86.《ネタバレ》 決して完成度の高い映画ではないんだけど、不思議な魅力がある。
ただそれは、この時代、この映画に少しでも触れた人でないと、魅力的に感じないものかもしれない。
薬師丸ひろ子。映画界から生まれたトップアイドル。何でか知らないがブリッジで登場する。
…当時はトップアイドルでも、今の容姿端麗なアイドルたちを見ると、なんかこう、子供っぽいと言うか、やっぱり時代を感じてしまう。
効果的だったり無駄だと思えたりするワンカットカメラ。暴走族のバイクを借りて走り出す流れとか、最後の方の屋上で豆粒みたいな二人が塔婆なんかを焼くシーンは印象的だった。
原作未読だが、映画を見る限りマユミの存在が後半、投げやりというか、適当になった感がある。
泉の父とマユミの愛人関係。佐久間とマユミ。太っちょとマユミの親子の関係。こんなに多くの絡みがあるが、効果があったようにも思えず…
ただ、親子のネタバラシが出た頃には、映画自体の方向性がおかしくなっていたので、仕方ないのかもしれないけど。
あの宗教団体とか秘密基地とか、変な拷問とか、着替えてリゾートブランチとか、実は歩けましたとか、太っちょのくだりが色々ブチ壊している。
良く言えばこの映画の不思議な魅力かもしれないが、必要性はあったのかなぁ?あの辺、丸々バッサリ…
浜口物産で、超有名な『カ・イ・カ・ン』からは、高品質なバイオレンス映画として見応えがある。
というか太っちょの秘密基地を考えると、奇跡的とも言える出来栄え。
『カ・イ・カ・ン』のとき、破片が頬に当たって実際に出血したのは有名だと思うけど、そこから政が撃たれてからの展開。
頭を撃ち抜かれる萩原の生々しさ。アイドル映画なのに。
政を抱く佐久間と泉。威嚇射撃をする泉。この時の2丁拳銃の構え方、威嚇の仕方がリアルで格好いい。
素人らしくピョコピョコしながらも、腰が引けつつも後方に視線と銃口を向ける。アイドルとは思えないほどの名演技。
エンディング。時代を感じるナレーションと、意味不明な路上ゲリラ撮影。変な画だけど、テーマソングの癒し効果が相殺してくれる。