2.《ネタバレ》 他のトロイ戦争ものと違うのは、画の題材に取り上げられていた羊飼いパリスの審判から二人の運命的出逢いが始まるところです。そしてヘレンの姉であるアガメムノン夫人が重要な役割を持たされています。トロイの王女カサンドラの狂気的予言、出撃間際の風向きの異変から成り行き上愛娘を自分の手で犠牲にしなければならなかったアガメムノンはその征服欲やヘレンへの邪恋とかはあってもそれほどの悪党と言うわけでもなく、弟のメネラウスは優しい人間として描かれ、だから連れ戻された後のスパルタでの平穏な世界が暗示されています。アキレスの切れかたはもうちょっと丁寧に表現されていればもっと楽しめたでしょう。スペクタクル性よりも登場人物のほうに重きを置いた佳作です。