23.《ネタバレ》 ザ・良い話。 王道のウェルメイドで、ベタ中のベタな展開。 意外性があったのはランチョーを訪ねたら別人だったところで、それ以外は先がある程度読めてしまう。 雑魚キャラのチャトゥルが交渉する予定だった発明家ワングルの正体もすぐに察しがつく。 「きっとうまくいく」ことが約束されているような雰囲気があるので、途中で親友が死にかけたり、緊急出産の赤ちゃんが息をしてなかったり、愛する人が別の男と結婚しそうな危機があっても、それほどハラハラはしない。 それでもいいキャラクターが揃ってるので楽しめる。 行き過ぎた競争社会での理不尽さに反旗を翻すランチョーは、人としてこうありたいと思わせる理想像。 そのランチョーと同タイプだった発明に情熱を注ぐ学生が、インド映画特有の集団での楽しい歌とダンスの後に、首を吊った姿で映し出された演出はインパクトがあった。 理不尽な権威の象徴である学長、下級生いじめをする先輩たち、教科書通りに丸暗記するだけの点取り優等生チャトゥル、金にしか価値基準のない値札人間スハース。 社会の歪みを代表する俗物が、みなランチョーにギャフンと言わされるのがカタルシスとなる。 ただし、ウェルメイド作品にありがちな都合がよすぎる部分はある。 ランチョーがピアを愛しているのに放置して行方をくらませたのは不可解。 ラストでの劇的な再会を演出したかったという都合だろうけど、不自然さが引っかかる。 笑いのセンスでは、強姦を連呼しているのが気になった。 そこはおもしろくも何ともなくただ下品に感じたが、一般インド市民の感性、倫理観が日本とはまた微妙に違うのかもしれない。 インドで多発するレイプ犯罪のニュースもあって、ふとそう思った。 【飛鳥】さん [DVD(字幕)] 6点(2014-09-28 16:33:34) (良:2票) |
22.インド映画らしい明るく楽しい映画でおもしろい。だけどうまくいきすぎるような気もして少々抵抗がある。出産シーンから学長と和解するシーンへと続くあたりは良かったけど・・・。 【ESPERANZA】さん [DVD(字幕)] 7点(2014-08-30 22:49:48) |
21.《ネタバレ》 質の高い笑って泣ける大衆向け娯楽作品でした。楽しませる演出のツボを抑えている感じで高評価に納得の一方、少し不思議に思う部分もあります。 高い能力を持つ人物達が精神的に成長し、社会的に成功し自己実現をするストーリーですがどれだけの人が素直に心に響いたのでしょうか。 日本では自分の能力に自信を持てない人の方が多いのでは?特別な才能が無いと思っている人の方が多く、あったとしてもそれに気付いていない人の方が多いのでは? そういう人達はこの映画をどのように受け止めたのでしょうか。 そういう人達はこういう映画を観ることを避けるのでしょうか。 多くの人達はこの映画を観て本当に前向きな気持ちになれたのでしょうか。雰囲気に飲まれただけな人も多いのではと思うのは歪んでますかね。やり直しが難しい年齢の人達は一体何を思うのか。 自己実現に向けて自分に正直に夢や希望を持ち行動することが大切であることはなんとなく分かります。 でも、特別ではない能力、特別ではない精神を持つ人にはそれを維持することが難しいんです。 【エウロパ】さん [DVD(字幕)] 7点(2014-08-20 00:09:27) |
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19.《ネタバレ》 いまさら言うことでもないだろうが、インドという国はまだまだ若い。1970年代の日本の高度経済成長期のように、誰もが前を向き、誰もがただ幸せになることを夢見て努力した結果、国全体がどんどんと豊かになろうとしている。ただ、努力すれば誰でもある程度の中産階級以上となることが出来たあのころの日本と違い、今のインドでは行き過ぎた競争社会の弊害により貧富の格差は拡がるばかり、プレッシャーに負けた若い学生の間には自殺が流行し、そして社会の不満が爆発するかのように多発する女性への暴行事件……。そんな負の側面を抱えながら、それでもまだまだ若い活力に満ちたインドの人々は豊かさを追い求めしっかりと明日を向き歩き続けている。