1.《ネタバレ》 MCU15作目にしてシリーズ2作目となる本作。強烈なキャラとユーモア、オウサムなチューンの不思議な調和で魅せた前作の正常進化版と言ったところか。壮大な宇宙で繰り広げられる人情ドラマに、笑って泣いての満足度の高い娯楽作品に仕上がっている。
「ショウタイム、エイホー(Showtime A-holes)!!」の掛け声から始まるオープニングからもう演出に迷いなし、一気に作品のペースに引き込んでくる。他の作品が派手なアクションシーンの創作に苦心する中、本作はその1つをベイビー・グルートのダンスだけで印象付けるから凄い。(ちなみに通常のグルートが再登場する案があったがガン監督はベイビー・グルートを起用した。声は引き続きヴィン・ディーゼル)
こういった世界観なんだよと早々と説明してくれるおかげで、ラストまでいい意味で気を抜いて楽しめる。
どのキャラも濃く描きこまれているのがまた素晴らしい。映像でカッコよさを、行動でキャラの心情をしっかり描写できている。また若干反則気味のマンティスの設定を上手く利用することで、悲しみなどの感情を暗くなりすぎずに表現しているし、ドラックスの清々しい笑いも心に響くものになっている。
やはり2作目ということで、映像面ではより派手に壮大に作られている。加えてドラマ面に関してもスターロードの生い立ちを核にして各キャラのさらに深部を掘り下げていく。さらにチームは分断され、それぞれで裏切りや陰謀が進行する。
さすがにこれは色んな方向に散らかしすぎたかとも思ったが、最終的には全てが「家族」というテーマに帰結するのはなかなか良いまとめ方だったと思う。
今回、週末の昼間に映画館に行ったのもあると思うが、小さな子供を連れたファミリー層が多かったのが印象的だった。
上映中はグルートが出るたびに子供たちが「あいむぐるーと」と真似し、顔面崩壊ヨンドゥ&ロケットではスーパー大爆笑。それは賑やかな時間だった。
考えてみればMCUの開始は2008年。最近のアメコミ関連映画は観客の成長にも合わせ、大人に向けたものが増えてきたと思う。
近作で言えば「シビル・ウォー」「ドクター・ストレンジ」。やはり子供というよりは大人が楽しめるような作風である。日本では公開順が前後したが、同じアメコミ枠の「ローガン」などそもそもR指定、子供は見ちゃダメである。
実は本作には別れ、裏切りなど暗いキーワードが多く、陰鬱な物語に成り得たかもしれない。しかし底抜けに明るいキャラとご機嫌な音楽、子供にも届きやすいメッセージが絶妙に折り重なって、笑って泣ける冒険活劇として成立していた。
「ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー」であること。続編を作る上で、そういう当たり前だが大事で難しい部分が上手く表現できていたと思う。