61.《ネタバレ》 「ティファニーで朝食を」の原作小説家として著名な、トゥルーマン・カポーティが主人公。カポーティが、1959年にカンザス州で実際に起こった農場一家惨殺事件の犯人を密着取材して、小説作品「冷血」に結実させるまでの過程を描いています。自身が「ノンフィクション・ノベル」と呼ぶこの手法は、当時は斬新なもので、一大野心作なわけですが、それを成功させるためには、野心を隠して、犯人の心の友になり情報を引き出す必要があります。その狡猾な立ち回りに、主人公自身が毒され、苦悶、葛藤しはじめ、病んでいくというような話だと思います。主人公は(才能ある人にはありがちで)いささか変人であり、演じ手のフィリップ・シーモア・ホフマンが、細かい役作りしているのがわかるのですが、ちょっとうるさく感じてしまいました。主人公以外の役者達が、逆に自然でよかったです。特に、犯人役の人。心の闇がありながらも、終盤までそれが表層に出てこない感じがよかったです。 【camuson】さん [DVD(字幕)] 5点(2023-03-14 18:17:24) |
60.冷血は未読でカポーティについても無知だったが何といってもフィリップ・シーモア・ホフマンの凄みに尽きる。 哀愁、表現力は勿論のこと作品との一体感がある。 伝記なので興味が無ければ中々入ってこないが、彼の名演が非凡へと押し上げている。 今までの脇役の印象が吹っ飛んだ。 |
59.《ネタバレ》 面白いという言葉を使うのはふさわしくない種類の映画なので 同じ意味のつもりで別の言葉でいいかえよう。見応えのある映画だった 自分はこの映画を見る前にカポーティ原作映画作品「冷血」を2タイプ観ていたが、 それらよりも本作は、より見応えがあった フィリップ・シーモア・ホフマンってすごいし、ずるい カポーティが大事なところでことごとく嘘をつくのだが 最後の最後泣きながら嘘をつきとおす姿を見ていたらこちらも激しく心が揺さぶられた 嘘か本当かなんてどうでもよくなってしまった この感情は言語化できない 【うまシネマ】さん [DVD(吹替)] 7点(2019-08-24 02:05:12) |
★58.《ネタバレ》 ノンフィクション「冷血」は稀代のルポルタージュである。その著者であるT・カポーティの人物をなぞろうとすれば、この著作を手がけた5年余りに絞ったのはしごく当然と思う。 本人も認めているように、この作家と一家惨殺犯の一人、ペリー・スミスとは魂のありようが似ている。恵まれなかった子供時代、容姿へのコンプレックス、言葉への敏感な感性、決して埋められない孤独感。 新聞記事で事件を知り、彼らを「飯のタネ」にしようと思いつく作家。地元保安官は眉をひそめ、友人らも若干引き気味なある種の厚かましさをもって殺人犯らと交流を持つカポーティ。「飯のタネ」ではあるのだけど、一方でペリーへの親近感や同情といった自分の心に気付いて動揺する彼。嘘や誇張で死刑囚の気持ちを引き寄せ、かと思えばセレブらとの社交パーティではへらへらと空騒ぎ。 なんとも複雑で繊細な有名作家の姿を、名優P・S・ホフマンは見た目や発声の仕方、仕草に至るまできっちり再現してみせた。取材対象に近づきすぎて、その処刑の場に立会い衝撃を受ける作家。目を宙に泳がせたり、薄皮を一枚被ったように顔つきを捉えどころ無くしたり、表情筋のわずかな動きで作家の心の空疎なことを表現しつくしたホフマンに圧倒された。 【tottoko】さん [CS・衛星(字幕)] 7点(2018-04-21 14:47:42) |
57.《ネタバレ》 どこかで見たような話だと思っていたら、以前に鑑賞した「冷血」でした。タイトルに惹かれた思いは空振りに終わった作品でした。本作は作家カポーティが作品を完成させる過程を描いています。語り口と立居振舞が無機質な彼こそが「冷血」であり、彼にも作品にも魅力を感じられず、真っ当な一家四人の無念が晴らされるのを長引かせた一因に腹立たしさが募りました。フィリップ・シーモア・ホフマンの怪演に接し早逝が惜しまれます。 |