今作の主人公であるランチョーたち3人もまた未来に目を向けている。だが、地方から出てきて全国でも有数の工科大学へと入学した彼らだったが、競争社会が生み出すさまざまな矛盾や悲劇へと直面してしまうことに。「こんな社会、少しでも変えたい!」――。シンプルにそう願う彼らと、競争主義の申し子のような学長との闘争をいかにもインドらしくエネルギッシュで猥雑にそして時にはきつい毒を滲ませたギャグの数々で描き、そんな社会的矛盾を軽快に笑い飛ばすこの映画は今のインドという国を象徴しているようだ。まさにこれぞ〝ボリウッド〟という過剰なまでの人生賛歌コメディなのに、最後まで全く押し付けがましくなく、ちゃんと社会の闇を直視しながらも素直に笑って泣けて元気が出る良質のエンタメ映画に仕上げてしまうところは、活力に満ちたこの若い国のなせる技なのだろう。最後、次々と回収されてゆく伏線もよく練られていて見事だった。正直、これまでインド映画というものをほとんど観てこなかった為、中盤までは「この題材で3時間はさすがに長すぎないか?」と思っていたのだが、この底抜けに明るい雰囲気とパワフルで魅力的な音楽の数々、ほとんど無駄のないシンプルなストーリーとで最後まで一気に見せ切るところなど素直に感嘆させられた。観ている間こんなにも楽しく、観終わってこんなにも爽快な気分になれる映画に久しぶりに出会えたように思う。最近嫌なことがあって少し落ち込み気味だった僕の心に、まだ彼らの歌声が明るく鳴り響いている。「兄弟、きっと、全てうま~くい~く♪ 」 【かたゆき】さん [DVD(字幕)] 8点(2014-07-20 20:20:31) |
18.《ネタバレ》 インド映画、実は初です。すごいですね~何かパワーがグイグイ来る感じ。爽やかな青春ストーリーの中にインドの現状をある意味自虐的に盛り込んだ内容は、実は告発的でかつ確信的です。これってインドの国民性が反映されてるのかな?。とーってもよーく練られた脚本は破綻なく見事に収束し高評化も納得の内容ですねこれは。しっかり魅せる手腕はインド映画のレベルの高さを表わしています、が、、やっぱりちょいと長いかなぁ。。。面白くて観ていてもその長さに「ハッ」と気づくと何か疲れがドっと…(苦笑)。とはいえ見応え十分でゴザイマシタ 【Kaname】さん [DVD(字幕)] 8点(2014-07-13 21:27:15) |
17.《ネタバレ》 3人組のトホホな大活躍?に大いに笑わされ、彼らの厚き友情の物語にホロリとさせられる。 これらがテンポ良く繰り返される軽快さ、力強さ。3時間近い長尺を感じさせません。 ボリウッド発・青春人情喜劇の傑作です。本作はそれだけにとどまりません。 現在と過去、次々に展開を変えながら家族の物語、ミステリ・サスペンス、ラブストーリー、 様々なジャンルが混在してきますが、それらがしっかり絡み合いながら作品の中で見事に機能している。 そして油断しているとドン!と押し込んでくるギャグにまた笑わされます。 本当に3時間が必要な作品なんだなと思わされます。 ボリウッド映画らしく、何度か挿入されるミュージカルシーンもお手の物で、長い上映時間の中で程よいアクセントになっています。 いかにもインド風の挿入曲も、その歌詞がその時々の彼らの心のときめきや痛みを見事に代弁しています。 そんな青春人情喜劇の中に挿入される、インド現代社会への批判精神も効いています。 他のインド映画でも、インドを舞台にした他国の映画を見ていてもよく感じることですが、インドにみなぎる熱いパワーは本作でもやはりすごい。 映画を見てここまで元気を貰ったのは久々な気がします。 オチも見事で、空と湖の澄みわたる美しい青と相まって鑑賞後の爽快感も格別。 映画の色んな楽しさがぎっしりと詰まった本作、久々に10点満点を出させていただきます。 【とらや】さん [DVD(字幕)] 10点(2014-07-09 17:02:44) (良:1票) |
16.笑いあり涙ありの青春ものですね。鑑賞後に爽やかな気持ちにさせられる映画でした。ランチョー役は実際には44歳だと聞いて驚きました。東京物語の笠 智衆と真逆の驚きです。 【東京ロッキー】さん [DVD(字幕)] 9点(2014-04-21 16:32:05) |
