5.《ネタバレ》 あらすじを見て、あんな母親と共に育った周平が大きくなって自分の家族を持って…みたいな話と思ってたら違った。最後まで救いようのない話でした。スカイツリーも見えたので舞台は東京のようですが、あのようにほとんど誰の介入も受けずに路上生活できるもんなんでしょうか。そこそこの年齢いった男性ならまだわかるが、女性で、しかも子連れ。一応一度だけ行政介入が入りますが、少し放置されすぎでは。描かなかっただけかな。
見てるこちらの心が揺さぶられた。それは、大きくなってフリースクールに通い始めた周平が夜逃げの準備をする母親たちに「学校行きたい」というシーンであったり、また本を持ってきたのに母親に追い返された亜矢を周平が追いかけようとするシーンだった。いずれもついにこの親と離れられる、という期待をしてしまい、だがその期待は、母親の介入があったとはいえ、他の誰でもない周平自身の決断によって裏切られることになる。それが、痛い。そしてそこで道を修正できなかったことが結局最後の祖父母殺害に繋がったと感じた。
「共依存」が行き着く先を見せられた映画でした。普通ならとっくに距離を置くか引き離されるべき親子が、何故か離れない。絡みついて解けない糸のように。引き離すべき手順を踏もうとしても、肝心の子ども側に母親と離れる意志がない。日本の行政の限界も改めて感じた。
小さな妹の冬華に暴力など直接的な虐待などがなかったことだけは救いか。だがやはり、声を出せない環境、出せない教育を施された子どもたちに抱く感情は何とも堪え難いものがありました。