6.一応管理社会のような設定が冒頭で示されますが、描かれるのは何ら特別でない現代社会のようで設定にほとんど意味がないどころか却って物語が陳腐で嘘くさくなっているように感じます。個人の視野の狭い世界を描くという体で社会の方へ目を向けることを放棄しているようにも思えます。1:1のアスペクト比はスマホ画面というより西洋の肖像画に近く、かっちりした美しい構図を生み出しているとは言えるでしょう。しかしいざそのアスペクト比が横に広がり通常のビスタサイズになってしまうとそれは解放感というよりもむしろ通常の映画と変わらない平凡で退屈な画面という印象を受けてしまいます。彼らの望む幸せ自体が平凡なものでしかないという皮肉なのかと勘ぐりたくもなります。スーサイド・スクワッドみたいな妄想シーンがあるのには苦笑いです。ミュージックビデオ風の演出もいかにも通俗的で特筆すべき内容のある映画だとは思えませんでした。 |
★5.《ネタバレ》 ダイアンは行動障害の息子を持つシングル・マザー。子を持つ母としてなら、私はダイアンであり、カイラでもある。息子を想う気持ちも、一人で生計を立てねばならないシビアさも、共感どころか我が事のように感じて途方に暮れる。ダイアンが息子の幸せな将来を夢想する場面は切なすぎた。 つらいこと ・ダイアンの空元気。若作りな恰好や年甲斐の無い反社会的な振る舞いは弱気を見せないための防御壁。ラストの一人号泣には胸を突かれた。 ・共に頑張ってくれたカイラと、決断後は心の距離ができてしまったこと。あの数か月、うまく行っていたときの輝きが眩しいだけに辛かった。 ・「愛だけではどうにもならないことがある」ということ。冒頭、施設の職員に言われた言葉。ダイアンは反発していたけれど、やはりこの言の軍門に下るよりなかった。 ラストシーンは「自由」を求めて走り出すスティーブ。「希望」を捨てない、とダイアンもドラン監督さえも語っていた。彼らがそう言うのなら私もスティーブやダイアンの目の強さにそれを信じるしかないのだろう。正直大変だけれど。 【tottoko】さん [CS・衛星(字幕)] 8点(2020-05-24 23:51:50) |
4.映像はオシャレ。演出も素敵だけど架空の法律がこの物語に上手く噛み合ってたのかというと謎。 所々???という部分が評価点を下げる理由。 【とま】さん [インターネット(字幕)] 6点(2018-05-13 16:13:14) (良:1票) |
3.切ない。。。障害を持った子供の親御さんの苦労は計り知れない。切なすぎます。 【kaaaz】さん [インターネット(字幕)] 8点(2017-08-13 00:12:39) |
2.まったく前情報なしにDVDを見始めて、これは只者ではない映画だと思い、 DVDを途中で一時停止して監督は誰で、この映画がどのような評価を受けているか確認してしまった。。 こんなことするのはシティ・オブ・ゴッド以来か? すごい映画。 |
1.《ネタバレ》 カナダでも、地域社会が壊れて、家庭の問題が孤立してしまった感がある。母子の格闘が、ひたすら家庭の問題としてのみ描かれ、社会の手が差し伸べられるのは、隣人の女性教師のみだ。しかし、その女性教師も去っていく。この母親は壊れてしまいかねないラストである。母と子。最強の絆すら、きしんでいて、悲鳴が出そうな状況だ。ドラン監督の表現しているのが、これほど迫力があるのは、それがリアルだからだろう。カナダは今、SOSなのかもしれない。それにしても女優の表情が、今までの映画では見たことがないほど、絞りたて感がある。きっとカナダの素朴さを映画文化というミキサーが、抽出し始めているからだろう。ジューシーだが、我々は味わうだけで良いのだろうか?とも思ってしまう。しかし我々も問題を抱えて、悲鳴を出しっぱなしの状況だ。古き良き共同体の良さが、あちこちで失われて、みんな悲鳴を上げている。 【トント】さん [DVD(字幕)] 8点(2016-04-02 23:45:00) |