【pillows】さん [DVD(字幕)] 10点(2014-03-31 01:01:08) |
14.《ネタバレ》 冒頭で仮病を使って飛行機を止めるインド人をみて、笑うよりも眉を顰めた人も多いのでは?この映画は随所でインド人の倫理観の欠如したシーンがみられる。インド人側からすれば笑うシーンなのかもしれないが、非常に下品だ。一番看過できないギャグは、やはり「強姦」。騙されて強姦を連呼する生徒を見て主人公たちは大笑い。インドの観客たちもこれで笑うのか?インドは集団レイプ事件を多発させ、世界から注目を浴びる悪名高きレイプ国家だが、それを逆手にとった強姦ギャグは、笑うどころか許しがたいものがある。また、持参金の少ない花嫁は焼き殺され、夫が死んだら妻も焼身自殺(殉死)させられる。そんな歴史を持った国だったのです。こんなインドの女性蔑視の思想が「強姦ギャグ」の背景にあると考えると暗澹とした思いになる。悪役の学長は、わが子を自殺に追い込んだだけなら自業自得で許せる。しかし生徒も自殺に追い込んでおり、本来は彼が改心したとしても到底許せるものではない。しかし学長の存在はインド社会そのものです。こんな学校が存在するからこそ、インド人は世界で一番優秀なのです。アメリカの医師の4割がインド人であり、NASAの科学者の4割もインド人だという。ビルゲイツの後釜のCEOもインド人だ。数学に通暁しているのがインド人の強みだ。その理由は毎日食べるカレーが彼らの脳を活性化させていると、まことしやかに噂されているが、やはり勉強量が世界一なのだろう。いくら自殺者が増えようが、主人公がインドの教育制度を批判しようが、インドは変わらない。日本と同様に「ゆとり教育」に向かうとは到底思えない。競争重視という確乎たる信念を持った学長が正しいように私は思える。競争のない勉強─。それは1人で走るフルマラソンのようなもので絶対面白くない。泣ける映画であることは認めます。雨が降りしきる暁暗のなか、1つの生命を誕生させようとする生徒たちの躍動感が半端ない。ここは泣いた。ラストシーンは、4人の将来が「きっと、うまくいく」ということを、燦然と輝く青い海と、青い空をメタファーにして観客に暗示させています。 ちなみに私の信念は頑張りすぎないように頑張ることです。 【花守湖】さん [DVD(字幕)] 7点(2014-03-24 20:22:57) (良:2票) |
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13.《ネタバレ》 インド映画ってジェームズ・キャメロンも真っ青な長尺で『ロボット』『ラ・ワン』を観たときと同じ疲労感がこの映画にもありました。ただし、この作品はやっぱりイイです。良いだけに「なげぇよ!」の疲労感で感動する余力が奪われてしまうのが、とても勿体無くも思います。それがなければ9点つけたい作品でした。笑えて、ちょっと泣けて、ちょっと感心して、共感して、中盤で意外な驚きが待っていたり、満腹満腹で食い過ぎな感じですが、長時間を退屈させずに引っ張り抜く力はやはりすごいと思います。僕は、動物写真家への夢を持つ友人が父を説得しに行くシーンで泣けました。ヒロインは目の距離が狭すぎて外見的に僕の好みには合いませんでしたが、キャラは立っていて主人公と結ばれるまでのシナリオの流れは丁寧で魅力的でした。その父である学長は厳しく無慈悲であるゆえに何人かを死に追いやってしまうようなキャラなのですが「こいつ死ねばいいのに」と憎しみを感じるものになっていないのは不思議な力を感じます。彼の持つペンが後にどうなるかは大体想像がついていても、そのシーンはグッときました。直接的に「人殺し」とは言えなくても、それに近い罪を持つ人物ながら、彼が卒業生たちと腕を絡めカメラのフレームに収まるシーンで「生きていれば人はやり直せる」という優しさを感じました。だからやっぱり自殺しちゃいけないなと…。写真家を目指す友人が父との会話の中でも自殺について言及されますが、ハッとさせられる言葉が出てきます。ちゃんと人間の思いが込められた映画です。10年後の成功を競う人物にも視点が温かい。ラストのロケ地、カラー調整もされてるんだろうけど、あの綺麗な空と水の青さには「行ってみたい!」と思いました。 【だみお】さん [DVD(邦画)] 8点(2014-03-15 01:49:49) (良:1票) |
