1.ある週末、大邸宅に集ったある親族。何やら訳ありの人間模様の中で、“殺人”が起こる。という設定自体は、アガサ・クリスティーのミステリーのとても「定番」的なものだ。
「名探偵ポワロ」や「ミス・マープル」のように、過去の血塗られた人間模様が浮き彫りになりつつ、真犯人が特定されていくのだろう。と、たかを括って観ていた。
しかし、ストーリーは一向に具体的な展開を見せず、殺された男にまつわる女性達の愛憎の様がドロドロと繰り広げられるばかり。
それがフランス映画ならではの特性によるものなのか、それともそもそも原作がそういうノリなのか、判断がつかぬまま映画はクライマックスに差しかかるであろう時間帯に突入していく。
すると、登場人物の一人の男が心神喪失気味であるというくだりが突如として描かれたり、その男と殺された男の愛人とが関係をもったなどという展開が、ほとんど意味不明に矢継ぎ早に繰り広げられる。
結局ラストは、真犯人が本性を見せ、愛憎劇の中でドタバタとして息絶え、「事件解決」となった。
正直、「何だったんだろう?」という根本的な疑問符が頭から離れない映画だったと思う。
それは、デヴィット・リンチの映画のような魅惑的な「混沌」が描かれているということではまるでなく、ただただ映画として稚拙で、楽しみがいの無い映画であるということでしかない。
まあ唯一見所と言えば、モニカ・ベルッチを7割減くらいしたイタリア女優のエロさくらいか……。