した小さな罪が悲劇の結末を生み、大きな感動を呼び込みました。黒木華が銀熊に。早くも今年トップクラスの傑作。 【獅子-平常心】さん [映画館(邦画)] 8点(2014-03-02 00:35:15) |
9.《ネタバレ》 松たか子がいい!ところで、人物たちを泣かせるのが多いのだが泣くのをこらえさせる演出をしたほうがたぶん効果があると思う。泣くのは、観客の仕事なのだ、笑いと同様に。 山田監督作品は「寅さん」シリーズと『たそがれ清兵衛』だけが良い例外。 【ひと3】さん [映画館(邦画)] 6点(2014-03-01 22:20:36) |
8.《ネタバレ》 基本的なミステリーが上手く機能していて、タキが晩年まで何故あれだけ苦しみ続けたかが氷解する手紙のエピソードは良かったです。その胸中を想像すると「私は長く生き過ぎた……」の言葉がとても重い台詞に思えます。一種の愛憎劇はとても良く出来ていたかと。 でも其処此処に山田洋次独特の演出に驚いてしまった部分もあります。特に驚きすぎてちょっと笑っちゃった場面は、雨の日に時子が板倉にキスをした時に雷が「ピシャーン!!」と轟いた所です。その演出はギャグだろう。 それから終盤の妻夫木演じる若者のエピソードは蛇足と思えました。タキの遺品から細長い手紙が出てきた時点で、観客はタキが時子の手紙を渡さなかったことは明確な筈ですが、その後に妻夫木君に「おばあちゃんは手紙を渡さなかったんだよ!」と驚かせる。多分大多数の人は「もう判っとるわ(笑)」となったんじゃないかなぁ。手紙をチラと見せてエピローグでも十分だったと思います。 【民朗】さん [映画館(邦画)] 6点(2014-02-20 23:11:31) (良:2票) |
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7.《ネタバレ》 全く予備知識なしで見たので、まさしく「2」の方が予想したような感想を持ってしまったわけで、映画を見てる最中、何にも落ち度がないのに妻と部下に裏切られる旦那が気の毒で号泣してました(笑) いわゆる戦前真っ黒史観は犯罪者として追い掛け回された左翼系の学者たちと、実は幼すぎて戦争の本当の苦しい時期しか記憶に残っていず、かれらが記憶として持ってるものは、実は戦後の教育によって作り上げられたのものにすぎない、「戦前派」によって作り上げたものにすぎないので、戦前が真っ黒な時代ではなく、少数派とは言え、中流階級の幸せな生活があったことを、細部にこだわって描く姿勢には好感が持てたんでが…… 戦争と不倫は関係ないっしょ? 戦争によって運命を変えられた人々の姿を描く物語の横線に不倫を持ってくるのはどうでしょう。 (全然、見る気無かったんですが、ポテチで木村文乃さんの印象がすごく良かった直後に配役を見て、急に観に行く気になりました。大失敗w まあ、連れてった親がすごく喜んでくれたからよしとするか) 【rhforever】さん [映画館(字幕)] 6点(2014-02-17 15:32:45) |
6.《ネタバレ》 序盤から展開される、丘の上に建つ赤い屋根が印象的な“小さなおうち”の小さな幸せの時。そんな空気が家の主人の会社の部下である吉岡が演じる板倉の登場から少しずつ変化が生じていきます。 2人の主役である松たか子と黒木華。貫録すら感じさせる松たか子。彼女が様々なシーンで醸し出す色気。黒木華が醸し出す透明感。2人とも見事にそれぞれの昭和初期の女性を演じています。 板倉への想いを抑えきれない時子。その一方で、出征を控えた板倉のもとへ時子を行かせず、時子から託された板倉への手紙を渡さなかったタキの想いは果たしてどうだったのでしょうか。その手紙を捨てることが出来ず、後悔の念を抱え戦後ずっと独身を通してきた、倍賞さんが演じる平成の今を生きるタキが泣き崩れるシーンが印象的です。 暮らす人々の様々な思いが詰まった家も、そこで暮らす人の命も一瞬で奪っていく戦争。声高に反戦を前面に出さないものの、山田監督の思いはここにあったのではないでしょうか。それはラストのある老人の、戦時下を生きた人々の思いを代弁するかのような台詞からも感じられました。 【とらや】さん [映画館(邦画)] 8点(2014-02-14 17:43:23) |