12.3時間だが、無駄がなくほぼの伏線が実を結んでいました、お約束の水濡れダンスシーンもあり、笑いあり涙あり、ぴりりとスパイスも効いていて、すばらしかったと思います。 【HRM36】さん [DVD(字幕)] 8点(2014-02-17 11:21:12) |
11.やや長さは感じるが、スピード感とともに笑い、涙ありで良質なインド映画。進路が決められてしまう苦悩が案外伝わらなかったのが残念。 【noji】さん [映画館(字幕)] 7点(2014-02-09 23:41:05) |
10.《ネタバレ》 こういう映画が作られるようになるってことは、インドも競争化社会が加速しているんだな。 さて、本作は「ロボット」みたいに金をワーっとかけて、ひたすらド派手にして、めちゃくちゃな勢いで、ゴージャスに踊りまくる「ザ・インド映画」ではない。 まっとうな人情喜劇になっている。歌って踊るシーンもかなり少ない。長さも、3時間超えないし(インド映画では短い方かな)。 とはいえ、やっぱり長いその上映時間を勢いだけで駆け抜けるのではなく、ストーリーの面白さでもたせているのは見事。 伏線の散らせ方や、音楽の使い方がインド映画としてはかなり洗練されていて、「泣かせ」まで仕掛けてきたのは予想外だった。 憎まれ役の学長がかなり良い味出している。彼は、そこまで悪いことはしていないものの底意地の悪さで恨まれ、色々カワイソウ。 ま、余計なことを考えずにひたすら楽しめばいいと思います。 【すべから】さん [映画館(字幕)] 8点(2014-02-05 00:23:24) (良:1票) |
9.《ネタバレ》 数ある過去の映画作品の中でこれに似た感覚のものを1つだけ挙げるとしたなら 自分は、ショーシャンクの空にを挙げたい。 ジャンル・畑違いなコトは承知で言ってるんです。 片やキャンパス、片や刑務所、全く違うのにってコトは承知で言ってるんです。 でも、こちらのランチョーとあちらのアンディ、 共通したところがあると思えるんです。 結果はネタバレご法度なんで言えませんが、 最後、観終えた頃にはその思いが更に強くなります。彼の勇姿はアンディに似ています。 【3737】さん [DVD(字幕)] 8点(2014-01-18 17:43:51) |
8.私が映画館に2度行った初めての映画となりました。今後そのようような映画にいつ出会えるか。5年後か10年後か。。。 話の内容が非常に素晴らしい。インド映画でこんなに質の高いものがあるなんて驚きました。文科省の人にも見せたいくらい。DVDも早速買いました。周りの人に勧めたら感謝されると思います。 【syuumai】さん [映画館(字幕)] 10点(2014-01-04 11:11:35) |
【K】さん [DVD(字幕)] 6点(2013-12-06 14:58:08) |
★6.ものすごっっっく面白かった! 数多くの大絶賛も納得の、笑えて泣ける素晴らしい青春映画でした。 本作では2つの物語の機軸があります。 ひとつは2人の男が印象深い親友であった「ランチョー」を探す現在の物語。 もうひとつは過去の工科大学での思い出を綴る物語です。 この2つが巧みに絡み合い、爽快感あふれるストーリーが築かれています。 そして本作はインドという国が抱えている深刻な問題も描いているのです。 インドは「数字に強い国」とされており、IT業界への進出もめざましく、日本にも多くのインド人の技術者が働いています。 しかし優秀な人材がいる一方、競争社会になっているために若くして自殺をする人も多くなっているのです。 (最近のインドの教育はとても発展しているのですが) 本作ではエンジニアになるべく工科大学で勉強する学生たちが出てくるのですが、彼らが抱える悩みもとても深刻です。 そこに現れたのが、名前から風変わりな男「ランチョー」です。 彼は物怖じせず教授に意見をたて、そして色んな人をギャフンと言わせます。 