★8.《ネタバレ》 クラシック演奏家と聞くと、そのアカデミックな威光にハハー、と畏れ入ってしまうクラシックオンチなワタシである。しかし芸術畑もまた人間社会なのだなあと感じ入る一本でありました。 カルテットの一人が引退を表明したことから連鎖のように噴出する人間関係のわだかまり。それは凡庸な生活を送るワタシらとなんら変わることがないわけで、まるで同級生の熟年トラブルを聞いているようだ。 人間関係というのは微妙なバランスで保たれているもので、たとえ25年という月日を抱えてきたものでも、ちょっとしたきっかけでガラガラといってしまうのね。第二奏者の、第一奏者への屈折した思い、父と慕うチェリストの病にショックを受けるジュリエットには夫の不倫という追い討ち。その娘の秋波にまんまとやられてストイックの仮面が剥がれるダニエル。 私が思うに、若いアレックスが最も良くない。ダニエルに取り入ったのは母への当て付け気分が七割ほどと感じる。ころりといったダニエルが気の毒だ。ピーターにも「恥を知れ」ともっともな説教をされちゃったじゃないか。おじさんなのに。 メンバー間が不穏な中、一人弦を置く孤高の音楽家C・ウォーケンの静かで覚悟の伝わる演技が見事。個人的に好きなホフマンはついてない役どころで(たいていそうね)可哀相だなあ。 【tottoko】さん [CS・衛星(字幕)] 8点(2015-04-12 01:03:11) (良:1票) |
7.《ネタバレ》 ○パーキンソン病発症により引退するクリストファー・ウォーケンとそれを取り巻くストーリー。最初は期待も持てたが、40代の男女関係で無茶苦茶になるなんてそりゃないよ。○あまり解決もしないまま結局最後の演奏会に。クリストファー・ウォーケンの代わりの女性があまりにプロっぽいなと思って調べたら案の定プロだった。一生懸命演じた役者には悪いが、すべて彼女に持っていかれた。 【TOSHI】さん [CS・衛星(字幕)] 4点(2014-11-17 22:32:07) |
6.「音楽」の映画だが、演奏シーンはそれほど多くはない。それでも、常に音楽を意識してしまう展開が続くのでなかなか緊張感もある。 最後の演奏への期待感もかなり高まるが、終わってしまえばもう少しの掘り下げが欲しかった、と感じた。 なかなか良作だとは思うけど。 【simple】さん [CS・衛星(字幕)] 6点(2014-10-18 21:28:55) |
5.ウォーケン演じるピーターの発病によって、25年目にしてようやく本音が言い合えるようになった他の3人+才能ある娘(あの親にしては美人すぎる!)の細かい心理がよく描けていたと思います。ピーターは自殺さえも頭をよぎる致命的な病と真剣に向き合い、かつステージでのあの潔すぎる引き際!彼は侍のよう、またそれに応えた他のメンバーと観客もすばらしい。そして今は亡きPSHoffmanもいい仕事されていました、残念です。備忘:別れ話を切り出された瞬間のマーク・イヴァニール演じるダニエルの表情がよい。 【HRM36】さん [DVD(字幕)] 8点(2014-03-27 11:28:18) |
4.三人の葛藤は、一流の演奏家である前に一個の人間であるにしても、作曲家や音楽に対する愚弄でありグダグダさが失笑ものでした。唐突に過ぎるラストシーンからはうそ臭さしか感じず盛り下がった気分のままエンドロールとなりました。ピーターの葛藤が考えさせられるものがあっただけに非常に残念です。 |
3.数多くの弦楽四重奏団のなかには、映画に出てくるような人間関係のトラブルもあるかもしれないが、映画としての魅力はいまいち。だがベートーヴェンの音楽はほんまもの、古典派音楽から一気に近代音楽へ先駆けとなった晩年の弦楽四重奏曲の魅力を引き出している。そしてまたウォーケンら出演陣も演奏者としての意気込みを感じさせてくれる。 【ESPERANZA】さん [映画館(字幕)] 6点(2013-08-27 15:01:47) |
2.《ネタバレ》 なんか、おじさんおばさんが不毛なけなし合いをしているという印象でした。人物の心理を深く追わず、唐突な行動に出るということも多かったような(特に後半)。それに、あれだけあれこれ言い合ったのに、何もなかったかのようなあの終わり方はどうなんでしょう。あそこまでいったら解散するのかと思ったら、普通に演奏してるし。 結局、現在と将来をキッチリ見つめて確固たる行動をとったクリストファー・ウォーケンだけがまともに見えました。ほとんどこの人のための映画で、あとの人物は引き立て役にしか見えません。4人のアンサンブルが重要である実際の弦楽四重奏団とは、えらい違いでしょう。 【アングロファイル】さん [映画館(字幕)] 5点(2013-07-16 17:38:43) |
1.《ネタバレ》 アカデミー助演男優賞に輝いたディアハンターは未見ながら、キャッチミーイフユーキャンで主人公の父親役を演じたクリストファー・ウォーケンを見ただけで深い精神性を表現できるすごい俳優だと思いました。当方、大のクラシック音楽ファンでもあります。で、結果から申し上げますと、一挙両得を狙った映画館での鑑賞はわたしとしては見事に期待はずれでした。焦点が四重奏者とその中の夫婦の娘にバラけてしまい、チェロ奏者兼音楽学校講師のウォーケンの深みのある演技も彼が登場する(わたしとしては)数少ない場面でしか見ることができませんでした。わたしを含めた観客がエンドロールの結構後のほうまで残っていたのは音楽が思っていたほど堪能できなかったからその埋め合わせだったと思います。病気のせいで弦を正確に押さえられなくなった、つまり人前での演奏に耐えることができなくなった苦悩はビオラと第二バイオリンの夫婦のすれ違いの比ではないと思うので残念です。わけがわからないのは四重奏者夫妻の娘と第一バイオリン奏者との恋愛で、先生に「君には弦楽四重奏はまだ早い」と言われて落ち込むわけでもなく、先生の芸術性に感服して好きになってしまったわけでもないらしく、しかもいい年したおっちゃんの第一バイオリン奏者が教え子の部屋に忍び込むなんでますますわけがわからなかったです。かたやウォーケンが演じるチェロ奏者は演奏者としてのキャリアは終わっても音楽教師として生きる道が残っているわけで、このあたりをもっと描いてほしかったです。四重奏者夫妻が自分の娘の英才教育を独身のオタクっぽい同僚に任せたのも不自然で、どうせ同僚に任せるのなら技術面の指導は別楽器なので期待できなくとも音楽性抜群かつ既婚者のチェロ奏者に任せればこんな変なことにはならなかったのにと、変な感想で締めくくらせていただきます。あと、ニューヨークの美しい冬景色をたっぷり堪能しました 【かわまり】さん [映画館(字幕なし「原語」)] 6点(2013-07-02 09:56:09) (良:1票) |