56.《ネタバレ》 ○予備知識なしで多少冗長なテンポだったため、少し見るのがつらくなったところもあったが、フィリップ・シーモア・ホフマンのさすがの存在感に圧倒された。○その存在感故なのかは分からないが、死刑囚との会話がいまいち。実際にその俳優のせいなのか死刑囚自体のせいなのか不明だが。 【TOSHI】さん [CS・衛星(字幕)] 6点(2015-05-17 16:35:03) |
55.《ネタバレ》 小説家という業の深さを丹念に描写した佳作。冷淡なトーンで静かに進みながらも、作品の完成のために分身と呼べる死刑囚を死なせるまでを迫力ある筆致で綴る。フィリップ・シーモア・ホフマンがカポーティの精神的な死を鮮烈に体現。後に『冷血』の原作を読んだが、一人の死刑囚に対して重きを置いていることを見ても、野心と憐れみの狭間で如何にして心身を削っていったか分かる気がする。 【Cinecdocke】さん [DVD(字幕)] 7点(2015-02-15 18:03:21) (良:1票) |
54.《ネタバレ》 実話ものの重み、フィリップ・シーモア・ホフマンの「葛藤」の表現力の素晴らしさ、まさに数多くの賞受賞も納得の一作。カポーティが5年の歳月をかけて書いた「冷血」。殺人犯が冷血なのか、それとも作家としての虚栄心が冷血だったのか、カポーティの「その後」を考えるととても感慨深いです。とても深く悲しい物語でゴザイマシタ。 【Kaname】さん [DVD(字幕)] 8点(2014-12-29 11:42:14) |
53.《ネタバレ》 改行表示で読んで下さい。 フィリップ・シーモア・ホフマンが出てると言う理由だけで鑑賞 ○ ・フィリップ・シーモア・ホフマンすばらしい演技だった。 ・冷血を読んでいたらもっと楽しめたと思う。(こんど読んでみよう) ・60年代社会的風景(差別や死刑制度など)勉強になった。 ・執行シーンなど結構、辛辣に描写していた。 ・人物モノにしては、いろいろ考えさせるメッセージ性が強い映画 × ・テンポが独特で遅く感じる(この時点でダメな人いると思います) ・死刑囚との会話にもう少し緊迫感がほしかった。 ・もう少し60年代について、カルチャー的情報が欲しかった。 ・執行されない=本が出版できない、ジレンマをもっと濃く表現して欲しかった 寸感 題材はとても良いなと思いましたが、しかし、全体的に淡白に仕上がった気がします フィリップ・シーモア・ホフマンだけが目立ってしまっていたのもそのせいなのかも 知れません。死を利用して自滅していく著者の苦悩と挫折をもう少しエグって欲しかったです。 【はぶじ】さん [DVD(字幕)] 7点(2012-04-26 03:43:40) |
52.《ネタバレ》 合わない人には本当に合わない映画だと思います。これが小説だったら、もう少し楽しめたかもしれません。一番知りたいカポーティの本音が見えない。うえにテンポが遅い。話がなかなか先に進まない。友人達との談笑のシーンも、きっと意味があるのだと思います。ですがその意味がわからなければ、ただの退屈なシーンです。パブロン中毒さんのレビューを先に見ていたら、もっと映画を楽しめたかもしれません。めちゃめちゃわかりやすい解説でした。そういうことだったのですね。失敗しました。あ、そう言えばパッケージにも、「だれよりも君の死を悲しみ、だれよりも君の死を望む」みたいなことが書いてありました。あれはヒントだったのか。 【たきたて】さん [DVD(字幕)] 1点(2011-07-09 19:58:32) |
|
