13.《ネタバレ》 まったく知りませんでしたが、これは傑作。古~い映画ながら、古さを感じません。組織のリーダーと部下はどうあるべきかという、普遍的な問題を真正面から描いているからでしょう。ダンディーさのカケラもないハンフリー・ボガートが見もの。 最初は「田沼恋しき」みたいな話かと思っていたら、それどころかリーダーの精神状態が怪しいとのこと。部下としてはたまったものではありません。まして軍隊のように上意下達が大原則で、文字どおり命がけの仕事の場合、判断の誤りは生死に直結します。さあどうするか、そのあたりのエピソードの積み上げ方、緊張感の煽り方が見事でした。軍隊ほどではないにせよ、他人事とは思えずに見入ってしまった人も多いのではないでしょうか。 終盤の軍法会議では、保身から淡々と裏切る仲間なども出てきて実にリアル。こういうヤツいるよなと、何人かの顔が即座に思い浮かぶ人もいたはず。 で最終的に一件落着かと思いきや、最後の弁護士によるちゃぶ台返しのような説教でハッとさせられます。我々が享受している平和だの安全保障だのというのは、精神を病んでしまうほど厳しい場面をいくつもくぐり抜けてきた軍人の献身や犠牲の上に成り立っているのではないかと。それを揶揄したり断罪したりするとは何事かと。この作品の結論は海軍礼賛にあるようですが、まんまとそれに乗りまして、一貫してとんでもない上司にしか見えなかったハンフリー・ボガートに、最後は両手を合わせたくなりました。 【眉山】さん [CS・衛星(字幕)] 9点(2024-05-10 01:13:51) |
12.《ネタバレ》 なかなか面白かったがつい最近観た「ア・フュー・グッドメン」に ・軍時裁判がハイライト ・被告が絶対的権限をもつ上官 ・裁判は被告有利に進むが被告の激高する性質がアダとなり逆転勝訴する というストーリー展開が似ている。 ※同作では被告;原告の立場は逆だが。 それから終盤のヒーロー「ホセ・フェロー」は「刑事コロンボ(愛情の計算)」で犯人役だったが 失礼だが悪人顔だと思う。 【yoroshiku】さん [CS・衛星(字幕)] 7点(2024-04-29 17:12:48) |
11.《ネタバレ》 H・ボガートが、ハードボイルドとは真逆の小心な役柄をそれはそれはハマッてるほどに好演していることに驚き。彼の演技と、終盤の法廷劇が見所です。もろにネタばれですが、裁かれたのは小心者ではなく、卑怯者だったのでした。さらにもう一幕、無能を哂っていた観客も一喝されることになるとは。後半、畳み掛けるようにピースが裏返ってゆく脚本は見ごたえありました。 【tottoko】さん [CS・衛星(字幕)] 7点(2014-08-11 00:46:50) |
★10.《ネタバレ》 海軍での問題艦長というと、ホーンブロワー・シリーズを思い出します。本作はかなりいいできだと思いますが、最後に結局「部下に問題があった」とするのは、どうなんでしょう。どうせなら、クイーグが精神を病むに至った「海軍艦長」という職責そのもの、つまり軍の体質そのものを問題に挙げてほしかったところです。とはいえ、問題のある上司というのは現代の社会でも通用する話なので、そういう点では示唆に富んでいると思います。キースの恋愛がいかにもおまけという扱いだったのも残念でした。 【アングロファイル】さん [CS・衛星(字幕)] 6点(2014-07-17 19:21:18) |
9.《ネタバレ》 もしこれが現在の作品だったら、いきなり艦上に乗り込んでいくところから始まるんだろうな(あるいは、それこそ裁判の場面から始まって、艦上のシーンはすべて回想で展開されるとか)。とにかく、導入部分がやたら時間を遣ってのんびりしていて、せっかくのサスペンスの威力を大きく削いでしまっている。 【Olias】さん [CS・衛星(字幕)] 5点(2014-06-30 00:56:54) |
8.《ネタバレ》 H・ボガートは、ヒーローよりもクイーグ艦長の様な器が小さい小心者の悪党を演らせた方がはるかに存在感あります。不安感が強くなると眼が泳いできて、無意識に手の中ででかいパチンコ玉みたいな金属球をカチカチこすり合わせる演技、実に上手いですよね。あの音が彼の精神状態を象徴する演出でもあります。 映画化に際して原作をどこまで改変したかは判りませんが、海軍が協力してくれたってことは結末あたりをかなりいじったんじゃないでしょうか。でもF・マクマレイやH・ファーラーは彼らの個性にあった巧みな使い方だと思います。ラスト、H・ファーラーがおいしいところをみんな持って行ったと思ったら、実は意外な人が登場して締めてくれるところなんか一種のどんでん返しでした。 けっこう有名な映画の割には地味な印象でしたが、観てみるとなかなか楽しめる良作でした。 【S&S】さん [DVD(字幕)] 7点(2013-08-13 23:00:53) |
