1.《ネタバレ》 ご存知、寅さんの名脚本家・朝間義隆氏が監督したベートーベンの第九を目指す市民コーラスのストーリー。山田洋二組のメンバーを中心に川崎の労働者たちを中心に描いた「まじめな」映画である。彼女がほしいという浅はかな工場づとめの青年(武田鉄矢)がコーラスメンバーの勧誘をしている友里千賀子や森下愛子に惹かれつい、仲間を誘い参加するところから始まるのだが、メンバーそれぞれが抱える悩みを丹念に描き、女目当てで参加した武田が徐々に自分を見つめなおす過程をやさしく描く、まさに「朝間」節の作品。時代性を否定せず、高度経済成長の終焉を醸しながら、小市民のささやかな輝きを描いている。 「同胞」と相似する何かがある作品。