51.《ネタバレ》 わー、本作を観て昔『冷血』を読んだときに味わった衝撃がまた甦ってきました。本作をご覧になった方で未読のかたは、ぜひカポーティの『冷血』も一読されることをお奨めします、ノンフィクション小説というジャンルを開拓した文学史に永遠に残る金字塔です。映画の中でもカポーティが『冷血』を朗読すると大劇場の聴衆が凍りつくシーンがありましたが、あれは決して誇張ではないと思います。この映画のカポーティ像は、自分が『冷血』を読んで残った「ああ、カポーティはペリーと一緒に処刑されちゃったんじゃないか」という感想とまったく同じなのでびっくりしました(まさかその当時は、カポーティがそのまま新作を発表しないで亡くなるとは予想してませんでしたが)。フィリップ・シーモア・ホフマンの演技は神がかり的で今さら論じるまでもないのですが、自分はキャスリーン・キーナーのネル・ハーパー・リーがまた素晴らしかったと思います。彼女はけっこう地味でおばちゃん顔(失礼!)なのでハーパー・リーの様なキャラはピッタリだと思うんですけど。 【S&S】さん [DVD(字幕)] 8点(2011-05-16 21:25:43) |
50.終始薄暗い雰囲気が作品を支配する映画ですが、これはカポーティの全てうかがい知ることが出来ない心の闇を現わしているかのようでした。同業者仲間や知識人達とのパーティ会場で自身の心の闇を悟られまいとするかの如く必要以上に陽気に、あるいは道化のごとく振る舞うカポーティの姿、その一方で暗い独房の中で殺人犯と接している彼の方が自然体に映る。終盤には「君と本当に友達になりたかった」とまで言った。しかしそれは「冷血」を完成させようとする彼の野心とは相反する。そんな彼の非常に複雑な心境を見事に演じたホフマンは流石と言う他ない。映画としては全編を通して暗く全く抑揚が無い作品ではありながら退屈する事なく観ることができましたが、これは非常に複雑なカポーティという人間を見事に演じたホフマンの卓越した演技力によるところが大きい映画であるように感じました。 【とらや】さん [DVD(字幕)] 6点(2010-09-12 23:50:38) |
49.小説「冷血」は未読、トルーマン・カポーティについては「ゲイで人格破綻者」という知識のみで観たが、職業柄(性格も)多くの人にとって共感しづらい人物であろう主人公を見事に掘り下げ、演じ、その苦悩を提示してみせたフィリップ・シーモア・ホフマンは、やはりアカデミーに値したのではないかと思う。ただし作品自体は、彼の演技に救われた部分が多分にあったように感じた。 【wood】さん [映画館(字幕)] 6点(2010-05-08 17:47:46) |
48.《ネタバレ》 「冷血」の解釈が2通りありますが、犯人が冷血なのか、犯人を観察して本を書くカポーティが冷血なのか、後者も強く取れるのではないでしょうか。細かいところまで表現していてよくできた映画だと思いました。 【HRM36】さん [CS・衛星(字幕)] 8点(2010-03-18 12:15:52) (良:1票) |
47.《ネタバレ》 「冷血」は未読だが、読みたくなった。 死刑囚を題材に小説を書き上げようとするカポーティ。親しくなり話を聞き出すことが目的だが、やはり親しくなればそれなりに同情も産まれる。しかし、彼らが死なないと小説が書き上がらないため、彼らの死すらを願うカポーティ。そんな自分自身に葛藤しながら書いている小説のタイトルが「冷血」。 人間の悪意でも善意でもないドライな部分に切り込んでいて言い知れぬ恐ろしさを感じた。女性的な話し方で相手に気を許させてしまう、底しれない複雑なカポーティを演じたフィリップ・シーモア・ホフマンが絶賛されたのもうなずける。 【すべから】さん [DVD(字幕)] 8点(2010-01-16 18:22:09) |
46.作品の内容そのものよりも「役者力」で見せた/魅せた映画。同様の作家モノにヴァージニア・ウルフを演じたニコール・キッドマンがあるけれど、(その他もいっぱいあるけれど)本来主役をばーんとはるような役者じゃないけど存在感がありすぎて主役を食ってしまうフィリップ・シーモア・ホフマンに主役をやらせて、「うーん、やっぱりうまいねぇ。まるでカポーティの生き写しだ!うますぎる!」と再認識したような映画でした。 個人的にはポール・トーマス・アンダーソンの映画のフィリップが好きです。あ、ブギーナイツではやはりゲイでした(笑) |