5.《ネタバレ》 この「小さいおうち」に戦前戦中の日本の空気(当然私は知らないですけども)がギューと詰まってるような話ですね。日本自体が「小さいおうち」だったのかな。「女中を奴隷みたいに見られちゃかなわない」「戦前は今の人が思うような暗い時代じゃなかった」というような話は、戦後生まれの若い監督があまり描かなそうな話で新鮮でした。最後に家が破壊されるシーンを直接的に見せてるのも(ちょっとチープだったけど)「オワッ」となりました。とはいえ、妻夫木演じる健史がヒドい。監督にとって都合がいいだけの人物。歴史にある程度詳しかったり、「誤字なおしてあげるよ」なんて言うもんだから、てっきり出版関係の仕事をしてると思い込んでました。全然違うでやんの。恋人も現代とは思えない人物。チャチャラした奴らじゃこの映画には合わないかもしれないけど、まるで時空の歪みを見てるようでした。 【ゆうろう】さん [映画館(邦画)] 6点(2014-02-05 10:11:36) |
4.板倉に時子がひかれる程の魅力を感じなかった。エピソード的には十分ひかれる要素はあったので、キャスティングミスのせいもあると思う。前作・東京家族のキャストと同じ人を使っているのもマイナス。特に妻夫木さんは前作とキャラがかぶっていて見ていて飽きる。タキさん役はよかった。この作品唯一の収穫。 【Yoshi】さん [映画館(邦画)] 4点(2014-02-04 03:51:42) |
3.山田洋次監督が時代劇に挑戦したときも驚いたけど、秘められた恋愛もの映画というのもそれ以上の驚き。しかしそういった内容や戦争という状況下にあってもやはり山田監督らしい心遣いが随所に見られる。久石譲のノスタルジックな風情を醸し出す音楽もまた良い。倍賞さんも婆ちゃん役を演じるようになったとは感慨深い。 【ESPERANZA】さん [映画館(邦画)] 8点(2014-01-28 14:35:47) |
2.《ネタバレ》 中島京子さんは、書店の棚にささってた「イトウの恋」に呼びとめられて以来ずっとファンで、本作も出版直後=受賞ずっと前に読んでて映画化が決まったときから期待してました。で、正直なところ、再婚で恭一ぼっちゃまが連れ子であること、そして旦那様の性癖の件が設定から外されてしまい、単に時子奥さまの「姦通」話になってしまったことがとても残念です。昨今のようにギスギスした物言いがネット等で横行する世の中になりますと、これらの緩衝がなくなってしまえば、感情移入できない人たちがかなり発生してしまいますから。ここが減点理由。物語のなか、言葉遣いは完璧だったと思います。たとえば黒柳徹子さん、向田邦子さん、野際洋子さん、下重暁子さん、そして小野洋子さんなんてかたたちが過ごした戦前の東京の「山の手」と「郊外」が見事に再現されてましたね。それから、タキを演じた黒木華って見事なくらい昔の顔。さて、ラスト近くの絵本「小さいおうち」のシチュエーションで、さりげなく左に見切れてディスプレイされてた「風が吹くとき」に、山田監督の強いメッセージが込められていると思います。台詞にも、昨今の情勢に対するメッセージが散見する箇所がありますしね。そうそう、満男とさくら、純と蛍が同一画面に出ないようにしたのは正解。今回は違うとわかってても一緒に出てくると前のイメージに引っぱられちゃうからね。 【shintax】さん [映画館(邦画)] 8点(2014-01-27 21:17:44) (良:1票) |
1.《ネタバレ》 まず、昭和初期という時代設定から、大正時代はもとより明治時代のハイカラな雰囲気を残す街並みや風景に心躍りました。赤や朱色といった艶やかな色合いを基調とした家や着物もキレイでしたし、観る者を (視覚的に) 飽きさせない映画であったと思えます。 タキが残した自叙伝が時代を越えて心をつなぐ、、とはどこかで観たようなストーリーでしたが、その一筆はその心とともに「戦争」という激動の時代を乗り越えた分、そこは単なる年数にとどまらないような、果てしない時間の経過とか、一際の感慨深さを感じた次第です。 また山田洋次監督らしい笑いの中にも、タキがこの若さにして花輪のような老人に嫁がされそうになったり、当時の女性の身分とか生き苦しさを感じさせる描写が多く散見されました。監督の作品群の系譜から見ても本作は異色作であり、同時にまだまだ創作意欲の尽きない意欲作、と言えそうです。 →2021/9/29追記。 キムリンさまの意見にとても感銘を受けました。 なるほど、確かにそう言われるとそう見えてきます。タキがその想いを心の中に封印したのは、彼女の慎み深さなのか、あるいは「時代」がそうさせたのか、、改めて色々と考えさせられます。 【タケノコ】さん [映画館(邦画)] 7点(2014-01-27 19:00:54) |