23.《ネタバレ》 「カサブランカ」のバーグマンは余り好きになれないが、それ以外のバーグマンはわりかし好きだ。
「サラトガ本線」でコメディやってる姿は可愛いし、
「ガス燈」の燃えるような瞳・今まで騙していた男に向かって罵倒&放置プレイでゾクゾクしたし、
「イタリア旅行」も悪くないが、ヨーロッパにおける最高傑作は「秋のソナタ」の円熟期!
ただ、若い時の彼女の最高傑作を1つ挙げるとなると個人的にこの「汚名」だ。
ヒッチコックの十八番とも言えるロマンス・サスペンス作品。
ベン・ヘクトと最強の布陣なのだが・・・インパクトのあるようなアクションはそれ程なかった。
うーむ、このメンツだと「海外特派員」や「レベッカ」のような凄まじいクライマックスを迎えるだろうと否応なしに期待しちゃうよコレは。
まあそんな事は抜きにしても本作は面白かった。
ベン・ヘクトの確かな脚本で最後まで見れるし、三角関係絡みのストーリー、そしてヒッチコックの凝りに凝りまくった演出!
これを元にした「M:I-2」なんかあったね。トム・クルーズがノリノリの奴。あれも充分傑作だと思うが、個人的には「汚名」の方が好き。
ストーリーは酒に酔っ払うパーティーで語らう男女のシーンから始まる。
父親の起こしたトラブルで「売国奴」呼ばわりされ酒浸りの日々を送るアリシア。
「白い恐怖」で見事な演技を見せたイングリット・バーグマン。
それを励ますようになだめる色男デヴリンを演じるケイリー・グラント。
オッサンみたいにベロンベロンになるバーグマンが可愛い。つうか運転さすなよ(爆)
いつ事故るかヒヤヒヤもんだ。
今の時代なら飲酒運転で豚箱か棺桶行きです。
そうこうしている内に目覚めたアリシア、だがデヴリンはFBIの捜査員だった。
父親がナチスのスパイであり、婚約していたセイバスチャンはナチスに繋がる男だった。
グラントはその繋がりから彼女にナチス残党の居所を探らせる。
アリシアが戻って来ると喜ぶセバスチャン、自分に声をかけたデヴリンに惹かれるアリシア・・・。
一見冷たいデヴリンだが「やるかやらないかは君次第だ」と言えば「僕だってやらせたくないんだ!」本当は心配でしょうがないデヴリン。
じらすね~。
鍵を巡るやり取りなんか「お見事!」としか言えない。
無粋なセリフを徹底的に廃したやり取りが素晴らしい。
ワインをパリーン・・・てアンタFBIが何してんだよ(笑)
ワインの「中身」は幸か不幸か怪我の巧妙。
セバスチャンをごまかすためにアリシアに強引にキスするダヴリン。
セバスチャン涙目。
その後の「異変」に気づきしょんぼりしょげかえるセバスチャンの顔がまた・・・。
クロード・レインズの演技が凄いんだが。
つうか煙草を冷静に吹かすババアカッコ良すぎ。
アリシアに迫る危機。
睡眠薬を飲まされ視界が歪んでいく演出・・・セバスチャンたちの影が不気味に重なる・・・懲りすぎだぞヒッチコック(超褒めてる)。
さあアリシアがピンチだ!白馬の王子ことデヴリンは敵地に乗り込む。
堂々正面、アリシアを抱きかかえて外に出て行くデヴリン。
デヴリンもまたアリシアを愛していた。
諦めるセバスチャンの姿がまた良い・・・。