9.《ネタバレ》 老いて死ぬ事の現実と余命の微かな夢と希望。自立やプライバシーを求めつつもやはり寂しさもある中での高齢者専用?のホテル住まい。切なさとユーモアがあり、とても上品でちょっとファンタジックでもあるが、リアルな現実もある。青年がデキスギ君だったのはちょっと気になるが、小説を書く原動力・作家的好奇心と考えれば納得の範囲か。が、所詮夢見る夢男のプータローでしかなく、他人から見れば優しい青年であっても、親としては出来損ないの息子なのであろう。それを擁護できるのは他人ならではだろうなとは思う。自分はこんなに優しく親切にはできないだろうが、これほどの気品ある老婦人なら友達になってみたいと思わせるものはある。シミだらけの手にキスするシーンは、ちょっと過剰演出かな?という気もしたが。若干自暴自棄的な台詞はあったものの、最後まで弱みを見せずに気丈に振舞ったのは矜持なのだろうが、もうちょっと青年に弱みを見せてもよかったのではないか。そういう甘えがないから、上質でストイックな作品に仕上がっているとも言えるけど。人が倒れてもケータイジリをしている優しさの欠片もない青年とは正反対な娘と和解して欲しいと思う反面、そこまでやるのは邦画的でちょっとヤリスギなのかなと。青年も母とは不和のままだし、他人の優しさの反面、親子の確執は解決せず厄介さを残したままというのもリアル感がある。ラストで青年が実娘に声もかけずニヤリと立ち去るシーンが印象的。私もいずれ『逢びき』を観てみたい。また、『メゾン・ド・ヒミコ』と比較してみるのも面白いかも。 |
8.どうも、あまり印象に残らない話。ミセス・パルフリーは、娘から自立した生活をしたいと言いつつ、孫からの電話を心待ちにしたりして、本当に独立したいのかよくわかりません。周囲のお年寄りたちの方が、魅力的で面白い人に思えました。あとは、グェンドリン役のゾーイ・タッパーがなかなかかわいい。しかし全体として印象が薄いのは、毒気がなくて平穏すぎるせいでしょうか。 【アングロファイル】さん [CS・衛星(字幕)] 6点(2015-05-20 19:29:15) |
★7.《ネタバレ》 見目麗しく出来のよい仮の孫と人生終盤の日々を過ごす老婦人のお話。老年のためのおとぎ話のようでもあります。結局は、若い世代とは生活は相容れない、というビターな側面も描かれているので 甘いだけの絵空事ではありません。 ただ、苦いままの印象はあまり無く、ひとつには主人公のミセス・パルフリーが(多分裕福なんだろうな)品があって身なり・着こなしが素敵で老いの哀しさを感じさせないということにあります。華やかな色合いのコートに合わせるストールの使い方などは、年齢を問わないセンスの良さでした。周辺を取り巻く無害でちょっと好奇心旺盛な同世代の友人らもユーモラスに描かれて場を明るくしますし、なにより偽孫のお芝居が最後まで周囲にバレずに済んだ脚本に優しさを感じました。 【tottoko】さん [CS・衛星(字幕)] 6点(2015-05-06 00:18:03) |
6.設定からしていかにも安直なんだけど、中身の方もやっぱり安直。登場人物の背景となるべき人生が作り込まれていないので、いくらそれっぽいやりとりをしても、台本をそのまま読んでいるだけにしかなっていない。 【Olias】さん [CS・衛星(字幕)] 3点(2014-12-11 01:17:21) |
5.現実的な表現のおとぎ話、という映画。ちょっと哀しくも美しい。 それなりの長さではあるものの小品の趣きが強い。それでも観終わった後に、意外に良い作品だった、という余韻も残る。 【simple】さん [CS・衛星(字幕)] 7点(2014-11-23 23:56:53) |
4.ホテルに長期滞在している人生の黄昏時を迎えた人たちの心鏡には結構共感するところがあるんですが、主人公が親切にされたイケメン青年の性格が良過ぎでいまいちリアル感がないのと、実の娘や孫との関係が殆ど描かれていない(それほど悪いようには感じられないのですが)ことで、ちょっと中途半端感が残りました。 【ProPace】さん [CS・衛星(字幕)] 6点(2014-11-20 20:15:52) |
3.《ネタバレ》 ロンドンのこんなこじんまりとしたホテルに月極めで滞在→憧れる!養子と思えるほどの素敵な出会いがあって→うらやましい→裏がなくてよかった。ハッピーに終わったようですが、実の娘のことなど考えると少し滅入る。映画全体はほんわかな雰囲気でみててほのぼのします。あんな風な余生が送れられたらなあと思いますね。おばあちゃんの教えで覚えておきたいのが:手紙は読む人の気持ちを考えて書かないといけない!メールもねっ。 【HRM36】さん [DVD(字幕)] 6点(2013-07-04 15:14:45) (良:1票) |
2.《ネタバレ》 現代の映画に白馬の王子様を登場させちゃダメじゃないか!…とは言わないけど、ルードヴィックが好青年すぎて、「何か裏がある?」と疑うレベルだった。そんな考えを裏切ってくれてありがたく思う。友情に年齢差は関係ないし、人との出会いは大切にしていきたい。そう思わせてくれるまっすぐで温かい映画だった。「逢びき」もいずれ観てみたい。 【リーム555】さん [CS・衛星(字幕)] 7点(2012-05-30 17:32:14) (良:2票) |
1.日本公開が遅れた05年の作品です。 おばあちゃまと青年の交流というと「ラヴェンダーの咲く庭で」もあったけれど、あまり現実味のないメルヘンチックな世界ではあるかもしれません。 スティングの「ブリムストン&トリークル」では中年主婦だったジョーン・プロウライト(ローレンス・オリヴィエ夫人)がロンドンのプチホテルに逗留するミドルクラスの高齢者の中でもアッパーな雰囲気、でも気どったところのない品のいい老婦人に扮し、偶然知り合った作家志望の青年ルード(ルパート・フレンド)にはからずもつれない孫息子の代役をつとめてもらうはめに。 好奇心のつよいお仲間に面目を保てた上に年若い友人ができた夫人のみならずルードにも影響がおよぶ。 現代人の役はめずらしいフレンドが役には色気ありすぎかもしれないし、「ラヴェンダー・・・」が現実的な苦味が切なさを生んでいたのに比べて女性の原作らしい理想的な甘さはあるけれど、人生の黄昏とやさしい余韻があっていい作品。 原作が書かれた40年前は、今より世の中が世知辛くなかったのかもしれません。 パルフリー夫人が縁でルードが知り合うグェンドリン(ゾーイ・タッパー)が美しい少女ですが、ホテルのウェイトレスさんのお茶目なキャラも印象に残りました。 【レイン】さん [CS・衛星(字幕)] 7点(2012-02-02 07:00:05) (良:1票) |