1.《ネタバレ》 戦争の時代に活動した伝説の音痴の歌手、マダム・フローレンスを演じるメリルが初めて歌うシーン。
”ハッホッハッホッホ~~~~~!!”思わず笑ってしまいました。
メリルが極めて高い歌唱力を持つ女優さんであることは、「ハリウッドにくちづけ」などの映画でも明らかです。
そんな彼女の音痴っぷりは必見ですが、変わることのない彼女のパワフルな歌声は見事でした。
メリルはこの実在の人物を実に大らかに楽しそうに演じています。近年の作品では「ジュリー&ジュリア」の彼女を思い出します。
メリルの独壇場の映画と言いたいところですが、パートナーを演じるヒュー・グラントもまた良かった。
これまでにもラブコメを中心に、ちょっといい加減だけど憎めないキャラを演じれば抜群だったヒューさん。
本作で演じる役は微妙な役どころですが、ラブコメでこんな役を演じ続けてきた彼ならではの良さが出まくっています。
彼女の歌を絶賛する音楽愛好家の人々。その一方で彼女の知らないところでは常に彼女の歌声を嘲笑する人々もいる。
彼女が歌うと思わず笑ってしまうのですが、この2通りの人々を見ていると、途中からは複雑な気持ちにもなる。
それでも、病気と闘いながらも音楽を心から愛し、自分の歌を愛してくれる人のためにレコードをプレゼントし、
命を懸けて戦場で戦った兵士達のためにカーネギーホールで歌おうとするフローレンスと
フローレンスの周囲から批判や嘲笑を徹底的に遮断し、彼女を守り支える夫。
そんな2人の姿に切なさも感じるのですが、ほっこりした気持ちにもさせてくれる夫婦の奮闘記でした。