学校というものは村社会で、学生側は文句があっても我が身かわいさに意見をおおっぴらに言えないところもあります。 しかしランチョーはそうではありません。これがなんとも痛快なのです。 またこの映画は「喜怒哀楽」がとても早く切り替わる映画です。 楽しいシーンの次でとても悲しいシーンが出てきたり、深刻でせっぱ詰まっているシーンでも笑いを入れたりします。 観客をひとつの感情に縛り付けず、感情をとても刺激してくれるのです。 青春物語だけでなく、恋愛やミステリー要素も上手く機能しています。 膨大に積み重ねた伏線を無理なく回収してくれるのもたまらない! あえて問題点をあげるなら、女性にとって眉をしかめるであろう「単語」で笑いをとるシーンがあることでしょうか。 これも終盤の伏線になっているのですが、もう少し工夫してもよかったかな?と思ってしまいます。 あとは主人公たちは結構悪いこともするので、その辺でも気に入らない方が多いかもしれません。 ここまで「観て良かった」と万人が思える映画はなかなかありません。 上映時間の長さなんて、全く気にならなくなるはずです。 本国インドでの公開からまるまる4年、日本でこの映画が公開されたことがうれしくて仕方がありません。 【ヒナタカ】さん [映画館(字幕)] 9点(2013-07-28 12:06:17) (良:1票) |
5.今、インド映画をボリウッドと呼んでいるそうですね。 10年ほど前に「ムトゥ・踊るマハラジャ」が大ヒットしましたが、今、またインド映画が世界中でブームになっているそうです。 その先駆けが本作。 3時間はちょっと長く思えましたが、ホント、笑いあり、涙あり、サスペンス、ドン伝返しありの、インド人ってナンテ娯楽が好きなんだろうと思ってしまう大作であります。 お約束の歌とダンスも満載です。 原題が「3人のバカ」って意味らしいですが、1流大学に通う3人組がハチャメチャ起こす展開は振幅が激しく、まさにジェットコースタームーヴィーです。 特に笑いのツボが日本人に合ってますね。 スピルバーグが2回も観たという宣伝が頷ける素晴らしい作品です。 今、時代はハリウッドからボリウッドに代わろうとしています。 といかく楽しい気分になりたい人、是非ご覧ください! 【クロエ】さん [映画館(字幕)] 9点(2013-07-28 00:30:34) |
4.《ネタバレ》 すげえ!インドすげえ、超すげえ!私はインド映画では無理を通して道理を蹴っ飛ばすタイプ(つまりラジニカーント主演作)の作品しか観たことがないのですが、本作はそんな映画とは違う実にウェルメイドな万人に勧められる作品だったと思います。とにかく脚本が素晴らしく、散りばめられた伏線が過去と現在の両方で解決されていく様は最高!の一言です。しかも観客が楽しめるように、笑い・涙・ロマンス・アクション・ミステリー・サスペンスがギッチリと詰まっている。なのに破綻していない!もう一度言いますが、脚本が素晴らしいと思います。 しかしテーマは実に鋭く、また重い。私は数年前に個人旅行でインドに行きましたが、スローライフのメッカと言われている国を見て感じたことは、その一般的印象とは裏腹に、本当に勝ち組と負け組がハッキリと分かれており、弱者にとっては非常に生き辛い世界だということでした。そこら辺の道に死体が無造作に転がっている(適当に道端で火葬する)。一方で、同じ道に高級車を乗り回しているビジネスマンがいる。スラムの直ぐ傍に超高層ビルが乱立する。ラージューの家庭が正にそうですが、金持ちになりたければ勉強をするしかない、そうでないと直ぐ先には死か物乞生活が待っている。だから親は子どもを何としても収入の良い職業につかせようとする。子どもはその重圧に耐え切れず自殺する。 そんな社会の中で「自分が本当に好きなことをやればいいじゃないか!」というメッセージを持つ映画が生まれ、大ヒットしている。GDPの伸びに蔭りはあるものの、インドという国はまだまだ伸び代がある国だと強く感じました。私も観て実に勇気づけられました。Aal Izz Well! 【民朗】さん [映画館(字幕)] 9点(2013-07-18 23:44:41) (良:4票) |