45.《ネタバレ》 冒頭からひどい皮肉をとばすトルーマンを見て、「性格の悪そうな作家だなあ」と引いてしまったが、事件の取材で、いとも簡単にナンシーの親友から彼女の日記、捜査担当刑事から捜査ノート、犯人のペリーからは日記の提供を受けるのに驚いた。信用がなければ決して人にゆだねることはできない個人的な資料ばかりだ。また、仕事の名誉欲はある、しかし人並みの情もあり、ペリーの死刑を望むべきか否かで苦悩する羽目になるトルーマンの人間臭さに恐れ入った。まるで人間の不合理さを絵に描いたようだ。「もう1人の自分」であるペリーが目の前で処刑され、彼の精神的な何かが一緒に壊れてしまった気がする。自分が処刑されたような自己暗示にかかったのかもしれない。もしペリーがトルーマンと生まれ育ちが全く違い、被害者に対する奇妙ないたわりを見せず、単なる残虐非道な人物であったら、「冷血」以降も作家はペンを取り続けただろう。私には途中からペリーとトルーマンがドッペルゲンガーの関係に見えた。 【tony】さん [DVD(字幕)] 8点(2009-04-22 21:07:03) (良:1票) |
44.なかなか見ごたえがありました。しかしアカデミー会員ってのはいろんなものを評価するなぁ。 【色鉛筆】さん [DVD(字幕)] 5点(2009-03-07 20:42:34) |
43.人物の伝記映画は、観るタイミングが難しい。 創られたエンターテイメント性が期待できないことと、描かれる「事実」に対する鑑賞者の知識量が、観賞後の感想に多分に影響してくるからだ。 フィリップ・シーモア・ホフマンという決して派手さのない俳優を主演に配し、アカデミー主演男優賞まで穫ってしまったことは、映画ファンとして興味深く、随分前から観たいと思っていた。 しかし、描かれる人物“トルーマン・カポーティ”に対する知識がほとんど無かったことが、食指を鈍らせていた。 カポーティ本人がどんな人物かは知らないが、映画世界の中で独特の人物像を創り上げ体現していた主演俳優の演技は、賞に値するものだったと思う。 全編通して、作品自体にも質の高さを感じたし、あまり抑揚がないテンポで展開しつつも、観る者を巧く引き込む語り口を備えていた。 ただし、もう少し主人公であるカポーティの心情を深く描きとる必要があったかもしれない。 主演俳優は独特のキャラクターの中で絶妙に押し殺した感情を表現できていたと思うが、描写自体がどこか軽薄な感じがあり、感情を移入することがあまり出来なかったことも事実。 カポーティという作家が、残虐な殺人事件を題材に書き上げたノンフィクション小説「冷血」。 そのタイトルが示すものは、殺人を犯した犯人のそれなのか、はたまた本を書くために事件とその犯人を冷静に見つめ続けた作家のそれななのか。 そういうことを考えると、単純に感情移入を許さず、その人物の本質を各々に見出すための余白を残した映画であるとも言える。 【鉄腕麗人】さん [DVD(字幕)] 6点(2009-02-01 11:10:04) |
42.《ネタバレ》 カポーティを、フィリップ・シーモア・ホフマンが巧みに演じているのには脱帽。虚構的な社交界での饒舌ぶりは自身の過去の裏返しなのか?特異な性格や風貌故の孤独な思い出を、図らずも取材材料であった犯人と通わせる辺りは一考せずにいられない。疎外された者同士…“冷血”とは何者なのか?何であるのか。 また、一方には作品という名目と強かさがあり、他方にも裁判控訴という打算があってとれる。最後の面会での、カポーティの涙を信じたい。故に、その後作品が生み出されなかったのでは…というのはセンチメンタルな感想だろうか。 背景も荒涼としており、殺風景。それがより一層今作を足らしめているように思えた。 【泳ぐたい焼き】さん [映画館(字幕)] 7点(2009-01-10 14:10:49) |