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7.《ネタバレ》 キースの恋話が全く余計である。メインのストーリーやメッセージとは殆ど関係ない。その分の尺を切るか、部下たちの心理描写や裁判シーンに割いてほしかった。見るものの情に訴えるために甘っちょろいシーンを入れたのかな。上官の命令は絶対の軍隊であの状況でも無罪を勝ち取る事はほぼ不可能、最後は副官を有罪にして軍の規律とはそういう不条理なものだ、というシナリオのほうが、ずっと説得力があっただろうに。 深みやメッセージ性では疑問は残るが、娯楽映画と割りきって見る分には、ダレることなくそこそこ見れた。 【nobo7】さん [CS・衛星(字幕)] 6点(2012-08-20 18:14:20) |
6.《ネタバレ》 ハンフリー・ボガード出演の映画はたくさん見たが、どれもが格好いい役ばかりだった気がする。ところがこの映画の艦長役は格好悪いばかりでなく、部下から信頼されず、嵐の場面では精神錯乱になって艦長を解任されるというとんでもない役である。 その一筋ではいかない艦長役を実に見事に演じていたと思う。 さて映画だが、上官に逆らえないはずの軍隊で、信頼される艦長となるのは大変なことである。威張り散らしたり、無理難題の命令ばかり出していてはもちろん部下はついてこないが、部下に媚びていては士気を高めることはできない。 また逆に艦長の言動がおかしいと思っても、部下が勝手な行動をとるわけにもいかない。 この映画は戦艦が寄港した後、裁判になるのだが、実にいろいろな要素があって考えさせられる。簡単にこうだと決めつけられないところに、考えさせられるものがあると思う。 【ESPERANZA】さん [DVD(字幕)] 6点(2011-03-04 21:12:24) |
5.《ネタバレ》 これはどういうオハナシかと言いますと、暢気な部長と暢気に楽しく仕事ができる職場でヨカッタな~、と思ってたら、突然部長が変わり、これがとんでもないクソオヤジで、ちっとも会社が楽しくなくなっちゃった。しかも、「今の会社があるのは、あの新しい部長が昔頑張ったお陰なんだぞ、わかっとるのか」とか説教されても、正直、カンベンして下さい(笑)。という作品でして、あくまで劇中の事として他人事として観るならば、いやーなかなか深い内容でありました(笑)。多彩な登場人物、艦上でのマスゲーム的な兵士の動き、嵐の描写など、様々な見せ場を交えつつ、スリリングな法廷劇へと進んでいく面白さ。そしてラストでは、映画を勧善懲悪的に楽しんでいた我々に冷水を浴びせかけるように、意外な方向に向けられる矛先。あえて憎まれ役にハンフリー・ボガートを起用したあたり、彼のちょっと不器用そうな「ただのオッチャン」的な感じが、ラストにおいて(つまり彼が姿を消してから)絶大な効果を上げているように思えます。 【鱗歌】さん [CS・衛星(字幕)] 8点(2011-01-18 23:16:28) |
4.ハンフリー・ボガートやヴァン・ジョンソンの熱演が目立っても最後にホセ・ファーラーがおいしい所を総取り。えええ・・・。最初は映画化に協力する気はほとんどなかったのに原作の大ヒットにしゃあなしに協力した海軍がバックにいるせいか、海軍に配慮しすぎなネタばらしのラストで海軍ありがとさんのエンドクレジット。いわゆるドンデン返し的なラストですがクレジットがなけりゃ個人的によかったんですがね。あれは、いらん。 |
3.期待はずれでした。何かどれもこれも中途半端だったようで・・・。 |
2.《ネタバレ》 当初は端正で規律正しいと見えていた艦長(ハンフリー・ボガード)の異常さは観客には判るけれど、それが軍法会議では危険はその場にいる経験者しか証明できないこと、そして戦闘状況での抗命や叛乱は最高で死刑ですから艦長の異常さを暴く以外に途はなかったのは仕方ないことでしょう。しかし、米軍も大戦下で経験と技能が要求される海軍・空軍の現場指揮官は絶対的に不足していたので燃え尽きるまで使われても本人から言い出せない事情があったのだと思います。プライドや待遇の問題だけで、安全で家族と暮らせる陸上勤務を避ける理由にはならないでしょう。(「頭上の敵機」とかもこの問題がテーマになっています)だから無罪になったのは喜ぶべきことだけれど、シェリーなど飲んでいられるかと立ち去る同僚は自分の未来を予感したのだと思います。日本軍でも同じような問題は起きていたのでしょうけれど、会社と同様に庇い合いと闇に葬る体質からこんな映画や小説にはならないみたいです。 【たいほう】さん 8点(2003-11-15 00:58:40) |
1.映画を観る側の素直な感想として、登場人物の「善悪」とまでは言わないまでも、彼らのとった行動の「正誤」くらいははっきりさせて欲しかった。最終的にボギー演ずる艦長の立場を尊重したのは、制作者がアメリカ海軍に遠慮した結果なのだろうが、何ともすっきりしない。トドメはエンディングに流れた「この映画をアメリカ海軍に捧ぐ」のテロップ。結局、本編の残した最大のメッセージは「軍隊では上官が白と言ったら何がなんでも白である」という“常識”に過ぎなかったような……。フレッド・マクマレイの役が中途半端だったり、リー・マービンにほとんど見せ場がないのも、個人的には大きな減点材料です。 |